東京二期会が、創立70周年記念公演として、Bunkamuraとの共同主催により映像と照明を駆使したセミ・ステージ形式の「東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ」の第5作にあたる
リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ『平和の日』を、2023年4月8日(土)と4月9日(日)の2日間、東京・渋谷 Bunkamuraオーチャードホールにて上演します。このオペラが日本で上演されるのは今回が初めてです。
世界的にみても上演されることがめずらしい『平和の日』は、全1幕。上演時間約75分でありながら、豪華なオーケストレーションで、シュトラウス後期の豊饒な音楽が凝縮された作品です。指揮は、これまでもたびたび東京二期会の公演に出演してきた、ドイツオペラのスペシャリストとして世界的な賞賛を受ける
準・メルクルが務めます。
『平和の日』は、17世紀の欧州で起こったドイツ三十年戦争終結のまさにその日を舞台にした物語です。1936年に作曲され、第二次世界大戦が始まる直前の38年にミュンヘンで世界初演されました。平和への祈りと希望が込められた本作品のフィナーレでは、長い戦争が終わり、平和が訪れた日の民衆の喜びが力強く表現されます。
メルクルは、この作品の上演に向けて公開されたビデオのなかで、「戦争が勃発し、緊張が高まる今、『平和の日』はとても興味深い作品です。(この作品の最後では)包囲攻撃が解かれ、敵軍や生き残った市民たちが、敵も味方もなく、未来への平和にむけて歩み寄るのです。彼らは言います。平和を築くことは、政府よりも、軍隊よりも、皇帝の命令よりも大切なものだと。それは、この社会のなかで共存して生きる私たち、そしてヒューマニティにとって重要なものです。シュトラウスの音楽には、いつもすばらしい管弦楽法と美しい色彩があります」と語っています。
©Jean-Baptiste Millot