全国5大都市のアリーナ/ドーム会場を廻る
L'Arc〜en〜Ciel<20th L'Anniversary TOUR>。そのファイナルとなった京セラドーム大阪2Daysはチケット発売開始後、たった数分でソールドアウト! 38,000人を収容するドーム球場にして巨大複合レジャー施設には、開場時間前から多くのファンが周囲を取り囲み、開演の瞬間を待つ。
一日目。ステージ幅に配置された巨大LEDに映し出されたのは、メンバーの瞳や宇宙、そして天使が運ぶケーキが祝福する“20th L'Anniversary”。映像を駆使したドラマティックな演出と、煌びやかな照明に彩られて、客席の反応はオープニングからクライマックスを迎えたかのような盛り上がりをみせる。場内が暗転すると、静寂の中に響きわたったのは
hydeの独唱。オープニング・ナンバーの「虹」は、生ストリングスが施されたアレンジ。LEDが映し出すキャンドルをバックライトに浮かび上がるhydeのシルエットは、この曲が持つ深くシリアスな側面をより強いコントラストで浮かび上がらせているかのよう。
色彩豊かな「Caress of Venus」や「GOOD LUCK MY WAY」といったエッジの効いたナンバーが立て続けに演奏された前半。とりわけ「the Fourth Avenue cafe」では、100m以上はあろうかというステージの最右翼から最左翼まで、メンバーはのっけからアクティヴな動きをみせる!
「ハタチになりました、L'Arc〜en〜Cielです。オトナになったんで、北新地へ行こうと思います(笑)」というhydeのご当地MCで場内を沸かせると、「ずいぶん寒くなってきたよ。ちょっと涼しい曲を」と「winter fall」へ。雪の結晶やブルーを基調とした映像は楽曲にシンクロして雰囲気を大いに盛り上げる。続けて演奏された「fate」もクールな質感を持つナンバーであり、この季節にピッタリな選曲! また、「As if in a dream」「風の行方」といった初期のナンバーは、ひときわ大きな反応で客席に迎えられる。
ステージ左右に再びオーケストラ・ボックスが現れると、曲は「forbidden lover」。LEDに俯瞰から映し出された
yukihiroのスネア。そのビートは力強い。淡々と、しかし感情の起伏を表すかのようなダイナミズムが、楽曲の持つ壮大な物語を盛り上げる。瓦礫に築く楽園を歌ったこの曲から、夢を描く「MY HEART DRAWS A DREAM」の流れは圧巻。導入となる
kenのギターソロはドリーミーで、闇を浄化させるような輝かしいトーンに溢れていました。
ひときわ会場を湧かせた「REVELATION」の後は、怒濤の後半戦。勢いにのった「HONEY」から、「大阪! 行こうぜ!」というhydeの声を挟んで「SEAVENTH HEAVEN」「Blurry Eyes」へ。
tetsuyaがはじき出す艶やかなグルーヴに、会場全体が生きているかのように鼓動する。恒例となっている曲中のMCでは「わっしょい!」の連発。ランウェイ(花道)上、tetsuyaとhydeが1本のマイクでコーラスをとる姿がLEDに映し出されると大歓声が上がる。
会場が一体となるとはこういうことなのだと思い知らされる熱いパフォーマンス、「READY STEADY GO」エンディングのyukihiroのドラム・ソロは、そのエネルギーが一挙に放出されたかのよう。
長いインターバルを挟んで披露された「花葬」は、生のストリングスを絡めたアコースティック調アレンジ。そして、「X X X」「CHASE」といった最新のL'Arc〜en〜Cielが投影された楽曲を連発。オーバーヒート寸前のドームが大きく揺れる!
「みんなはどんなクリスマスを過ごすのかな? クリスマスの予行練習でもしとくか。Merry Christmas! Hurry Xmas!」とkenのMCから「Hurry Xmas」。天井高くに“Hurry Xmas”の文字が投影され、ドーム全体が一足早いクリスマス・ムードに。
「お帰り!」という客席からの声に「ただいま」と応えるhyde。「この街からL'Arc〜en〜Cielがはじまったんですよ。昨日、夜中に難波ROCKETSのほうに行ってきまして。記念写真を撮ってきました。あの頃からもう20年も経ってね。こんなに長く付き合ってもうてね。ほんま、感謝以外の言葉が見あたらへんわ。一緒に年とっていきましょう。これからも楽しみにしていてください」というMCに、拍手の輪が広がっていく。ラスト・ナンバーは「BLESS」。シンプルで力強いこの曲を噛みしめるように聴き入いる客席。アコギからエレキに持ち替えたギター・ソロでは、ステージにホワイトフェザーが舞い散り、鳴り止まぬ祝福の中、初日の幕は閉じました。
2011年12月4日、<20th L'Anniversary TOUR>京セラドーム大阪の二日目。9月10日のさいたまスーパーアリーナからスタートしたツアーも、この日でファイナル。なお、このライヴの模様は日本全国および、香港、台湾、韓国の映画館でも完全同時生中継が行なわれました。
オープニング・ナンバーは、「Fare Well」。hydeのアカペラから幕を開けたこの曲は、一日目同様、やはりストリングス・アレンジが施されたものに。このツアーで大きな見せ場のひとつとなった生ストリングスの導入は、メンバーと演出家をつとめた
紀里谷和明のアイディアによるもの。「CHASE」のオフィシャル・インタビューよりhydeの言葉を引用すれば、「オーケストラの上に立ちたいって案があったら、そうするには、どういうメニューがいいか、じゃあこの曲を入れてみよう、みたいな。逆の発想から考えていって組み立てた感じですね」とのこと。結果、ストリングスを入れることから楽曲のライヴ・アレンジが施された楽曲もあったとか。一日目に演奏された「花葬」などはその最たる例。kenの弾くエレガット、tetsuyaのフレットレス・ベースによる演奏は、これまでのこの楽曲の印象を、より生々しく、より繊細で儚げに表現していました。
「昨日もここでやったんですけど、めっちゃ楽しいですわ。最高最高」とhydeの第一声。続いて「今日はね、いろんなところの映画館で観てる人もいるんですよ。日本中とアジア中に流れてるんで。アンニョハセヨ、ニイハオ。ここは広いけど、隅っこまでかわいがってやるからよ。映画館のみんなもかわいがってやるから。一緒に行こうぜ! ファイナルなんで悔いを残さないように」とのMCに場内からの大声援が湧き起こる!
「flower」「DRINK IT DOWN」といった一日目には演奏されなかった曲に続いて、この日は初期のナンバーから「Dune」「ガラス玉」が披露。ステージ前半の「HEAVEN'S DRIVE」のような壮絶なドライヴ感を持つナンバーと、感動の嵐として昇華した「forbidden lover」に挟まれた初期ナンバーには、バンド間の信頼を強固にして、サウンド面でも一段とそのクオリティを上げたL'Arc〜en〜Cielの今が詰め込まれているように思えるほど、深みを増して胸に届く。
赤いサーチライトが場内を照らした「REVELATION」の導入となるコール&レスポンス。ここでは一日目同様のドーム公演らしい演出が。下手からtetsuya、上手からyukihiroに続いてkenが、カートに乗ってスモークをまき散らしながらアリーナ外周を移動。ステージに3人が上がると演奏がスタート。火柱が上がるとアリーナには今度は輿に乗ったhydeが登場!
「REVELATION」で場内の熱気を上げたステージ後半戦は、まさに怒濤。「Driver's High」のスピード感と、tetsuyaのベース・ソロから一気にレッドゾーンへと突入する「STAY AWAY」で、この夜のテンションも最高潮に達する。「Are you fuck'n ready?」というhydeの言葉を合図に突進力の高いイントロが鳴り響き、エンディングではyukihiroによるドラム・ソロが狂おしいまでに轟音を放つ。
興奮冷めやらぬ会場の声援に応えて、長いインターバルの後に登場したメンバーは、それまでの熱気を引き継ぐような激しいナンバーではなく、アコースティック・アレンジされた「Anemone」を披露。
なお、この日の演奏面でのハイライトは新曲「CHASE」。一日目のMCでhydeが「yukihiroさんが持っている車の中の一台が凄い速いんですけど。たまに命がけで走っているらしいです。<CHASE>という曲はそういうイメージ」と紹介されたこの新曲、ギター、ベース、シーケンスが渾然一体となった重量級のヘヴィなイントロ・リフは、ライヴならではのグルーヴを得て、実にスリリングなパフォーマンスに!
「最近ちょっと歌うのが楽しいから、気持ちいいです。新曲<CHASE>をやりましたけど、そろそろアルバムができそうな雰囲気です」とhyde。さらに「今日ここでツアー・ファイナルを迎えるのは感慨深いですね。ここからはじまってこの20年、雨降ったり、嵐が来たりありましたけど、ここまでこれたのはホントにみんなのおかげだと思います。20年一緒にきてくれてありがとう。ふつつかなバンドですけど、これからも良い曲作っていくので、楽しみにしていてください。それでは最後の曲を聴いてください」と、足掛け4ヵ月間に渡り行なわれた<20th L'Anniversary TOUR>のエンディングを飾るナンバーは、「虹」。38,000人の京セラドーム、そして15,000人を動員した各地のライヴビューイングに向けて、「歩き出したその瞳へ 終わらない未来を捧げよう」という最後のリリックが響き渡る。
全てが終わり、明るくなった会場のLEDには、ニュー・アルバムがまもなく完成するとのニュースが! 12月26日にはメンバーによるマスタリング音源最終チェック現場の模様がUSTREAMで生中継されることも明らかとなり、12月21日にリリースされるシングル「CHASE」封入チラシにそのアクセス方法が記されているとのこと。
さらには、2004年にスタートしたパート・チェンジ・バンド、P'UNK〜EN〜CIELの1stアルバム『P'UNK IS NOT DEAD』が発売、<L'Arc〜en〜Ciel WORLD TOUR 2012>ファイナルとして2012年5月に東京&大阪公演が決定と、嬉しい知らせが続くL'Arc〜en〜Ciel、今後もその動向に注目です。
<紀里谷和明からのコメント>
「L'Arc〜en〜Cielは演出の必要性がないバンドです。彼らの音楽はそれだけで映像的であり、どんな演出家の力をも凌駕する世界が完璧に構築されています。そんな彼らの二十歳の誕生日に演出の贈り物をするつもりが、逆にこちらが沢山のプレゼントをもらってしまいました。これからの20年も頑張ってください」