誰も見たことのない、だが誰にでも起こり得る母と子の壮絶なドラマを描く映画『明日の食卓』が、2021年春に全国ロードショー決定。キャスト及び監督コメントが公開されています。
原作は、2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』で作家デビュー後、『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、第23回坪田譲治文学賞を受賞、『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞した椰月美智子による『明日の食卓』。どこにでもいる母と子供たちの、リアルで壮絶な物語です。
本作に挑んだのは
菅田将暉、
小松菜奈出演の『
糸』や
綾野剛主演の『
楽園』、そして『
8年越しの花嫁 奇跡の実話』を生み出した
佐藤健と再びタッグを組んだ『護られなかった者たちへ』の公開が控え、精力的に作品を生み出している
瀬々敬久監督。同じ“石橋ユウ”という子供を持ち、住む場所も環境も全く違う母親3人には、豪華女優陣が集結しました。
『
ジーン・ワルツ』以来10年ぶりの映画主演となる
菅野美穂が元フリーライターで2人の息子を育てる留美子役に挑み、やんちゃ盛りの息子たちを育てながら仕事復帰を目指す母親をパワフルに演じます。また、シングルマザーで大阪に暮らす加奈には
高畑充希。若くして子供を産み、日々非正規の仕事を掛け持ち、時間に追われながらも息子のために健気に生きる姿が心を打ちます。そして年下の夫と優等生の息子に囲まれ、一見何不自由なく幸せを手に入れているあすみを
尾野真千子が丁寧に演じます。
それぞれの「石橋家」が交錯し、明るく幸せな生活が思いもよらない方向へと向かっていく様は、女優たちのリアリティあふれる演技と、鬼気迫る演技が臨場感をもたらしています。子を持つ親なら誰もが直面する社会問題を、社会派エンタテインメントの旗手である映画作家・瀬々敬久監督と初タッグとなる菅野美穂、高畑充希、尾野真千子ら素晴らしい女優陣が、観るものの問題意識を喚起しながら、ハラハラドキドキ感とともにクライマックスへと向かわせ、ラストには見事に希望の光を見出してくれる、第一級のエンタテインメントへと昇華します。
[コメント]私自身が育児中という事もあり、運命を感じる役との出会いでした。留美子を演じながら、子どもへの愛情と、母性の狂気を改めて見つめ直すような気持ちになりました。
瀬々監督の作品に参加させて頂くのは今回が初めてだったのですが、寡黙なお人柄ですが熱い思いでお芝居を受け止めてくださいました。
瀬々組の阿吽の呼吸のスタッフの皆さんのお陰で、集中して取り組む事ができたのだと思います。
毎日抜け殻になるまで撮影をした、という気がします。
高畑充希さん、尾野真千子さんという素晴らしい女優さん達と一緒にこの作品に参加させて頂けてとても幸運に思っています。――菅野美穂はじめての瀬々組。とてつもなくパワフルな現場で、あれよあれよという間に時間が過ぎてゆきました。1日1日の密度があまりにも濃すぎて、撮影期間の記憶がほとんどありません。笑
でも、スタッフさん達の瀬々監督作品への愛を毎日肌で感じていた事だけは覚えていて、きっとその愛情が、出来上がる映画からも溢れているんだろうなと思います。
自分自身が生まれ育った大阪の、空気とか匂いとかを思い出しながら懐かしみながらこの加奈という役をやらせていただけて、本当に幸せでした。――高畑充希母を演じる事はやはり難しいです。
母の気持ち、子の気持ち、まだいくら考えてもわかりません。
いくら歳をとっても経験者当事者でないとわかりません。
この役を演じて怖くもありました。
でも繋がりとは素敵で美しい大切なものなのですね。――尾野真千子一見平穏で楽しそうな子育て中の三つの家族がゆっくりと崩壊していく様子を、決して悲観的にならず最後は希望を持って描いている原作にまず惹かれました。
それはどんな家族にも訪れうる悲劇で、他者の身になって想像するという、今の分断化された世界の中で一番必要なテーマだと思えました。
より広い世界観につながる映画にしたい、そう思いました。
3人の母にはこの上ない方たちに集まって貰えました。
菅野美穂さんは実際に子育て中であり、ご自身の経験を生かしてチャーミングなお母さんを演じてくれました。
そしてラストは一線を超えた迫力です。
高畑充希さんが演じるのは大阪のシングルマザー、これも高畑さん自身が大阪出身ということもあり、頑張るオカンを等身大で気丈に演じていただき感動的です。
尾野真千子さんが演じるのは、ちょっとサイコな小学生の母親です。
複雑な性格の彼の暴走を食い止めるには体当たりの魂の叫びしかなく、まさにそこに至っています。
映画の中では、やがてこの三人の姿が微妙に繋がっていきます。
映画ならではのその醍醐味も楽しんでもらえたらと思います。――監督: 瀬々敬久『明日の食卓』が映画化されると聞いたとき、これほど映像化にぴったりな小説はないんじゃないかと、自身はじめての映像化に胸が高まりました。
そして、瀬々監督!主役の三人である菅野美穂さん、高畑充希さん、尾野真千子さん!のお名前を耳にし、この映画は成功するに違いないと確信しました。
「三人の母親」と「虐待」は、どのような経緯をたどって、どのような結末になるのでしょうか。
いろいろな意味で問題作となるはずです。期待しかありません。――原作: 椰月美智子©2021「明日の食卓」製作委員会