是枝裕和監督と脚本家・
坂元裕二の初タッグで贈るオリジナル映画 『怪物』 が、東宝とギャガ共同配給で、2023年6月2日(金)に全国公開することが決定。
本作の監督を務める是枝裕和は『
そして父になる』でカンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞、さらに『
万引き家族』はカンヌ最高賞であるパルムドールを受賞するという栄誉に輝き、今年公開の『
ベイビー・ブローカー』ではカンヌ国際映画祭にてエキュメニカル審査員賞を受賞。主演の
ソン・ガンホは韓国人俳優として初となる最優秀男優賞を受賞し話題となりました。『
真実』ではフランス、『ベイビー・ブローカー』では韓国と、世界中の映画人とタッグを組んできた是枝監督が、久々に日本で映画制作をします。
また、本作の脚本を務めるのは、『
花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二。是枝監督が今最もリスペクトするという坂元はこれまで『
Mother』、『
最高の離婚』、『
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、『
カルテット』、『
大豆田とわ子と三人の元夫』、『
初恋の悪魔』など、視聴者の心を捉えて離さない数多くの連続ドラマの脚本を手掛け、常に新作が待ち望まれる脚本家です。また数々の受賞歴を誇り、『最高の離婚』では日本民間放送連盟賞最優秀賞、『Mother』では第19回橋田賞、『
Woman』では日本民間放送連盟賞最優秀賞、『カルテット』では芸術選奨文部科学大臣賞、『
anone』ではMIPCOM BUYERS' AWARD、『大豆田とわ子と三人の元夫』では文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞するなど枚挙にいとまがありません。
この日本屈指の映像作家とストーリーテラーのコラボレーションについて、是枝はかねてより坂元の手腕に羨望と畏敬の念を抱いておりファンだったことを明かし、協業についてはどこか諦めていたが、夢が叶ったと喜びを言葉にしています。また坂元の素晴らしい脚本とちゃんと勝負しなくてはいけないと感じながら撮影に挑み、誰よりもこの作品の完成が待ち遠しいとコメントを寄せています。一方で坂元は、是枝作品の脚本を監督以外の人が書くことについて、無理に決まってると考えていたこと、是枝は憧れの存在のような人であり、嫉妬めいた思いの対象だったこと、その気持ちが少しずつ変化し、今回の映画作りに至ったことについて触れています。そして本作が自分を好きになれない誰かへのエールになるといいなと思っているとコメントを寄せています。
互いにリスペクトしあいながらも、実現不可能と思ってきた夢のコラボレーションが結実した新作『怪物』に是非ご期待下さい。撮影は2022年の春と夏に終え、現在ポストプロダクション中。公開は2023年6月2日(金)を予定しています。
この度解禁されたのは、森の中を走る2人の子供たちのイノセントな写真。そして作品タイトル『怪物』。怪物とはいったい何か。この2人の子供たちがどのような物語を紡いでいくのか。坂元裕二が書き下ろした脚本を、是枝監督がどのように映像表現しているのか。続報にもご期待ください。
[コメント]基本的には自分の映画は自分で脚本を書いて来ましたが、誰か脚本家と組むなら誰が?という質問には必ず「坂元裕二!」と即答してきました。それは、そんなことは自分のキャリアには起こらないだろうとどこかで諦めていたからです、きっと。夢が叶ってしまいました。こんなことを言うと坂元裕二ファンには怒られるかも知れませんが、加害者遺族、赤ちゃんポスト、子供達の冒険旅行、疑似家族と、同じモチーフに関心を持たれている方だなと親近感を抱いておりました。もちろん作品になるタイミングは前後していますし、扱い方は全く違うのですが、それでも彼と自分は同じ時代を生き同じ空気を吸って吐いているんだと感じていました。そして、何より、その題材をとてつもなく面白いものに着地させる手腕には、羨望と畏敬の念と両方を抱いておりました。
今回は、縁あって共同作業が実現してしまいました。監督としてこの素晴らしい脚本とちゃんと勝負しなくてはいけないと、ファンであることは隠したつもりだったのですが、恥ずかしながら、バレバレだったと思います。
まだタイトル以外は明かせませんが、誰よりもこの作品の完成が待ち遠しいです。――是枝裕和監督是枝作品の脚本を是枝さん以外の者が書くと聞くと、観客の方はどのように思われるのでしょう。わたしは、「え、そんなことはありえるの? 無理に決まってるでしょ」派です。是枝監督は世界一の脚本家でもありますから。しかも撮影現場で俳優やスタッフと対話しながら脚本を作っていくタイプの監督です。そんな仕事を引き受けた脚本家がいたら、身の程知らずだなと苦笑いするはずです。まったくもって愚か者ですね。
是枝さんは学年もクラスも違っていて話したこともないけど、時々廊下で目が合ったり、持ってるものを見て真似して手に入れたくなる、憧れの存在のような人でした。あんな人になりたかったな、なれなかったな。いいな、羨ましいな。そんな嫉妬めいた思いの対象だった是枝さんが、『海よりもまだ深く』という映画の作中やインタビューで「こんな自分になりたいわけじゃなかった」と語られていて、驚きました。是枝さんの秘密をちょっと知ったような気になりました。誰だって多かれ少なかれ自分に納得いかなくて、こんなつもりじゃなかったと思いながら生きていて、どこかで折り合いをつけようとするけど、良いこともあれば悪いこともある。自分のことがあまり好きじゃなかったりする。廊下の向こうにいる是枝さんのことを見かけるたびに、「僕もそうなんだよね」と心の中で勝手に話しかけてみたりする、そんな存在に変わって、この映画もそんな風にして作っていきました。自分を好きになれない誰かへのエールになるといいなと思っています。――坂元裕二©2023「怪物」製作委員会