MISIAが、5月31日に一夜限りの台湾・花蓮地震被災地支援ライヴを東京・Billboard Live TOKYOにて開催しました。
照明が落ち、ステージで瞬き出す無数のキャンドルたち。ゆっくりとたゆたうようなバンドの演奏が始まると、それに続いてMISIAが拍手に包まれながらステージに登場しました。披露したのは2024年3月39日にリリースした最新シングル「ゆびきりげんまん」。未来への強い約束の気持ちを込めたこの楽曲は、今日このステージでさらなる輝きを放ちました。
この日Billboard Live TOKYOで行われたライヴは、一夜限りの特別なショー。ここでいう“特別”というのは、豪華というだけではなく、そこには、特別な強い気持ちがありました。2024年4月3日に台湾の東部沖を震源とする大きな地震(花蓮地震)が発生。実はその翌日、MISIAはデビュー25周年記念ツアーである〈25th Anniversary MISIA 星空のライヴXII Starry Night Fantasy〉のファイナルとしてTaipei International Convention Centerでライヴを行う予定でしたが、その公演は安全面を考慮してやむを得ず中止となっていました。そんな背景もあり、「被災地の力になりたい」というMISIAの強い想いが、インクルーシブの理念と平和へのメッセージを発信する祭典〈PEACEFUL PARK〉シリーズとして今回のライヴを実現させました。
「このライヴの収益の一部は台湾の衛生福利部(保健省)公設の『財団法人賑災基金会』に寄付し、災害救助、医療、避難所支援などの復旧・復興活動に幅広く活用していただきます。今夜はライヴと寄付を通じて、被害に遭われた皆様に祈りと想いを届ける夜にしましょう」と、配信のカメラに向かって北京語でも語りかけるMISIAの姿が印象的でした。そして、MISIAの呼び込みでステージに登場したのは、台湾出身の
ビビアン・スー。舞台中央で抱き合うと、ビビアンはMISIAに感謝を伝えました。「花蓮のためにこんな素敵なチャリティーのイベントを開催してくれてありがとう。すごい感動しました。MISIAは私の心の中の歌姫ナンバー1です。歌がうまいだけじゃなくて愛をいっぱい持って生きています。I love you, MISIA. Thank you」。
そして、ビビアンが愛と希望を伝えるために選んだ曲は「愛笑的眼睛」。北京語の歌詞ではあるものの、そこに込められた想いが確かに伝わってくる歌唱は会場を大きな愛で包みました。再びステージに登場したMISIAが「すごく良い歌」と早速「愛笑的眼睛」のサビの部分をハミングし、驚いたビビアンが「今度一緒に歌いましょう」と応えて2人で約束をした場面は、見ていてじんわりと感動が広がる瞬間でした。
椅子に座って展開したトークでは、MISIAがデビューした1998年当時、すでに
ブラックビスケッツの一員として日本でも活躍していたビビアンをよく見ていたという話題に。2人がオーディエンスと一緒に「Timing〜タイミング〜」のサビを歌うと、次はビビアンがMISIAの「Everything」をオーディエンスと歌唱。お客さんだけでなくバンドメンバーにもマイクを向けて歌声を要求するなど、会場はとてもあたたかい雰囲気でひとつになっていきました。さらに台湾と日本の食べ物や文化など、身近な話題でナチュラルな会話を楽しむ2人の姿には、地域や言語を超えた友情を感じました。
2人で披露したのはビビアンが初めて作曲した楽曲「翼」と
テレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」。前者では北京語歌詞をビビアンが、日本語歌詞をMISIAが歌いました。本編最後の「愛をありがとう」をパフォーマンスする前には、MISIAが「この曲を作曲してくださったのは台湾のミュージシャンの方なんです。そして歌詞は私が書いて、2パターンあるアレンジをしてくださったのは船山基紀さんと、香港の方。だからこの曲はアジアで作った歌だなって思ってるんです。本当に音楽ってすごいですよね。たくさんの人とつながりながら音楽を作って、そしてたくさんの聴いてくださる方とつながることができる。こんな素敵なことってないですよね」と想いを伝えました。
さらに、アンコールではMISIAとビビアンで「STAMINA〜スタミナ〜」「Timing〜タイミング〜」のメドレーをファンキーなアレンジで披露し、ラストは会場全体で「あなたにスマイル:)」を歌い上げました。音楽がつなぐ希望と愛が確かに見えた、そんな心に深く残るショーとなりました。