フォー・テットことキーラン・ヘブデンをプロデューサーに迎え、2018年10月に発売された
ネナ・チェリーの最新作『
ブロークン・ポリティクス』から、「Natural Skin Deep」のミュージック・ビデオが公開されています。この曲でネナ・チェリーは継父でもあるジャズ界のレジェンド、
ドン・チェリーがトランペットで参加した
オーネット・コールマンのシングル曲「グローイング・アップ」(1969年)をサンプリングしています。
ミュージック・ビデオを監督したのは、
ブラッド・オレンジや
KleinのMVをはじめ、さまざまな映像作品を手がける気鋭の映像作家、アキラノ・デイヴィス。デイヴィスは「Natural Skin Deep」のミュージック・ビデオについて、「僕が言えるのは一言、この映像はレバノンのベイルートで大勢の素晴らしい出演者とともに撮影された、ということ。僕の仕事の大半はコミュニティを中心に据えてて、それがグローバルなものであれローカルなものであったとしてもそう。僕ら自身がアートの中に身を置いて、よく考えることが重要なんだ。同時に物が溢れまくったこの世の中で暮らしながら、実は今僕らの周りで何が本当に起こっているのか無関心になってないか? ということも問いかけている」と語っています。
僕が言えるのは一言、この映像はレバノンのベイルートで大勢の素晴らしい出演者とともに撮影された、ということ。僕の仕事の大半はコミュニティを中心に据えてて、それがグローバルなものであれローカルなものであったとしてもそう。僕ら自身がアートの中に身を置いて、よく考えることが重要なんだ。同時に物が溢れまくったこの世の中で暮らしながら、実は今僕らの周りで何が本当に起こっているのか無関心になってないか? ということも問いかけている。ネナは世界的なアイコンで、今回の『ブロークン・ポリティクス』というタイトルも様々なテーマに沿っていて、より意図を感じさせるものになっている。この映像の中には今現在語られるべきことがたくさん詰まっていて、たとえば僕がネナのライヴを観にロンドンのヴィレッジ・アンダーグラウンドに行った時、そこでは観客は皆ポケットから自分の携帯を取り出して一様にライヴの動画を撮ってるんだ。それでしょうがないから近くにいた男性に、ちょっとどいてくれないか? って言ったんだ。だって、彼は僕の目の前に自分の携帯をかざしてたからね。今この社会で繰り広げられてる、それも全方位自分の眼の前で行われてる、全くもって皮肉めいた風景だった。携帯の画面を通してコミュニケーションを図れるようになったけど、その代わり僕らは全ての時間をスクリーンを見ながら費やすことになってるんだよね――アキラノ・デイヴィス