坂本龍一が主宰する音楽レーベルcommmons(コモンズ)に所属するアーティスト、
□□□(クチロロ)が、さる4月1日(木)に渋谷クラブクアトロで10年代のエンタメ業界の在り方を占うかのような非常に興味深いワンマン・ライヴ<□□□02 演奏撮影会>を行ないました。演出を担当したのは伊藤ガビン。この日の公演は通常禁止される撮影をフリーとし、入場者全員に撮影パスを配布、現在新しいメディアとして注目されはじめている動画共有サービス"USTREAM"によるライヴ・ストリーミングをiPhoneなどの携帯端末からお客さんに自由に撮影してもらうというもの。そのカメラの数はオフィシャルのUSTREAMを含めると合計100台超にも及び、<□□□02 演奏撮影会>は、約100カメでリアルタイムに全世界へ配信されました。
さらに□□□のオフィシャルサイトから配信される、約100台のカメラによる生中継を閲覧しながらのトークライヴが、同じくUSTREAMを使った話題のライヴ・ストリーミング放送局"DOMMUNE"で生中継されました。
宮沢章夫(劇作家/演出家)、阿部和重(作家)、
いとうせいこう、
やついいちろう(
エレキコミック)の4人によるこの日のDOMMUNEのトーク・ライヴに集まった人数はなんと約3,000人、一方□□□のオフィシャルUSTはアクセスが集中し何度かサーバーがダウン、常時約2,000人、会場でUSTしている、すべてのカメラを追い切ることはできないので定かではありませんが100カメの向こうで見ている人を合わせると少なく見積もっても渋谷クラブクアトロのキャパシティ700人を大きく上回る武道館クラスの7,000〜8,000人がなんらかの形で<□□□02演奏撮影会>を楽しんだことになります。延べ人数でいうと両チャンネルには合計約4万人がアクセスしたことになります。
ちなみにいとうせいこうは19時からのDOMMUNEに出演、19時半開演の<□□□02 演奏撮影会>でライヴをするという離れ業をやってのけました。そして渋谷クアトロでライヴを終えたメンバー3人はDOMMUNEに移動、DOMMUNEでもパフォーマンスを展開しました。
「音楽ライヴにとっての21世紀モデルを観客の皆さんと共に創作してまいります」と、いとうが語る通り、低迷が叫ばれる昨今の音楽業界にとって新たな可能性が開かれた記念すべき夜になったのではないでしょうか。
この日のステージでは、注目の若手演劇制作チーム"快快"のパフォーマンスを取り入れたり、
タナカカツキ、
小田島等などのクリエイターがイラストや映像、はたまた粘土までをステージ上でリアルタイムに作り、それを公演中にVJとして使うなど、パフォーマンスそのものにも斬新なアイデアが多数盛り込まれていました。アンコールはUSTREAMでの放送をいっさいしなかったことも興味深いポイントです。
またこの日□□□は、初のDVD作品
『クチロロのワンダーランド 2』をリリース。これは、昨年12月5日、代官山UNITで行なわれ、いち早くTwitterとUSTREAMをパフォーマンスに取り入れ話題になった公演<everyday is a symphony>の模様を収録した2枚組DVD。ライヴ中のMCでもメンバーが力説した通りDISC2にはパソコン上で8つのカメラ
による映像を自由にスイッチングしながら再生できる画期的なアプリケーションデータ「8roro」、世界中のwebカメラが切り替わるスクリーンセーバー「0roro」も入っています。
斬新な活動が注目を集める□□□の仕掛けに今後も期待しましょう。