〈カンヌ国際映画祭〉パルムドール受賞作『
万引き家族 』の音楽を担当し、国内だけでなく世界中のアーティストからリスペクトされる音楽家・細野晴臣のデビュー50周年を記念した
佐渡岳利 監督によるドキュメンタリー映画「NO SMOKING」が2019年11月に公開決定。併せて特報映像と場面写真が公開されています。
本作は、細野の幼少期の音楽との出会いを皮切りに、
はっぴいえんど 、
YMO (イエロー・マジック・オーケストラ)での活動、そしてソロとしての音楽活動を辿るほか、近年の活動にカメラが完全密着。2018年台湾公演を皮切りに、英ロンドン、米ニューヨーク、ロサンゼルスで開催されたワールド・ツアーの模様や、バンド・メンバー(
高田 漣 、
伊賀 航 、
伊藤大地 、
野村卓史 )とのリラックスした交流の映像も映し出されており、細野の音楽活動の一端が垣間見える内容となっています。
また、
高橋幸宏 、
小山田圭吾 が参加したロンドン公演では、
坂本龍一 が飛び入りで参加し、5年ぶりにYMOメンバーが揃った貴重な演奏を捉えるほか、
水原希子 やカナダのシンガー・ソングライター、
マック・デマルコ ら若い世代アーティスト達から愛され、互いにインスパイアし続け自身の音楽をさらに進化させる姿や、細野の師匠的存在の鬼才プロデューサー、
ヴァン・ダイク・パークス との交流の様子、自身のルーツを語る貴重なインタビューも収録。特報映像内では「楽しいことがやりたい」と語り、親しい仲間たちとコントに挑戦するお茶目な一面も披露しています。
細野がこよなく愛するタバコと音楽生活を重ね合わせた本作のタイトル「NO SMOKING」について、細野は独特の表現でコメント。「世界中を旅して最も感じたことは、当然のことながらどこもNO SMOKINGだったということです。(中略)世界が歩調を揃えているこの禁煙法には違和感を持ちつつも、逆らうことはできません。ですから人に迷惑がかからないことを念頭に、周囲を見渡しながら喫煙を心がけているわけです。喫煙所さえあれば一安心。こうしてNO SMOKINGの世界でSMOKERを自認するのは、ひょっとするとタバコをやめるよりも意志の強さが必要となります。煙を吐くだけで差別され、否応なく少数派の立場に立たされるのですから。『詭弁を言わずにやめたら?』と言われます。いやいや、20世紀の文化を支援してきた紫煙に、突然愛想をつかすわけにはいかないのです」と語っています。
さらに、本作が公開されることについて「自分の映画が出来上がって上映されるとは夢のようですが、同時に悪夢だとも思えます。何故生きている間にこんなことになったのかといえば、今年になって50年も音楽生活を続けてきたせいでしょうか。このような映画を自分で作ることはできません。製作陣の熱意があってこそ実現したものであり、自分も観客のひとりとして見ることになります。しかし到底客観的な評価などできるはずもありません。どうか見た人が少しでも得ることがあるように、と祈るばかりです」とコメント。また、NHKのエンタープライズのエグゼクティヴ・プロデューサーで「紅白歌合戦」「MUSIC JAPAN」など数々の音楽エンタテインメント番組のほか、Perfume初の映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』を手がける監督の佐渡は、「YMOに衝撃を受けた少年時代から仕事をご一緒させていただく今に至るまで、細野さんを『スゴい!』と思い続けてきました。私と同じ思いの方には、その再確認ができて、初めて細野さんに出会った方には我々と同じ思いになれる映画にしたいなと思います。カッコ良くて、カワいくて、音楽を心から大好きな細野さんに、是非会いにきてください」とそれぞれ思いを語っています。
『NO SMOKING』とは? by細野晴臣 世界中を旅して最も感じたことは、当然のことながらどこもNO SMOKINGだったということです。しかしそれは屋内のこと。外ではほぼ喫煙OK。意外と寛容なところがありました。紐育、倫敦では路上ポイ捨てが常識で、それに馴染めずに自分は携帯灰皿を持ち歩いたのです。それを見た土地の人から「礼儀正しいね、でも吸い殻を清掃する業者の仕事を奪う」ってなことを言われました。なるほどそういうこともあるのか。その携帯灰皿を紐育で紛失し、買い求めようとしたらどこにも売ってません。あれは日本独自のものらしい。仕方なく紙コップを持ち歩きました。日本の路上禁煙は珍しい例だそうです。香港はブロック毎に大きな灰皿が設置してあり、喫煙率が高そう。長旅でホテルに泊まれば、ぼくは1時間毎に外の喫煙所へ出ることになり、それはかなり苦痛なことです。部屋で吸えば高額な罰金を取られますから。世界が歩調を揃えているこの禁煙法には違和感を持ちつつも、逆らうことはできません。ですから人に迷惑がかからないことを念頭に、周囲を見渡しながら喫煙を心がけているわけです。喫煙所さえあれば一安心。こうしてNO SMOKINGの世界でSMOKERを自認するのは、ひょっとするとタバコをやめるよりも意志の強さが必要となります。煙を吐くだけで差別され、否応なく少数派の立場に立たされるのですから。「詭弁を言わずにやめたら?」と言われます。いやいや、20世紀の文化を支援してきた紫煙に、突然愛想をつかすわけにはいかないのです。 VIDEO
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