東京・渋谷 新国立劇場にて『さまよえるオランダ人』全3幕(ドイツ語上演 / 字幕付)が上演されます。本作の上演は、マティアス・フォン・シュテークマン演出による2007年初演、12年再演を経て、今回が3度目。指揮は、
ワーグナーのスペシャリストであり、新国立劇場オペラ新芸術監督を務める
飯守泰次郎です。
本作は、オランダ人船長が神を罵った罰で永遠に海をさまよい続けるという近代イギリスの伝承をもとに、ワーグナー自身が遭難しかかった体験を重ね合わせて書かれた初期のオペラ。永遠に海をさまよう呪われたオランダ人船長を乙女ゼンタの愛が救う物語で、この“愛と自己犠牲による救済”は本作以降、ワーグナー作品に共通するテーマとなっています。
出演は、トーマス・ヨハネス・マイヤー、リカルダ・メルベートとバイロイト音楽祭でも活躍するベテランを主役2役に配したほか、難役エリックにダニエル・キルヒ、ダーラントにラファウ・シヴェク。シヴェクは『ドン・カルロ』フィリッポ二世にも出演します。
また本公演に先立ち、新国立劇場では特別企画として『さまよえるオランダ人』(演奏会形式 / ピアノ伴奏 / 合唱カット版)も開催。この特別企画では、ふだんカヴァー歌手として新国立劇場にスタンバイしている、日本を代表する実力派ソリストたちによる歌唱を堪能できます。合唱部分をすべてカットしたシンプルなヴァージョンとすることで、作品に込められたエッセンスを実感できる貴重な機会です。どうぞお聴きのがしなく。