サハラ砂漠西部のトゥアレグ族によって結成され、“砂漠のブルース”と称される唯一無二のスタイルで世界を魅了するティナリウェン（TINARIWEN）の最新アルバム『Amatssou』が、5月19日（金）にリリースされることが決定。発売に先駆けて、アレクシス・ジャメが監督した1stシングル「Tenere Den」のミュージック・ビデオが公開されています。

　「Tenere Den」は、マリのケル・アダグ地方で起こったトゥアレグ族による革命に敬意を表した楽曲。MVでは、鮮やかで質感のあるアニメーションが、痛切な歌詞を映像で具現化しています。

　ロバート・プラントやブライアン・イーノ、トム・ヨーク、ジャック・ホワイトらが絶賛し、グラミー賞も受賞。すでに伝説的なキャリアを築き上げているティナリウェンにとって9枚目となるスタジオ・アルバム『Amatssou』は、トレードマークである砂漠のブルースと、古き良きアメリカのカントリーミュージックの間に共通する感覚を追求した作品。タイトルの『Amatssou』はタマシェク語で「恐怖を越えて (Beyond The Fear)」を意味しますが、本作のサウンドはまさにそれを体現。U2やボブ・ディラン、エミルー・ハリス、ピーター・ガブリエル、ウィリー・ネルソンら大御所を手掛けるダニエル・ラノワのプロデュースも加わり、バンド特有のギターラインと催眠的なグルーブが、バンジョー、フィドル、ペダルスティールギターとシームレスに共存する仕上がりとなっています。

　『Amatssou』のストーリーは、長年のファンを公言しているジャック・ホワイトが、ナッシュヴィルにあるプライベートスタジオでレコーディングしないかと声をかけたことからスタートします。バンドは当初、ジャック・ホワイトのコラボレーターであるウェス・コーベットやファッツ・カプリンといったナッシュヴィルのカントリー・ミュージシャンたちと、ラノワとともにレコーディングする予定でしたが、コロナ禍の影響によりリモートで制作することに。その状況下でティナリウェンは、先史時代の洞窟壁画で知られるユネスコ世界遺産のタッシリ・ナジェール国立公園内にあるアルジェリア南部の砂漠のオアシス、ジャネットでアルバムの下地を作ることを決め、同じトゥアレグ族のバンド、イマルハンの機材を借りて、テントの中に即席のスタジオを構えました。

　コルベットとカプリンはナッシュビルでレコーディングを行ない、そしてカビル族のパーカッショニスト、アマール・シャウイは仏パリでレコーディングを行なう形で参加。ラノワはロサンゼルスのスタジオから巧みなタッチを加え、ペダルスティールギターとプロダクション・テクニックにより、ティナリウェンのトランシーなサウンドに荘厳な雰囲気を与えています。カプリンはペダルスティールギターとバイオリン、バンジョーで6曲に参加しました。

　『Amatssou』の収録曲は、トゥアレグの現在の生活、厳しい現実を物語っています。ティナリウェンは、本作を通して、マリの政治的、社会的な混乱を訴えており、寓話に満ちた歌詞により団結と自由を呼びかけ、現在のマリの絶望的な政変とサラフィストの勢力拡大に対する苦悩と抵抗を歌っています。本作は、CD、LP、ストリーミング／デジタル配信で5月19日に世界同時リリースされますが、国内流通仕様盤CDには、解説書と歌詞対訳が封入。また、LPは通常盤 (ブラック・ヴァイナル) に加え、限定盤 (ホワイト・ヴァイナル) でも発売されます。