2020年に亡くなった映画音楽の巨匠、
エンニオ・モリコーネが残した数々の映画音楽をオーケストラと合唱団が演奏する〈オフィシャル・コンサート・セレブレーション〉が、11月5日(土)と6日(日)に東京国際フォーラムにて開催されます。この追悼コンサートに向けて、息子の
アンドレア・モリコーネが公演の魅力を語るインタビューが到着しました。
本公演では、映画のテーマ音楽の演奏に合わせて、その映画の名シーンを巨大スクリーンに上映。聴覚と視覚両方に響く異次元の空間が広がります。このコンサートは、生前からモリコーネが暖めていた企画で、父の遺志を受け継ぎ、息子のアンドレア・モリコーネが実現させました。アンドレア・モリコーネは、「父はコンサートの演奏曲に曲順まで決めていました。演奏に合わせて映画の名シーンをスクリーンに上映するのも、父が考えていたコンセプトです」と話しています。
『
続・夕陽のガンマン』(1967年)、『
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)、『
ニュー・シネマ・パラダイス』(1989)に『
海の上のピアニスト』(1999)など…タイトルを聞けば、主題歌やテーマが頭に浮かんでくる名画たち。コンサートでは、これらの作品を彩った名曲をモリコーネが実際に書いたオリジナルスコア(楽譜)で演奏。これら名曲群はどうやって生まれたのかについて、幼少の頃から父の創作現場で過ごしてきたアンドレアは「ピアノで作曲する方が多いと聴いていますが、父は全て書斎のデスクの上で譜面を書いていました」と話し、「右手に鉛筆、左手に消しゴムを持って、何度も何度も消しては書いていました」と続けます。
モリコーネでも創作に息詰まるようなことはあったのでしょか?という問いには「時々、キッチンに行ってチーズやビスケットをつまみ食いしているのを見かけました。こういう時はいいメロディが浮かんでないんだろうなぁと横から見ていて思いましたよ」とのこと。なんとモリコーネのストレス解消法は、つまみ食いにあったとは、孤高の音楽家のイメージがあったモリコーネの、実に人間味溢れるエピソードです。
コンサートではアンドレアが24歳の頃に書いた「ニュー・シネマ・パラダイス/愛のテーマ」も演奏されます。父親から「書いてみたら?」と脚本を渡されたのが作曲の発端。アンドレアは「シナリオをじっくり読んで、ピアノに向かいました。すると、どうでしょう!頭の中に浮かんでいたメロディを鍵盤に置いた両手が、勝手に演奏してくれるんです!」とコメント。譜面を父に見せると、たいそう気に入ってくれそうで、「ここはもうちょっと変えたらいいよ」とその場でいくつかのコードを加え、オーケストラ・アレンジを施してくれたとのことです。映画『ニュー・シネマ・パラダイス』は映写技師アルフレードからトト少年へ、父から子へ継ぐような固い絆が描かれますが、名曲「愛のテーマ」は、まさに映画のテーマのように、父とアンドレアが手を携えて生まれた楽曲と言えます。
また、本コンサートではアンドレアが指揮者を務めます。モリコーネが計画していたワールド・ツアーが、世界でいちばん最初に開かれるのがこの日本。アンドレアは「父から指揮というバトンを託されました。世界初演となる日本公演に向けて、身が引き締まる思いです」と開催への決意をあらたにしています。
エンニオ・モリコーネ〈オフィシャル・コンサート・セレブレーション〉は門外不出のオリジナル・スコアをGLORY CHORUS TOKYO合唱団と
東京フィルハーモニー交響楽団が演奏。生前のモリコーネのコンサートに帯同していた5人の演奏家も来日します。さらに本邦初公開の秘蔵映像の上映も計画しているとのこと。最後に、これから出会う日本の観客に向けアンドレアは「オープニングからラストまで感情を移入しながら聴いて楽しんでください!」と呼びかけました。チケットの申し込みは、コンサート公式サイトをご確認ください。
なお、2023年1月13日(金)より、エンニオ・モリコーネに、盟友
ジュゼッペ・トルナトーレ監督が密着したドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』が公開されます。