ニーノ・ロータ(Nino Rota)、
エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)に続くイタリアの巨匠
ルドヴィコ・エイナウディ(Ludovico Einaudi)が、
福山雅治主演・
是枝裕和監督の最新作「三度目の殺人」の音楽を担当することが決定。エイナウディが日本映画の音楽を手掛けるのは今回が初めてとなります。
「三度目の殺人」(9月公開予定 東宝・ギャガ共同配給)は、大ヒット作『
そして父になる』(2013年)の是枝裕和監督と福山雅治の2度目のタッグを組んだ映画。
役所広司、
広瀬すず、
斉藤由貴、
吉田鋼太郎、
満島真之介、
松岡依都美、
市川実日子、
橋爪 功といった豪華なキャストも注目されています。その音楽に起用されたエイナウディは、世界中でのCDセールスが現在までに150万枚を突破、楽曲のストリーミング再生回数が5億4千万回以上を記録し、ヨーロッパでカリスマ的人気を誇る世界的アーティスト。是枝監督はエイナウディのアルバムをすべて聴き込んでおり、本作の脚本を書いている間も毎日エイナウディの音楽を聴いていたとのこと。その熱い想いでエイナウディに音楽制作をオファーし、快諾を得ての実現となりました。
2月下旬に来日したエイナウディは映画を撮影中の都内スタジオを訪れ、是枝監督と初対面。是枝監督はスタジオ内のモニターで撮影中の映像をエイナウディに見せながら、シーンの意味や、そこに求める音楽の意図を熱く説明。主要キャストたちとも対面し、わずかな時間ではあったものの挨拶を交わしました。満島真之介から「日本の映画に音楽を付けるのは初めてなんですか?」と聞かれたエイナウディが「そうです。すごく楽しみにしています」と頷くとキャスト一同から大きな拍手が起こり、福山雅治は「大変光栄です」と語りました。
エイナウディは4月にコンサートのため再び来日し、その後、撮影完了した映像を確認しながらの音楽制作に入る予定。
この半年、脚本を書きながら毎日エイナウディさんの音楽を聞いていました。自分が書いたストーリー、撮っている映画と、彼の音楽が自分の中では完全に一体化しています。エイナウディさんの音楽は凄く“映像の浮かぶ音楽”なんですよね。そこが今回選ばせていただいた一番の理由です。
勝手なぼくのイマジネーションなんですけど、彼の音楽〈四次元(four dimensions)〉を聴いていたら“雪景色”がまず浮かんで。雪の風景がすごく最初に出てきて、主人公ふたりの故郷を北海道という雪の街に設定したんです。なにか“火”とか“水”とか、そういう非常にシンプルなんだけどイメージの強いものを喚起させられる音だったんです。
今回の映画では“人間が人間をさばけるのか”とか、けっこう難しいテーマに取り組んでいるのですが、ヴィジュアルのイメージとしては“火”だったり、雪の“白”だったり、血の“赤”だったりと、すごく明快に、と思っています。そこにエイナウディさんの音楽がすごくフィットするのではないかな、と思っています――是枝裕和
このプロジェクトに関わることができて大変うれしいです。是枝監督の事を尊敬しておりますし、是枝監督の過去の映画も、とても素敵だと思っておりましたので非常に光栄です。日本映画の音楽を手掛けるのも、日本の監督さんとのコラボレーションも私の人生で今回が初めてですが、日本の事が大好きですし、本当に嬉しいです。
今回は撮影スタジオに伺って、実際に映画の映像を見ることが出来て、是枝監督の求めている音楽のバランスや求められている部分がわかったので良かったです。映画の中には雪のシーンがありましたが、雪の中では周りの音があまり聞こえなくなって、自分の中にある気持ちや感情を感じさせてくれると思いますが、そのような部分を音楽で表現できたらと思っています」――ルドヴィコ・エイナウディ