希代のベストセラー作家、
湊かなえの傑作ミステリー小説『母性』が実写映画化、2022年秋に全国公開されることが決定しています。
湊かなえは、2007年に『聖職者』で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。2009年にはのちに映画化される『告白』が第6回本屋大賞を受賞、史上初のデビュー作でのノミネート・受賞となり、同作は300万部を超える社会現象に。ほか、『贖罪』(09)、『望郷』(13)、『豆の上で眠る』(14)、『ユートピア』(16)、『落日』(19)など、数々の作品を世に送りだしています。そんなベストセラー作家をして「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」と言わしめるほどに心血を注いで上梓した物語が『母性』で、2021年現在で累計発行部数90万部超え、湊の代表作の一つにも数えられている特別な作品です。
『母性』は、ある女子高校生の遺体が見つかったことに端を発した、「母と娘」を巡るミステリー。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」と母親は言葉を詰まらせるも、騒ぐ世間。これは事故か、自殺か――。母の手記と娘の回想が交錯し、真相が浮かび上がってくる、圧倒的に新しい「母と娘」を巡る物語(ミステリー)です。
これまでの湊作品といえば、初の映像化作品でありながら興行収入38.5億円を突破した先述の『
告白』をはじめ、
吉永小百合主演で話題を呼んだ『
北のカナリアたち』(原作:「二十年後の宿題」[『往復書簡』所収])、
井上真央が第38回日本アカデミー賞主演女優賞を受賞した『
白ゆき姫殺人事件』、ドラマ『花の鎖』、『
夜行観覧車』、『
Nのために』、『
リバース』、『
贖罪』など、多くの作品が映像化され、その度に話題を集めてきました。小説界のみならず、映画・ドラマ界のミステリーの歴史をも塗り替えてきた湊渾身の『母性』は、果たしてどんな映像となってスクリーンに映るのか。期待が高まります。
メガフォンを託されたのは、
廣木隆一監督。1982年に映画監督デビューを飾り、1994年、サンダンス・インスティテュートの奨学金を獲得して渡米、帰国後発表した『
800 TWO LAP RUNNERS』(1994)で文化庁優秀映画賞ほかを受賞。国内外40以上の映画祭で数々の賞を受賞した『ヴァイブレーター』(03)、『
余命1ヶ月の花嫁』(09)、『軽蔑』(11)、『
さよなら歌舞伎町』(13)、『ナミヤ雑貨店の奇跡』(17)、『ノイズ』(22)など数多くの映画を手掛けています。また近年はNETFLIX作品『火花』(16)、『彼女』(21)が世界配信されるなど、デビューから約30年間第一線で活躍し新たな挑戦をし続け、出演俳優・スタッフから絶対の信頼を得る名匠として知られます。
今回明らかになったのは原作と監督の情報のみ。湊作品の主演といえば
松たか子、吉永小百合、井上真央、
鈴木京香、
榮倉奈々など錚々たる俳優陣が名前を連ねますが、果たして本作の“母と娘”は誰が演じるのか? また映画ではどんな物語が紡がれるのか――続報が待たれます。
[コメント]永遠に愛され、庇護される立場(娘)でありたい母親と、その母親から愛されたい娘の物語です。毒親でもなく、虐待でもなく、だけど大切なものが欠けた関係。それを、自分が母親と娘の両方の気持ちを持っているあいだに書きたいと、このテーマに挑みました。ちなみに、今はもうどちらの気持ちも持っていません。
映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました。しかし、脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました。一つ一つの場面が、役者の方々の演技や表情で、受け止め方が大きく変わってくる繊細な構成において、どのような感情を湧き起こさせてもらえるのか。原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを、心から嬉しく思います。――原作: 湊かなえ湊さんが書かれた小説は前から気になっていたので、今回映画化することが出来て嬉しく思いますと同時にプレッシャーでもありました。母親と娘の話なので僕で大丈夫なのか心配でした。反面、どんな親子なのか興味あふれる物でした。でも、湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、様々な姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめ下さい。――監督: 廣木隆一湊かなえさんの小説が大好きで、いつか映像化に挑戦したいという夢を長年抱いていました。そして「母性」と出会い、どうしてもこの小説の映像化を提案してみたいと思いました。
湊さんの小説は、読むと脳内で不思議な化学反応が起き、読者それぞれの世界観が作られるのが魅力です。その世界観を大切に映像化するには、様々な才能が結集する必要があると思いました。そして今回、廣木隆一監督にオファーをして快諾をいただいた時、この小説を映像化できるという確信を持てました。
湊さんの素晴らしい原作、廣木監督の才能と独特の演出が合わさって、映画「母性」が完成します。
今まで見たことのないような世界にお客さんを引き込む意欲作です。
是非、映画館でこの世界を体験していただければと思います。――エグゼクティブプロデューサー: 関口大輔©2022映画「母性」製作委員会