ハンガリーが誇る映画監督の一人であり 女性として初めてベルリン国際映画祭金熊賞に輝いたメーサーロシュ・マールタ(Mészáros Márta)監督の特集上映が、5月26日(金)より東京・新宿シネマカリテほかにて順次公開されることを記念し、東京・三軒茶屋にある本屋&ギャラリー&カフェ「twililight」にて選書フェア対談イベントが開催されることが決定しています。
イザベル・ユペール、
アンナ・カリーナ、
デルフィーヌ・セイリグ……名だたる俳優を魅了し、
アニエス・ヴァルダがオールタイム・ベストのひとつとしてその作品を挙げた、ハンガリーの映画監督メーサーロシュ・マールタ。特集上映では、珠玉の作品群の中から、1975年ベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた『アダプション/ある母と娘の記録』をはじめ、青春音楽映画の決定版『ドント・クライ プリティ・ガールズ!』、ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせたメーサーロシュが、作為性や修飾を極限にまで削ぎ落した“真実”の記録『ナイン・マンス』、結婚生活に絡めとられる2人の女性の連帯を、厳しくも誠実なまなざしで捉えた精緻な秀作『マリとユリ』、イザベル・ユペール最初期の重要な出演作であり、見落とすことができない意欲作『ふたりの女、ひとつの宿命』の5本が日本初公開されます。女性の主体性を脅かす社会の相貌にカメラを向けてきたメーサーロシュ。その誠実なまなざしが、時代を超えてよみがえります。
東京都世田谷区太子堂の「twililight」で開催される選書フェアでは、劇場パンフレットの寄稿者の書籍や、コラムニストの山崎まどか、映画批評家の児玉美月がそれぞれコメント付きで選書した書籍のほか、メーサーロシュ・マールタの映画をより深く味わうための関連書籍をラインナップ。会期は、5月18日(木)から6月5日(月)までで、会期中はカフェ「nicolas」による、メーサーロシュ・マールタ監督特集イメージスイーツが提供されるほか、数量限定で本特集劇場パンフレットも販売されます。さらに、5月20日(土)に開催される山崎まどか、児玉美月による対談イベントでは、まだメーサーロシュ・マールタの映画を見ていない人に向け、その魅力を余すことなく伝えます。
劇場で販売予定のパンフレットは、映画評論家・秦早穗子によるシネマ・エッセイのほか、映画評論家・
田中千世子、遠山純生それぞれの視点で語られる作家論、映画批評家・南波克行の全5作品レビュー、映画批評家・児玉美月が主にフェミニズムの文脈でメーサーロシュ映画と向き合うコラム、そして映画 / 音楽ライターの村尾泰郎による音楽をテーマにしたコラムなどが掲載。さらに、メーサーロシュ・マールタの義理の子息であるヤンチョー・ニカ(父はハンガリー映画の巨匠・ヤンチョー・ミクローシュ)へのインタビューも収録。メーサーロシュ作品はもちろんのこと、戦後ハンガリー映画の歴史を完璧におさえた、決定版パンフレットとなっています。
© National Film Institute Hungary - Film Archive