ポーランドの名匠
クシシュトフ・クラウゼ監督の遺作となった、歴史上初めてのジプシー女性詩人“パプーシャ”を描いた映画『パプーシャの黒い瞳』(公開中)。公開を機に刊行された詩集『パプーシャ その詩の世界』(ムヴィオラ刊)が詩集としては異例のヒットを記録するなど話題となる中、5月10日(日)に東京・岩波ホールでイベントが開催。第一詩集『ウイルスちゃん』(2012年)で〈第17回中原中也賞〉を受賞し、さまざまなフィールドで活躍する気鋭の詩人・暁方ミセイ(あけがた みせい)が出演し、ポエトリー・リーディングを披露しました。
この日は本編上映後、暁方がパプーシャの詩を朗読。暁方は、「パプーシャは“歴史上初のジプシー女性詩人”と言われているようですが、私には、彼女はまず“詩人”であって、でも彼女がジプシーのコミュニティの中にいたために、コミュニティの境界を出てしまうことになったのだと感じた。詩を書くことで、彼女のジプシーとしての人生は犠牲になってしまったかもしれないが、その詩は私たちの胸を打つ、まさに人々に読まれるべき詩を書いていると思う」「パプーシャの詩は、森や川や自然に対して、守ってくれているものという感情もあるし、恋人のような感情もあるし、話しかける相手のようでもある」と、その詩の魅力を語っています。
“詩”という言葉の力に加え、音楽、そして圧倒的なモノクロームの映像と、総合芸術たる映画の力を改めて感じさせる『パプーシャの黒い瞳』、岩波ホールでの上映は5月22日(金)まで。ほか劇場での公開スケジュールはオフィシャル・サイト(
www.moviola.jp/papusza)をご覧ください。