富野由悠季監督作品『
リーンの翼』のオリジナル・サウンドトラックが3月28日(月)より配信先行リリース。
『リーンの翼』は、1983年に監督自ら発表した同タイトルの小説をベースに2005年に配信された全6話の映像作品で、『
聖戦士ダンバイン』、『
ガーゼィの翼』に代表される“バイストン・ウェル・シリーズ”の1作品です。海と大地の狭間にある世界バイストン・ウェルと地上世界を舞台に、世界をつなぐ力(ちから)“リーンの翼”に招かれた少年エイサップ・鈴木とホウジョウ国王女リュクス・サコミズの恋と冒険の物語が描かれます。
音楽は
樋口康雄が担当しており、オーケストラサウンドによる雄弁で壮大な楽曲群が異世界を描く本作の世界観をよりダイナミックに彩ります。当時米ニューヨークでマスタリングされたサウンドが、2005年の映像公開以降初めて、17年の時を経て配信先行リリースとなりました。2023年には初のBlu-ray、サウンドトラックCDのリリースを予定しており、2022年も『リーンの翼』と“バイストン・ウェル・シリーズ”の展開をどうぞお楽しみください。
[コメント]『リーンの翼』の劇伴の音楽が樋口康雄氏という天賦の才能に恵まれた作曲家の手になったことが唯一の幸せだった。
自分にとっての思いの丈だけで執筆し制作した作品だったために、人気が得られなかったのだが、この楽曲のおかげで、再見する気にさせてもらえる幸せを手に入れられているからである。
30年以上の時が過ぎながらも、メディア環境の変化もあって、再会できる幸せは、視聴してくださる方々がいらっしゃってくださるからでもあるので、心から感謝している。――富野由悠季監督17年前のことを思い出しながら書いてみる。富野監督との音楽打合せということで、どこぞの私鉄に乗って駅から商店街を歩いて着いたところがサンライズの会社だったのであろう。大きな部屋に続く小さな部屋があってそこで打合せをするという。
監督は大きな部屋から入ってきた。ドアは開けっ放し。監督いわく「ボクがこの部屋に入ってドアを閉めちゃうと向こうにいる人たちは監督が何か秘密のことでも話してるんじゃないかと心配するのでドアは開けてあるの」と。みんなが不安にならないようにいつもそうしているんだと。作曲の委嘱は「そういう気遣いのある音楽を書いて欲しい」と一言。あとは雑談で肝心な音楽打合せはこれだけ。「うーん、なぞなぞで来たな」と思ったけど「それならこちらもなぞなぞで」と覚悟を決めた。ストーリーボードにあった作画の数枚のコピーをもらってきたのでその中から俯瞰ショットの一枚を選んで壁に貼った。今でいうドローンからの見た目みたいなバイストンウェルの絵。私は世界観が決まるといくらでも書けるタイプ。その絵に触発されてなぞなぞ音楽を速攻で36曲書いた。
レコーディング当日には富野監督も来て、なんとコントロールルームの床に正座して聞いていた。いつもそうしているのかどうかわからないがニコニコして聞いていたので、私がなぞなぞになぞなぞで返したことをそんなに気にしてない風に見えた。気に食わなかったらさっさと帰ったに違いない。あぁ怒られなくてよかった。――樋口康雄©️サンライズ・バンダイビジュアル・バンダイチャンネル
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