CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、
ブルックナーの生誕200年にあたる2024年までにブルックナーの全交響曲のすべての稿(ヴァージョン)を録音する企画、「#bruckner2024」の第7弾として、交響曲第8番(第1稿)が2023年2月10日(金)に発売されます。2022年に出版されたばかりのポール・ホークショー校訂版にもとづく録音。演奏は
マルクス・ポシュナー指揮
リンツ・ブルックナー管弦楽団で、2022年7月4〜6日、オーストリアのリンツ・ミュージックシアター リハーサル・ホールでレコーディングされました。また、国内仕様盤には石原勇太郎(音楽学 / 国際ブルックナー協会会員)による日本語の解説が付きます。
ブルックナーが交響曲第8番の作曲に着手したのは1884年夏。同年12月に第7番の初演が大成功を収め、自信を深めた彼は1887年8月に第8番(第1稿)を完成。第7番のミュンヘン初演を成功させたヘルマン・レヴィに初演を託しますが、レヴィはスコアを吟味した結果これを辞退。ショックを受けたブルックナーは全面的な改訂に取り掛かり、1890年に第2稿を完成させます。これは1892年に初演されて好評を得ましたが、その陰で第1稿は埋もれてしまいました。ブルックナー生誕130年の1954年5月2日には
オイゲン・ヨッフムの指揮で第1稿の第1楽章が初演されましたが、全曲初演は1973年9月2日(ハンス・フーベルト・シェーンツェラー指揮)を待たねばならず、その後も第1稿が市民権を得たと言える状況にはなりませんでした。
第1稿と第2稿の違いは大きく、第1楽章の最後を第1稿はフォルテ3つのコーダで力強く締めくくりますが、第2稿は息絶えるようにして終わります。スケルツォのトリオは同じモチーフによるものの音楽は全面改訂され、第2稿のアダージョとフィナーレでは第1稿にあったいくつものパッセージが削除されています。ポシュナー指揮による演奏時間は第1稿が82:06、第2稿が76:12となっています。