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KOKIA、〈Winter Tour 2009「12月の贈り物」〉が大盛況で閉幕〈ライヴ・レポート〉

KOKIA   2009/12/28掲載(Last Update:10/01/05 16:46)
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KOKIA、〈Winter Tour 2009「12月の贈り物」〉が大盛況で閉幕〈ライヴ・レポート〉
 12月にベスト・アルバム『Coquillage 〜The Best CollectionII〜』(写真)がリリースされたKOKIA。12月11日(金)名古屋千種小劇場名古屋から始まった彼女のライヴ・ツアー〈Winter Tour 2009「12月の贈り物」〉も、12月24日(木)の横浜公演で終了しました。オリジナル曲はもちろん、クリスマス・ナンバーや新曲も披露されたこのツアー。どの会場もリラックスした雰囲気でたくさんの観客がKOKIAの心の温まる歌に魅了されました。そこで、最終日の横浜ランドマークホールの公演も模様をレポートします。

 クリスマスイブ&イルミネーションに彩られた横浜みなとみらい。絶好のシチュエーションで迎えたウィンター・ツアー最終日は、KOKIAというミュージシャンの独自性がダイレクトに伝わる美しいステージとなった。

 ステージ上のツリーの灯りが暗転し、無伴奏で歌いだされた「Amazing Grace」。1曲目から、オーディエンスの心が静かに洗われていくのが客席最後部からでも分かる。オリジナルとカヴァーを交えたクリスマス・ナンバーを軸に、新旧のレパートリーから聖夜に相応しい“祈り”がこめられた曲目が奏でられるステージを観ながら、このアーティストの独自性は、歌における“響き”の表現によるところが非常に大きいのではないか、と感じていた。

 〈歌が上手い〉というのは実に多義性のある表現だが、節まわしのテクニック/声量/歌詞への感情移入など、どちらかと言えば“歌い倒す”歌唱法を得意とするパターンを評して使われることが多い。

 KOKIAの場合、声の響きそのものを、曲が要求する感情表現の方法として、ちょっと他に例を見ないレベルで自在に操っているところに独自性がある。発した歌声が、隙間隙間でどのように響き渡り、どのように減衰していくのか。その特異とも言える“響きの掌握・制御能力”は、穏やかな曲調を中心としたこの日のメニューで、より一層際立っていたように思う。ピアノの浦清英を中心とする演奏陣も、その響きを聴き分け、実に繊細にフォローしていく。


 MCでは「欧州でも全く同じ日本語の曲を歌っているのに、通じるのが不思議」と語っていたKOKIA。それはおそらく、言語としての歌詞の意味を翻訳して有り余る、声の“響き”の感情的豊かさがもたらしたものだろう。その証のように、本編最後に歌われた「a gift」。喃語(なんご:乳児のまだ言葉にならない発声)に、ひとこと“ママ”という言葉が挟まるだけの歌詞無き歌だが、生まれたての無垢な命の尊さが、どんなに言葉を尽くすよりも伝わってくる見事な“歌”になっていた。

 コンサート会場という一期一会の空間を共有し、その空間の隅々へと行き渡る、世界レベルの歌声の“響き”にゆっくりと身をゆだねる。そんな芳醇な音楽体験に魅入られてしまった会場一杯のオーディエンスの気持ちに触れた一夜だった。


〈2009年12月24日 横浜ランドマークホール KOKIA/Winter Tour 2009 「12月の贈り物」〉

[SET LIST]
01. Amazing Grace
02. 次ぎ会う時は
03. 白い犬と踊る夜
04. Have yourself a merry little Christmas
05. サンタが街にやってくる
06. Sparkling Christmas
インスト:I'll be for Christmas
07. 聖なる夜に
08. ぬくもり〜aigakikoeru〜
09. クリスマスの響き
10. Ave Maria
11. 君をさがして
12. 世界の終わりに
13. infinity
14. いつか誰かを愛した時
15. a gift
ENCORE:サンタが街にやってくる

〈PERSONNEL〉
KOKIA(vo)、浦清英(p)、松尾和博(g)、山本恭久(perc)
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