キース・ジャレット(Keith Jarrett)が1996年末からの慢性疲労症候群による演奏活動一時休止の直前、イタリアで行なったピアノ・ソロ・ツアーの様子を収録した4枚組アルバム
『ア・マルティテュード・オブ・エンジェルズ』(UCCE-1161〜4 4,500円 + 税)がECMより11月16日(水)にリリース。70年代から続いた長時間2セット + アンコールという、ジャレットによる完全即興ソロ・ピアノ公演の原点ともいうべきスタイルの貴重な記録です。
1973年の
『ソロ・コンサート』から数えて通算14タイトル目となるソロ・コンサート作である本作は、96年、日本そしてアメリカでの“スタンダーズ”トリオの公演を終え、10月にイタリアで行なったソロ・パフォーマンスを収録。このイタリア・ツアーにおいてジャレットは今まで感じたことのない疲労感にさいなまれ、その後演奏活動を休止します。99年にソロ・ピアノ作
『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』で復活しますが、体調面での大きな変化もあり、長編曲を即興でパフォーマンスしたソロ・コンサートはこのイタリア・ツアーが最後となりました。
1998年の「NYタイムズ」紙によるインタビューで「あのコンサートで、どうエネルギーを使ってしまったのか自分でもわからない。まるで、体の中にエイリアンでも入り込んだみたいだった。自分は2度とステージに立てないと思ったよ。最後のコンサートでは葬送曲まで弾いたさ。自分自身のためにね」と語るほど、このツアーでの演奏は全身全霊をかけた、決意に満ちた内容でした。このツアーはプロデュースもレコーディング・エンジニアもジャレット自身が務め、慢性疲労症候群の予兆に苦しみながら現地でレコーディングした模様がライナーノーツで語られています。
私はこの数ヶ月、幾度となくこれらのコンサートを聴き、これらが私のキャリアの“頂点”を代表するものだと信じている。――キース・ジャレット
■2016年11月16日(水)発売
キース・ジャレット
『ア・マルティテュード・オブ・エンジェルズ』
UCCE-1161〜4 4,500円 + 税
[disc 1 / モデナ, テアトロ・コムナーレ]
01. PART 1
02. PART 2
03. DANNY BOY
[disc 2 / フェラーラ,テアトロ・コムナーレ]
01. PART 1
02. PART 2
03. ENCORE
[disc 3 / トリノ,テアトロ・レジオ]
01. PART 1
02. PART 2
[disc 4 / ジェノヴァ,テアトロ・カルロ・フェリーチェ]
01. PART 1
02. PART 2
03. ENCORE
04. OVER THE RAINBOW
[録音]
1996年10月イタリア