2023年2月21日(火)にデビュー25周年を迎えた
MISIAが、デビュー25周年記念アリーナ・ツアー〈Yakult presents 25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE〉の神奈川・横浜アリーナ公演を2月18日(土)、19日(日)に開催しました。
2023年1月25日にリリースされたベスト・アルバム『
MISIA THE GREAT HOPE BEST』を携えた本ツアーでは、デビュー曲の「
つつみ込むように…」から、
矢野顕子提供で話題となった「希望のうた」までMISIAの25年の軌跡がその歌声とパフォーマンスで一気に体感できるヒット曲満載のセットリストで披露。「
Everything」や2022年の『NHK紅白歌合戦』でも披露した「君の願いが世界を輝かす」、ラストで歌唱した「
アイノカタチ」など、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了しました。
[ライヴ・レポート] 2月21日(火)にデビュー25周年を迎えたMISIA。現在、デビュー25周年記念アリーナツアー〈Yakult presents 25th Anniversary MISIA THE GREAT HOPE〉で全国を巡っている真っ只中で、残すは2月25日(土)・26日(日)の福岡公演とファイナル公演の3月31日(金)・4月1日(土)・2日(日)の有明アリーナのみとなった。
1月25日(水)に発売され、売れ行きも絶好調のベストアルバム『MISIA THE GREAT HOPE BEST』を引っ提げてのツアーとなった今回、そのセットリストは圧巻の一言に尽きる。デビュー曲の「つつみ込むように…」から、矢野顕子提供で話題となった「希望のうた」までMISIAの25年の軌跡がその歌声とパフォーマンスで一気に体感できるヒット曲満載のライヴだった。
超満員の横浜アリーナのオーディエンスをいきなり驚かせたオープニングは、今のMISIAとデビュー当時の原点を同時に感じさせるものだった。まず登場した4名のドラァグクイーンはオクトパスを想起させるドット柄のついた衣装を身に纏っていた。そして巨大なワシの背に乗って現れたのはMISIAだ。エレクトリックなSEが響く中、まるで地球そのものがクラブになったかのような圧倒的な演出で「Everything」の一節を歌い出した瞬間、フロアからはため息とも歓声ともつかない声が溢れた。そう、大阪公演よりオーディエンスの声出しが解禁されたのだ。
曲間にはバンド(総勢25名)によるつなぎの妙が凝らされ、さらにダンサー(総勢22名)が加わり、「忘れない日々」「LIFE IN HARMONY」とRemix風のメドレーが途切れなく続いていく。ライヴ終盤かと思ってしまうような、いきなりのスパート。今この瞬間、最高の音楽の中にいることを実感できる。そしてその実感は、満員のオーディエンスがいて、歓声が聴こえるという当たり前のライヴ空間がようやく戻ってきたことと無関係ではない。世界を照らす光のようなシルバーを基調としたMISIAの衣装には、ガラスのかけらのようなものがあしらわれている。一度壊れたものが再び元の形に戻ろうとするプロセスを表現しているように思えた。「THE GLORY DAY」「INTO THE LIGHT」とMISIAの声が照らすその先がそのまま希望に繋がっているかのようだ。
叙情的なトランペットソロに続いて、グリーンと白の衣装にチェンジしたMISIAが披露したのは「CASSA LATTE」。ホーンセクションにストリングスを加えた豪華なアンサンブルに菅原小春、辻本知彦といった世界的なダンサーが彩りを添える。
曲終わり、ピアノの調べに乗せてMISIAは25周年の瞬間を満員のオーディエンスと迎えられた喜びを即興の歌にして届けた。そしてそのまま「Higher Love」へ。黒い衣装に身を包んだダンサーがまるでゴスペル隊のような雰囲気を醸し出す。ステージ正面の大型LEDヴィジョンには、東京ディズニーシー©の「ビリーヴ!〜シー・オブ・ドリームス〜」のショーの模様が映し出され、その日本語版テーマ曲として、2022年の『NHK紅白歌合戦』でも披露した「君の願いが世界を輝かす」を披露した。丁寧に歌を届けることにフォーカスした中盤を経て、後半ブロックが始まる前にMISIAがこんなことを語った。
「私がこの25年の中で一番うれしかったのは、音楽を通して多くの皆さんと喜びや悲しみを共有できたことです。私たちのこの音楽で皆さんが少しでも元気になっていたら、明日への力を感じてくれていたなら、こんなにうれしいことはありません。私はたくさんのあたたかい日向の中で生きてきたんだなと思います。皆さんは私にとっての光なんです。そして世界情勢の中で今思うことは、私が思いっきり歌を歌い続けてこられたのは、やはり私たちの日常の中に戦争というものがなかったからなんだと思います。戦争のない世界を望み、それに向けて努力する世界、これも私たちにとって大きな光なんだと思います。この光を見失うことがないように想いを込めて次の歌を歌います」
「希望のうた」のパフォーマンスは印象的だった。ダンサーによる群舞、圧倒的な規模のバンド、そしてMISIA。一人ひとりがそれぞれに存在しながら、想いをひとつに寄り合わせていく。その姿がそのまま音楽として表現されていた。目の前にある奇跡のような音楽は決して偶然が重なり合ったものではなく、現実の我々の世界でも私たちの力次第で、奇跡のような出来事を紡ぎ出すことができるのだと、勇気づけてくれているように思えた。MISIAの歌声に導かれるように次曲の「MAWARE MAWARE」のコーラスをオーディエンスが合わせていく。そこに確かに希望が見えた瞬間だった。本編ラストは「あなたにスマイル」。MISIAの歌を、音楽を届けたいという想い、それを一人でも多くの人と分かち合いたいという想いに溢れたライヴだった。そしてそれは、決して一人では実現できないのだということを改めて思い知らされた。
アンコールはオーディエンスの大きなウェーブからスタート。車椅子ダンサーのかんばらけんた、みゅうが参加して「おはようユニバース」を、そしてデビュー曲の「つつみ込むように…」では菅原小春と辻本知彦が情熱的なダンスを披露。「まだファイナルじゃないんだけどね」とMISIAが笑って言うように、とにかく最初から最後まで圧巻のステージが繰り広げられた。ラストは「アイノカタチ」でこの日のライヴを終えた。デビュー25周年記念ライヴで灯した希望の光の照らす未来が、MISIAの歌声の先に確かに見えたような気がした。