ピアニストの
児玉麻里が、長年温めてきた初のブラームス・アルバム『新しい道〜ブラームスとシューマン夫妻の出会い』を11月中旬に発表します。収録曲は
ブラームスのピアノ・ソナタ第1番ハ長調 Op.1、
シューマンの主題による変奏曲 Op.9、主題と変奏(弦楽六重奏曲第1番・第2楽章による)Op.18B、シューマン(クララ・シューマン編):献呈 Op.25の1。
1853年10月1日にブラームスはシューマン夫妻を訪ね、ブラームスの「作品1」であるピアノ・ソナタ第1番をみずから披露しました。その演奏をローベルト・シューマンは一人で聴いていましたが、妻の
クララにも聞かせたいと演奏を止めたと伝えられています。病に苦しんでいた晩年のシューマンは、ブラームスの訪問を受けた月末に「新しい道」のタイトルで熱くブラームスを楽壇に紹介しました。
児玉は、このブラームスとシューマン夫妻の出会いをこのアルバムで描いています。この出会いをきっかけに、ブラームスは翌年、シューマンの「色とりどりの小品 Op.99」の「5つのアルバムの綴り」第1曲と「クララ・ヴィークの主題による即興曲 Op.5」をもとに「変奏曲 Op.9」を作曲、クララに捧げました。さらに6年後、弦楽六重奏曲第1番・第2楽章による変奏曲を作り、やはりクララに捧げています。
このアルバムでは、シューマンが結婚式の前日にクララへ送ったとされる「献呈 Op.25の1」をクララの編曲であわせて収録しています。この曲は
リストの編曲が有名ですがクララはその版を嫌ったとされ、彼女の編曲ではよりシューマンの思いが伝わってくるようなピアノ曲となっています。