ニュース

ヒラリー・ハーン、ニュー・アルバム『パリ』を発表 収録曲の先行配信がスタート

ヒラリー・ハーン   2021/01/22 23:00掲載
はてなブックマークに追加
ヒラリー・ハーン、ニュー・アルバム『パリ』を発表 収録曲の先行配信がスタート
 1年間の休暇をとっていたヴァイオリニストのヒラリー・ハーン(Hilary Hahn)が、ニュー・アルバム『パリ』を3月5日(金)に発表します。フィンランドの作曲家エイノユハニ・ラウタヴァーラがハーンのために書いた「2つのセレナード」の世界初演録音のほか、エルネスト・ショーソンの「詩曲」、1923年にパリ都で初演されたセルゲイ・プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を収録。ミッコ・フランク指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団とともに、2019年2月と6月にパリで録音されました。「プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番第2楽章」の先行配信がスタートしています。

 ハーンはアルバムについて「『パリ』の主眼は表現です。情感です。ある街があり、その街の文化の交わりがあり、切り離すことのできない感性があります。それが演奏者にも聴く人にも閃きを与えます。アルバムにはパリが貫かれています。それだけではなく、私の音楽家人生とも大いに脈絡があります。私は十代の頃からパリで演奏をしていますが、オーケストラとの共演は、いつもと言っていいほどフランス放送フィルハーモニー管弦楽団とでした」と語っています。

 『パリ』の録音の構想は、2018年から2019年にかけてのシーズンでハーンがフランス放送フィルハーモニーのアーティスト・イン・レジデンスになったことから膨らんだ。2014年、ミッコ・フランク指揮でラウタヴァーラのヴァイオリン協奏曲を演奏した後、ハーンはフランクに彼と同郷の友人のこの作曲家が協奏曲第2番を書く気持ちはないかと尋ねた。フランクとラウタヴァーラは話し合い、セレナードを数曲まとめた形にするという構想で落ち着いたが、ラウタヴァーラの病によりその実現は阻まれたかに思われた。2016年7月享年87歳でラウタヴァーラは死去。すべてはこれにて一巻の終りとフランクは嘆き悲しんだが、ラウタヴァーラの未亡人が彼に見せたのは、完成間近のヴァイオリンと管弦楽のための素晴らしい哀歌調の曲だった。

 「即座にミッコはこれが私達の曲だとわかりました」とハーンは回想する。フランス放送フィルハーモニーは、著名なフィンランドの作曲家でラウタヴァーラに師事したこともあるカレヴィ・アホにオーケストレーションの仕上げを依頼した。「私達のこの録音は、2019年2月の世界初演からとっています。この感極まる歴史的な演奏で、ラウタヴァーラの作曲カタログは締めくくられます。最後の音符が鳴り終わった時、ミッコは天に向かって楽譜を高く掲げ、今もそこにいる作曲家の魂に敬意を表しました」

 アルバムでラウタヴァーラの「2つのセレナード」と並ぶ楽曲を選ぶにあたって、ハーンはパリに背景をもつ2曲の音楽を選んだ。彼女はショーソンの「詩曲」を、徹底した対比に満ちた「あくまでも表現的な作品」と呼ぶ。「ある意味、ショーソンの私的な鎮魂歌のような予兆的な作品でありながら、喜び溢れる祝祭でもある。最大の身ぶりと最小のニュアンスを描いている」と、ハーンは分析する。「詩曲」はイワン・ツルゲーネフの短編小説から閃きを得ている。ツルゲーネフは晩年の多くをパリ近郊で過ごした。だがこの音楽は文学的標題から解き放たれ、メランコリーとほとばしる熱情の間で曲想を行き来する。「詩曲」のパリでの初演は1897年4月、ベルギーの名手ウジェーヌ・イザイが演じ熱狂的に歓迎されたが、ショーソンは自転車事故でその2年後亡くなった。

 プロコフィエフがその初めてのヴァイオリン協奏曲に着手したのは、第一次世界大戦の初期の頃だった。1917年、ロシアの十月革命の少し前に彼は再び譜面に向かい、祖国で脱稿し、ニューヨーク次いでパリに亡命した。楽曲の公での演奏は遅く、1923年の10月になってパリのオペラ座で初演された。

 「規則破りの協奏曲です」とハーンは語る。「私の愛奏曲の一つ。陸上競技で走っている気がする時もあるし、蒼天を漂っている気になる時もあります。絶えず移ろい、演奏者も聴衆もどきどきはらはらしっぱなしです」

 新作『パリ』は、ハーンのフランスの都との長いつながりと同時に、フランス放送フィルハーモニーとミッコ・フランクと培った芸術的コラボレーションの特異性を象徴しています。

©OJ Slaughter

 拡大表示


ヒラリー・ハーン『パリ』購入・再生リンク
umj.lnk.to/HilaryHahn_ParisPR
最新ニュース
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 角野隼斗 イメージ・キャラクターを務める「ベスト・クラシック100極」のコンピレーション・アルバムを選曲・監修[インタビュー] 色々な十字架 話題の“90年代ヴィジュアル系リヴァイヴァル”バンド 待望のセカンド・アルバムをリリース
[インタビュー] アシックスジャパンによるショートドラマ 主題歌は注目のSSW、友成空[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤
[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ
[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも
[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”
[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015