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May’n、クリスマス恒例コンサート〈May’n Xmas〉を開催 「一緒に音楽を作っていきましょう!」

May'n   2024/12/25 12:59掲載
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May’n、クリスマス恒例コンサート〈May’n Xmas〉を開催 「一緒に音楽を作っていきましょう!」
 2005年のメジャー・デビュー以来、シンガーとして走り続けてきたMay’nが、2024年12月21日にヒューリックホール東京で〈May’n Special Concert 2024「May’n Xmas」〉を開催しました。

 2018年から、コロナ禍の2020年を除いて毎年クリスマスの恒例となっていた「May'n Xmas」ですが、今回は音楽監督としてアコーディオン奏者の桑山哲也を迎え、これまでとはまた異なる方向でMay’n楽曲の魅力を引き出すコンサートとなりました。来年に20周年を目前に控えたMay’nとしても、今まで以上にファンと歌への想いにあふれた一夜になっていたのは間違いないでしょう。

 この度、訪れた人々が素晴らしい歌と音楽に委ねた本公演のレポートが到着しました。

[ライヴ・レポート]
 開演前BGMとして流れていたクリスマスソングが消え、まだ暗いステージに下手から人影が次々と現れる。それぞれが持ち場につき、リングベルだけが静かに鳴る中、アコーディオンの音色が厳かに鳴り響く。するとMay’nのシルエットもステージ中央へと歩み、ステージ中央、ライトに照らされるツリーの前に立った。白くガーリーでありつつも透け感のあるドレスは神秘的かつ清楚で、May’nはまるで女神のよう。そんな彼女もアコーディオンの音色を背に、優しい表情で歌い始める。曲は「Merry Christmas without you」。『マクロスF』のシェリル・ノームとしてランカ・リー(中島愛)らと歌った曲をこの夜はMay’nとして、タイトル通りの素直な気持ちを乗せて歌い出す。転調を越え、潤いを増すボーカルは楽器らと緩やかなダンスを見せ、ひと足早い聖夜を見事に作り出していた。最後の「for you」では手を観客に向けて差し出したMay’n。その後、まっすぐに立ち、スポットライトが消えるとまたシルエットと化した彼女がステージに浮かんでいた。

 続いてもシェリル楽曲を。青いライトの中で素敵な小品「会えないとき」を、今度はピアノの音色と手を取り合うようにMay’nは歌声を響かせていく。3曲目はオレンジのライトでの「My Lovely Thing」。歌詞の「君」をファンに重ねて、感謝と大好きの気持ちを伝えていき、冒頭の3曲からコンサートに参加できた喜びを味わわせてくれた。

 ここでMCを挟んだMay’nは、まずコンサートのスタートとして合言葉である「May’n Xmas!」を会場に集まったファンと一緒に叫ぶ。そして、この日は音楽監督とアコーディオンを担当する桑山が集めたバンドメンバー(滝野郁瑛、芹澤薫樹、足立浩)を紹介していく。実は滝野が自身のファンだと桑山から聞かされていたMay’nは、「リハを通じて一回もまだ好きって言われてない!」と滝野に詰め、「好きです」の言葉を引き出すシーンも。初めてのバンド編成ながら、演奏同様にアットホームな雰囲気を醸し出す。

 続いては、桑山による新たなアレンジ、そして“無限大の可能性を感じた”アコーディオンの表現力の元、May’nは3曲を披露する。May’nによると、クリスマスらしく幸せなラブソングを重ねていくブロックのはずが、歌いながら本人も「あれ?と思った」と話したように、その実は伝えられない想いを綴った楽曲ばかり。「牙と翼」では前傾姿勢で前のめりになりながら、「You」ではサビのロングトーンに合わせて手を大きく前に伸ばし、「Follow Your Fantasy」ではビートの終わりに合わせて手刀を切り、情念を込めながら歌い上げるさまはまるで舞台女優のよう。ただ、次のMCで「音の数が少なくなる分、声をダイレクトにぶつけられる」からこそ「歌詞を一人一人に届けたい」思いでセットリストを組んだとも話したように、May’nの歌声で聴く者が心を震わせられる、そんな時間となったことは間違いなかった。

 次のMCでMay’nは、桑山からの提案で「You」は曲途中に3拍子の間奏を差し込まれたが、決して『魔法使いの嫁』らしさをお願いしたわけではないのに『魔法使いの嫁』らしさが増しており、そのアレンジに「天才ですね」と驚きも語っていた。そして、人恋しくなる寒い冬にふさわしい曲として(May’n自身は寒いとジムや温水プールで体を動かして燃焼効果を高めるタイプと話しながらも)、心が温かくなるようなラブソングの「コイトゲ」を贈ると紹介した。

 ステージには淡いオレンジ色が八つ灯り、背後にあるえんじ色の幕のドレープに影が落ちる中、May’nの歌声は実に穏やかかつ円熟した魅力も伴い、聴く者の恋しい気持ちを導いていく。間髪入れずにミニアルバム『15Colors -soul tracks-』から「melodies」を。同アルバムは15周年記念企画の『15Colors』シリーズ3枚の中の1枚で、May’nのボーカリストとしての真価を発揮した名盤。あれから5年を経て、May’nはさらに音楽性における進化を遂げたことをその歌声で証明していく。さらには、より大人な女性へと空間を拡大構築していく「恋」。ブレス少なく歌い上げるサビの緊張感、そこに五つの音符を繰り返すアコーディオンとコンガのリズムはシンプルだからこそMay’nの世界へと聴衆を巻き込んでいく。

 休憩のMC明けには、ステージの下手を赤く、上手を青く染め上げるライティングの中で「戦乙女の歌」と「Deep Breathing」を。前者はアニメ(『モブから始まる探索英雄譚』第9話)挿入歌ながら「たくさんの人にその日の熱量や感情で届けたい」「クリスマスの夜ににもきっと合う」と思わせる曲であり、そこから後者につなげる流れは「素敵になるのでは」という考えの元に組まれた2曲。今年リリースの楽曲に、10代の頃にレコーディングした曲を新たな解釈で今に昇華させ、2曲を並び立たせた。「Deep Breathing」はまた、暗い中で煌々と一つだけライトが光っていたステージが、歌を進ませるに従って空色に、Dメロでは夕陽のように赤く染まり、そして無音になる瞬間は暗闇の中のMay'nだけを照らすとラスサビではまた空色に戻り、時の流れを感じさせる幻想的な空間が広がっていた。

 続くMCで桑山が、コンサートに向けての準備の中で「夢の中にまで歌が流れる」という稀有な経験を得たと語り、May’nの楽曲の良さを讃えると、May’nはそれを受けて「みんなも音楽になっていただきたい」と会場に言葉をかける。そして、ライブグッズの一つであるトナカイになれるカチューシャをつけ、バンドメンバーも各々がカラフルなサンタ帽子をかぶると、会場もリングベルを構えて、パーティの準備は万端。May’nの「サイレントでなんかいられなーいっ!」の声を合図にパーティタイムが始まる。それまではセンターから動かずに歌い切ったMay’nが下手、上手へと、左手にマイク、右手にリングベルを持ちながら歌い歩く。間奏で鉄琴(グロッケンシュピール)も鳴らし、盛り上がりを加速させたと思えば、「take×5 me out, set×5 me free, rock×5 me on, shake×5 me up.」の箇所では観客たちを促して、声を小さくさせたり大きくさせたり、さらには「爆発」させたりしながら、自身と何度も声を合わせた。最後は勿論、May’nの「せーの!」に合わせての「May’n Xmas!!」。会場が一体になった。続けてはクリスマス仕様の「Ready Go!」。2010年のシングルだが、年々等身大の自分を見せてくれるMay’nを見つめてきたファンは「100年経っても ありのままでいい」の歌詞について、実感をもって抱き止める。そして次曲のイントロが始まると、客席は手拍子の代わりにリングベルでリズムをとって「Pray」を受け入れた。

 歌唱後、「どうもありがとう」と爽やかな笑顔を見せたMay’nは、ピアノのBGMを伴ってファンたちに2024年のMay’nを振り返りつつ、自分の気持ちを届け始めた。『Prismverse』ツアーでは、コロナ禍が明けてから初めて海外公演を実現させる中、以前は当たり前のように海外へ行かせてもらっていたけれども、距離があり、言葉も違う国で多くの人が待ってくれていることがどれほど幸せか、ファンの存在がどれほど大切かを語り、「みんなの近くで歌ってもいいですか?」と会場に問うた。笑顔で肯定する客席を見たMay’nが「もし良かったら座って」と声をかけると会場は明るくなり、「Phonic Nation」を歌い始める。下手側の階段からステージを下りて、客席の間を歩くMay’n。手拍子しながらその様子を見守るファンたち。「笑顔できっとひとつのnation -国- になるよ」でMay’nは、自身の笑顔を指差し、すぐそばで座る観客に顔を近づけても見せた。May’nの練り歩きは、下手側の最外の通路を通って最後部座席まで進み、PA席の左の通路から客席中央を横切る通路に入り、今度はPA席の右を通るように客席の最後部まで進んでいく。「La La La」の箇所に入るとMay’nは「歌ってー!」と声を挙げ、会場との合唱が何小節も続く。と思いきや突然、近くの観客に向かって「どうぞ」とマイクを向けた。驚きと戸惑いも一瞬、すぐにMay'nのマイクに自分の歌声を乗せるファン。二人目、三人目、次々とファンの歌声を回収していくMay’n。その数が8人にまで達したところでMay’nも「La La La」に加わり、会場全体での大合唱が巻き起こった。May’nはステージに戻ると、会場の歌声にフェイクや下のパートを交えながら、大きな一つのうねりとなった歌を、コンサートの最後を見事にまとめ上げてみせた。その頼もしい姿は、普段ファンから「部長」と呼ばれ親しまれている姿そのもので、客席からは大きな歓声が巻き起こっていた。

 May’nが去ったあと、真っ赤なライトに照らされたステージに投げかけられる「部長」コール。そのアンコールに応え、まずはバンドメンバーが舞い戻り、そして桑山によるアコーディオンソロが始まった。アコーディオンといえば多くの人が思い描き、同様のMay’nがリクエストした「愛の讃歌」が感傷的な音色で響くと、そこからカバーソングプロジェクトのYouTubeチャンネル『CrosSing』でもカバーしたKing Gnuの「SPECIALZ」につなぎ、May’nが再登場、ボーカルとして参戦した。その姿は先ほどまで一転、XLのライブTシャツにホットパンツ、白のロングブーツといういでたち。

 May’nは、ツアーでは自分の曲を数多く歌うため、ライブでカバー曲を歌うのはXmasライブ限定と決めているが、この夜選んだ曲は、今年あるライブを見に行ったときにすごく感動させられた楽曲。聴きながらMay’nは、「長く続けて、長くついてきてくれる仲間がいるって本当にすごいことだな」「私もシェリル・ノームを(自分の中で)生き続けさせていく」という想いがこみ上げてきたという。話しながらも感情の昂りから涙声になるMay’n。彼女の心をそこまで震わせた楽曲は「ANGEL VOICE」。歌唱担当としては偉大なる先輩、福山芳樹が『マクロス7』で歌った曲だ。さまざまな想いを脳裏に浮かべながら、感謝と決意を込めて歌いつむいでいくMay’n。最後の「WOW OH OH WOW OH OH」でも気持ちを一つにしようとMay’nは観客にも歌を促すが、その歌声を聴くと思わず「わぁ、綺麗だね」と心の声をこぼす。だが、何度か繰り返したのち、「上手く歌おうとしないで叫びなよ!」というMay’nの声で会場は一段とそのボリュームを上げる。会場の想いを受け止め、自分の想いを乗せて、心を込めて最後の一節をMay’nは歌い上げてみせた。

 ここで今後の活動についての告知時間を設け、コミュニティチャンネル「May’nの今夜はフルコースで」の生配信日を皮切りに、2025年2月2日にはメカニックデザイナー天神英貴とのクリエイターコラボTシャツの記念お渡し会&フリーライブなどを紹介していくが、青森ねぶた祭へ参戦するファンツアーの実施&「May'nねぶた」の制作をクラウドファンディングで実施、の段に入ると本人も誤算の流れに。昨年の前夜祭におけるステージ出演から今年の8/1に再度前夜祭出演、8/3に「May'nねぶた」運行、そこからの合間となる8/2に青森での単独ライブ決行を企画していることについて、あふれる想いはせき止めきれず、その熱弁は10分にも及ぶほどだった。さらには次回の「May’n Xmas」が2025年12月21日開催を発表すると、1年後の予定に会場も驚きと困惑を隠せなかったが、来年の開催は20周年企画の一つと位置付け、かつ2026年以降の開催は休眠に入ることも告げた。ステージ上で桑山に「来年空いてますか?」と約束を取り付ける、May’nらしい一幕のあと、最後の言葉を観客たちに送る。「ちゃんと20年歌ってきたな、命をかけて音楽を作ってきたな、届けられているな」という実感を持てる今、だがその「自信をくれたのはいつも真っ直ぐ私を見てくれる貴方がいるから」と。そして最後の曲として「今まで以上にカラフルな1年だった」という想いを乗せて、それまでとは一転してカラフルでポップに包まれながら「カラフルスコープ」を歌ってみせ、ひと足早い星夜の宴を終えた。

 ライブを終えて感じることは、冒頭で、ライブ途中で、そして最後と、三度May’nが発した「一緒に音楽を作っていきましょう!」の気持ち。時代を彩るシンガーでありながら、自身の歌を聴く者に対するホスピタリティの塊であり、ファンを共に音楽を作り上げる同志と捉えている彼女。2025年のデビュー20周年に向かっては「May’n Road to 20th Anniversary」と称し、さまざまな企画を用意しているが、その道を突き進むMay’n号に乗り込めば、必ず楽しい場所に連れていってくれると期待、いや確信させてくれる夜だった。


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Photo by “SUGI” Yuya Sugiur

〈May’n Special Concert 2024「May’n Xmas」〉
2024年12月21日(土)
ヒューリックホール東京

[セットリスト]
01. Merry Christmas without you
02. 会えないとき
03. My Lovely Thing
04. 牙と翼
05. You
06. Follow Your Fantasy
07. コイトゲ
08. melodies
09. 恋
10. 戦乙女の歌
11. Deep Breathing
12. サイレントでなんかいられない
13. Ready Go!
14. Pray

En00. 愛の讃歌(Acordion solo)
En01. SPECIALZ
En02. ANGEL VOICE
En03. カラフルスコープ
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