ニジェール共和国が産んだロックの英雄であり、このカオスな世界に最も必要なバンド、エムドゥ・モクター。昨年5月にリリースされた『Funeral For Justice』は、Pitchforkより8.4点の高評価を受けると「Best New Music」に選出。Rolling StoneやNME、The New Yorkerなど多数のメディアからも大絶賛の嵐を受け、多くの媒体の年間ベスト・アルバム上位に選出されるなど、まさに2024年を代表するアルバムの一つと言っても過言ではない作品。
その姉妹作『Tears of Injustice』から公開された「Funeral for Justice (Injustice Version)」は、前作のタイトル・トラックの曲調を劇的に変えた作品。原曲のタイトなアレンジと大音量のギター・リフは脇に置かれ、ルーズで広大、即興的なアレンジが施された仕上がりとなっています。
『Tears of Injustice』は、『Funeral For Justice』をアコースティック楽器と伝統楽器向けに全て再レコーディング・再アレンジした“進化版”。ニジェールの苦境に対する怒りや、トゥアレグ族の人々の怒りが、音楽のボリュームやスピードに端的に表現された『Funeral For Justice』に対し、『Tears of Injustice』は、貧困、植民地による搾取、そして政治的動乱の絶え間ない渦中にある国民の悲しみを伝えた、トゥアレグ族による生々しく本質的なプロテスト・ミュージックです。