瀬尾まいこ原作小説(水鈴社刊)を映画化した『夜明けのすべて』が2024年2月に公開。このたび、監督を『ケイコ 目を澄ませて』の
三宅唱が務め、ダブル主演のキャストに
松村北斗(
SixTONES)と
上白石萌音が決定したことが発表されています。
月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢美紗は、転職してきたばかりにもかかわらず、やる気がなさそうに見える同僚・山添孝俊のある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまいますが、実は山添がパニック障害を患い、様々なことをあきらめて、生きがいも気力も失っていることを知ります。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく2人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになります。人にはその悩みを理解されにくい症状を抱え、生きづらさを感じながら社会生活を送る山添と美紗。生きづらさを抱える者同士、遠慮のない素の自分で関わり合うことで、少しずつ希望を見出していきます。本作はそんな2人の奮闘を、温かく、リアルに、ときにユーモラスに描いた物語となっています。
原作は、『そして、バトンは渡された』で2019年本屋大賞を受賞、映画の大ヒットも記憶に新しい瀬尾まいこの『夜明けのすべて』(水鈴社刊)。本屋大賞受賞後第一作目となる本作は、ロングセラーとして支持を集め、累計発行部数は9刷5万2千部(2023年2月13日時点)を突破。瀬尾自身のパニック障害の経験をモチーフにしながら、優しくほっこりとした文章で、誰もが抱える暗闇に一筋の光を照らします。
ダブル主演を務めるのは、NHK連続テレビ小説『
カムカムエヴリバディ』で夫婦役を演じた松村北斗(27)と上白石萌音(25)。以前は仕事も恋も順調だったものの、パニック障害を患ったことで人生が一変。電車や美容室など逃げ場がない場所に行けなくなってしまった主人公・山添孝俊を演じる松村北斗は、SixTONESのメンバーとして活躍する一方、俳優として話題作に多数出演、昨年の大ヒット作『すずめの戸締まり』(
新海誠監督)では、ヒロインを支え、物語のキーパーソンとなる宗像草太で声優に初挑戦し、SNS上で絶賛の声が多くあがるなど、多彩な才能を発揮しました。映画『
ホリック xxxHOLiC』では第46回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、今最もその動向が期待される若手俳優の一人です。また、普段はおおらかな性格であるものの、PMS(月経前症候群)によって月に一度、イライラが抑えられず、怒りを爆発させてしまう、もう一人の主人公・藤沢美紗を演じるのは、映画・ドラマ・舞台はもちろん、歌手としても精力的に活動する上白石萌音。
橋本環奈とダブル主演を務めた舞台「千と千尋の神隠し」での好演も記憶に新しく、先月25日には自身初となる東京・日本武道館公演〈MONE KAMISHIRAISHI 2023 at BUDOKAN〉を開催するなど、若手女優の中でも際立った存在感を放ちます。
多方面で大活躍する2人の起用について井上竜太プロデューサーは、「山添くんは一見クールで繊細、心根は優しいキャラクターで、まさに松村さんだと思いお願いしました。藤沢さんを演じた上白石さんは、原作の優しい世界を体現出来る人。ご本人も原作の大ファンで快諾頂きました。お二人とも原作小説から抜け出したかの様にリアルに魅力的に演じてくれました」とコメント。映画としては初共演となる松村と上白石が、今回は同僚役でいわゆる友達とも恋人とも違うけれど、最高の理解者となる特別な関係性に挑みます。
監督・共同脚本を手掛けるのは、昨年公開された『ケイコ 目を澄ませて』が、第72回ベルリン国際映画祭ほか21の映画祭に出品、毎日映画コンクール日本映画大賞で日本映画優秀賞・監督賞を受賞、キネマ旬報ベストテン日本映画ベストテン第1位を獲得するなど、国内外で絶賛を浴びた俊英・三宅唱。原作にオリジナルの要素を加え、2人が交流し少しずつお互いの殻を溶かし合っていく姿を、彼らが見つめる日常の美しさや季節の移ろいとともに16mmフィルムに捉えます。
[コメント]実はお話をいただいたのは結構前だったので、やっと動きだした今、とても嬉しく思っています。まず原作を読ませていただいた時に、素敵な物語と文章の面白さであっという間に読み終えてしまったのですが、脚本では新たな要素が加わり、でも本作の持つ温かさはもちろん変わらずにそこにあって、改めてすごい脚本だなと感じながら演じました。そして今回、藤沢さんを演じられた上白石さんとは再共演となります。山添くんと藤沢さんは、形容しがたい特別な関係性で難しい部分もありましたが、上白石さん演じる藤沢さんの存在があったからこそ、とても自然に山添くんの日常に溶け込むことができました。三宅監督とは沢山会話させていただいたことが印象に残っています。とても心地の良い距離感で接して下さるので、毎日現場に行って撮影するのが本当に楽しみで撮影が終わる時は寂しい気持ちでいっぱいでした。未来に希望が持てるような作品をお届けしたいと思いますので楽しみにしていてください。――松村北斗「夜明けのすべて」は元から大好きな小説でしたが、撮影現場は小説がそのまま現実になったかのような空気感でした。三宅監督の深く心強い全方位への愛、松村さんの悔しいくらい素敵なお芝居、隅々までこだわり抜かれた現場。これ以上ないほど贅沢な環境で、緻密な会話を重ねながら藤沢さんを演じた日々でした。できることならタイムスリップしたいくらいです。公開を楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。――上白石萌音この場を借りて、かけがえのない小説の映画化を許可していただいた瀬尾まいこさんに心より御礼申し上げます。ありがとうございました。撮影現場では、山添くんと藤沢さんを演じる二人の真摯な姿から、生きることの切なさや可笑しさやまだ言葉にならないものを受け取り、いつしか気持ちのいいエネルギーまでもらいました。それらは必ずや映画館のスクリーンを通して多くの方にも伝わるはずだと信じています。幅広い年代の、ユニークという言葉には収まらない役者たちとともに、またタフで軽やかなスタッフたちとともに、真剣に悩みながら、時にはなんとか笑いを堪えながら、この時代に新たな挑戦ができたことを光栄に思います。この物語を必要としているはずのさまざまな方たちに届けられるよう、スタッフ一同、完成に向けて大切に進めていきます。――三宅唱数年前突然パニック障害になり、楽しみが不安に変わる日々がやってきました。うまくいかないことが多い中、それでも、助けてくれる誰かがいて、明日を待ち遠しく感じることができています。
「夜明けのすべて」は、そんな中できあがった作品で、楽しんで書いている普段とは違い、ゆっくりと立ち止まりながらも書き進めていった物語です。
映画化され、物語の世界に触れられることをうれしく思います。また、見ていただいた方にとってほのかな光がちりばめられた温かいものになればいいなと楽しみです。――瀬尾まいこ©瀬尾まいこ『夜明けのすべて』水鈴社刊
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会