“新しい手法が生む新しい映像体験”を標榜し、過去に2本の短編映画がカンヌ国際映画祭から正式招待を受けた監督集団「5月」。数多くの名作CMや教育番組『ピタゴラスイッチ』を手掛けてきた東京藝術大学名誉教授・
佐藤雅彦、NHKでドラマ演出を行ってきた関友太郎、多岐にわたりメディアデザインを手掛ける平瀬謙太朗の3人からなる「5月」が、名優・
香川照之を主演に迎えて制作した初の長編映画『宮松と山下』が11月18日(金)より、東京・新宿武蔵野館、東京・渋谷シネクイント、東京・シネスイッチ銀座ほかにて全国公開します。この度、公開に合わせて販売する『宮松と山下』パンフレットに、主演・香川照之のインタビューを収録することが決定しました。
パンフレットには香川照之がいかにして主人公・宮松を演じたのか、また、脚本を読んだときの感想や、撮影時の印象的なエピソードなど、これまで語られなかった本作への想いを、本年10月に行った3500字に渡るインタビューにて掲載しています。今回特別にインタビューの一部をご紹介します。
[インタビュー 一部]――『TOKYO!<シェイキング東京>』、『トウキョウソナタ』以来の主演映画です。主役を演じられていかがでしたか?香川: 主演と助演の差とは何でしょうか。責任感の差でしょうか。ならば私は同じ分量なので差がない。見え方の差でしょうか。ならば私は演技が暑苦しいので見え方の差はない。照明は主役の方が少し明るく当ててもらえるかもしれません。でも私はエキストラの衣装を身に纏い、明るいライトが当てられていてもほぼ差はなかったのではあるまいか。まさか主役の声だけ大きく録音されている、ということもあるはずがない。出演している時間は助演よりも主演の方が多いとしても、暑苦しい私には印象としての差はないと心得ます。ふざけた答えですみません。何を言いたいかと言うと、この映画の主演は3人の監督たちだ、ということです。私はエキストラの代表として、世界中の全てのエキストラさんにこの映画を捧ぐだけです。 その他、監督「5月」のインタビュー、映画ジャーナリストの金原由佳と思考家の佐々木敦による映画評、エキストラ俳優である宮松が写真のどこにいるかを見つける「宮松を探せ!」ページなど読み応えたっぷりの一冊になっています。公開日の11月18日(金)に全国の公開劇場にて発売予定。
併せて、香川照之演じる宮松がバッティングセンターで完璧なフォロースルーを見せる本編映像を公開。不安げな様子でバッティングセンターに立っている宮松ですが、ボールを2球見送り、3球目には表情を崩さずにバットを構え、フルスイングすると、見事ボールに命中します。ベンチで見守る宮松の妹の藍(
中越典子)と、その夫の健一郎(
津田寛治)も思わず拍手。その後も綺麗なフォームで完璧なフォロースルーを見せる宮松に、「ほら、言った通りじゃないですか」と声をかける健一郎。そして「お兄さんが出てる作品、他にも教えてくださいよ」と問うと、「出てるって言っても端っこの方に少し映ってるだけだから。ちゃんとした役をもらえたのも一度きりで……」と自信なさげにこたえる宮松。するとまた真剣な表情に戻り、フルスイングでバットを振って球を遠くに飛ばすのでした。なぜ野球が得意なのか。完璧かつ真剣にバットを振る宮松は何を考えているのでしょうか……。さらに宮松の謎が深まる本編映像です。
©2022『宮松と山下』製作委員会