4月11日(木)と13日(土)に〈東京・春・音楽祭2019〉に初登場し、変奏曲のみで組んだ意欲的なプログラムで2回のリサイタルを行なう露ニジニーノヴゴロド出身のピアニスト、
イゴール・レヴィット(Igor Levit)が、来日直前に独ハンブルク エルプフィルハーモニーで記者会見を開催し、2019年9月にCD9枚もしくは10枚組からなる『ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ全集』(価格・品番未定)をリリースすることを発表。
2018年に米国の“ギルモア賞”や英国ロイヤル・フィルハーモニック協会の“インストルメンタリスト・オブ・ザ・イヤー”を受賞したレヴィットは、2013年にデビュー盤として
ベートーヴェンの後期ソナタ集の2枚組を、2014年に
J.S.バッハのパルティータ集全曲2枚組を、そして2015年にはJ.S.バッハの「ゴールドベルク変奏曲」、ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」、
ジェフスキの「不屈の民の変奏曲」という3曲の大作変奏曲を収めた3枚組を発表するなど、個性的なアルバムのリリースでも知られています。2018年に発表した最新作『
ライフ』は、J.S.バッハから
ビル・エヴァンスまでのさまざまな作品を集めた2枚組。親友の死という衝撃を、録音に昇華させたパーソナルなアルバムです。
レヴィットが次に取り組むのが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲のセッション録音。この全集はソニー・クラシカルにとって、2020年のベートーヴェン生誕250年記念イヤーに向けての最も重要なリリースのひとつと位置付けられています。
レヴィットはこの録音プロジェクトについて「この全集は、私の過去15年間の演奏活動のひとつの集大成となるものです。17歳の時、ディアベリ変奏曲と文字通り人生を変える出会いを果たし、作品に対しての驚きと畏敬の念を今も持ち続けている私にとって、ベートーヴェンのピアノ・ソナタと日々向き合い、個人としてのベートーヴェンと触れ合い、それらを私や、私が住む世界と関連付けていくこと――こうした行為の全てが、この全集録音に結実しているのです。2013年に後期5曲のソナタで録音を開始し、今年ようやく終わりました。私は今、この上ない幸福感を噛みしめていると同時に、これが新たな始まりであることも自覚しています」とコメントしています。
レヴィットは全集のリリースに合わせ、ハンブルクやルツェルンをはじめとする世界の主要都市でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏を行なうことが決まっています。