1970年代に「ビッグコミック」(小学館)に連載され、禁断の愛とミステリー、芸術とエロス、スキャンダル、オカルティズムなど、
手塚治虫が様々なタブーに挑戦した大人向け漫画「ばるぼら」。その独特な世界観から“映画化不可能”と言われてきた作品が、手塚治虫生誕90周年を記念し、初映像化されることが決定。〈第32回東京国際映画祭〉“コンペティション部門”の正式招待をはじめ、世界各国の映画祭の巡回を経て、映画「ばるぼら」が11月20日(金)より、東京・シネマート新宿、東京・渋谷 ユーロスペースほかにて公開されます。
2018年の制作発表から2年の月日を経て公開される映画「ばるぼら」は、日本、ドイツ、イギリスから唯一無二のスタッフ&キャストが集結した作品。異常性欲に悩まされている耽美派小説家の美倉洋介を、『
半世界』(
阪本順治監督)や「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(
大林宣彦監督)の
稲垣吾郎が、芸術家のミューズであり自堕落な生活をおくる謎の女・ばるぼらを
二階堂ふみが演じており、日本映画でも異彩を放つ2人が完備で退廃的な「ばるぼら」の異世界を全身全霊で臨んでいます。
共演に、
渋川清彦、
石橋静河、
美波ら国内外で活躍する豪華俳優が脇を固めるほか、監督は手塚治虫の実子であり、『
白痴』(ヴェネチア国際映画祭 デジタルアワード受賞)や『
ブラックキス』(東京国際映画祭 招待作品)など独特の映画美学により国際的に評価される
手塚 眞が担当。撮影監督には、
ウォン・カーウァイ監督作品などの映像美で知られる
クリストファー・ドイルを招きました。
また、公開に先駆け、日本版のポスター・ヴィジュアルが公開。こちらは、海外版を踏襲し、美倉が持つペンにばるぼらが宿る絵をメインに、「狂気の果て。あれは幻だったのだろうか―」というキャッチコピーが印象的な仕上がりとなっています。
[コメント]「都会の吹き溜まりに真実は潜んでいる。あらがえない輪廻転生の中に自分の人生もまるごと引きずりこまれていく」
そんな思いと共に今も僕の中にばるぼらが生きています。
手塚眞監督、スタッフの皆さん、そして役を共に生き抜いてくださった二階堂ふみさんをはじめとしたキャストの皆さんにも心から感謝しています。――稲垣吾郎曇天の新宿を、稲垣さん演じる美倉洋介と走り続けました。
湿ってて、汚れてて、それでも愛おしさを感じてしまう人間の感情に埋れながらも、美倉先生はひたすら貪欲にそれらを追い続けておりました。
雑踏の中、希望を示してくださり、助けて頂き、感謝しかありません。――二階堂ふみ手塚治虫生誕90周年を記念してはじまった映画『ばるぼら』。自分がこれまで描いてきた映画の世界と手塚治虫マンガの接点があるとすれば、この作品に違いないと選んだ原作でしたが、まさに夢のようなキャスト、スタッフが奇跡のように集結し、夢を見ていたかのような撮影、そしてこれも夢の中のようなベルリンのスタジオで魔法のように完成。東京国際映画祭をはじめ多くの国際映画祭への招待。なにもかもが「芸術の女神(ミューズ)」の粋な取り計らいなのだと信じています。稲垣吾郎さんと二階堂ふみさんの美しさはまさに芸術品。そしていよいよ多くの皆さんと夢を分かち合えるときが巡ってきました。恐らくミューズは、映画館から閉塞的な世の中へ奇跡をふりまくことでしょう。愛と狂気についての映画ですから、理屈も言葉も超えて、陶酔の世界を堪能していただければ嬉しいです。――手塚 眞©2019『ばるぼら』製作委員会