『ジョンベネ殺害事件の謎』で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンが、2017年にハリウッドを発端に巻き起こった「#MeToo運動」を題材に、今日の職場における大きな問題を掘り下げた映画『アシスタント』が6月16日(金)より東京・新宿シネマカリテ、東京・恵比寿ガーデンシネマ、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次ロードショー。この度、予告編及びポスターが公開されています。
名門大学を卒業したばかりのジェーン(
ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めましたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日。常態化しているハラスメントの積み重ね……しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっています。ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意しますが――。
予告編は、“夢の仕事についたはずだった”ジェーンの〈ある1日〉を切り取ったもの。名門大学を出たにもかかわらず、彼女は組織で最も力のないヒエラルキーに属するがゆえ、クリエイティブな仕事は一切やらせてもらえません。仕事といえば、誰でもできるような雑用ばかり。電話に出る、コピーをとる、郵便物を開ける、コーヒーを淹れる、掃除をする……「下っ端だから」「女性だから」と目に見えない差別による役割分担とルーティンに追われ、次第に自尊心を奪われ無力感を覚えていきます。そんな中、会社のトップの不正を確信したジェーンは「会長が新人アシスタントのホテルに……」と性的搾取の可能性を人事部へ訴えかけますが――。
シャンタル・アケルマン『
ジャンヌ・ディエルマンブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』にインスパイアされた本作は、ほぼセリフなしで1人の女性の感情の揺れを、淡々と働くアクションと微妙な表情の変化だけで見せるジュリア・ガーナーの見事な演技にも注目の映像です。
「わたしはどうする?」とキャッチコピーが添えられたポスターは、入社5ヵ月目でまだ職場に自分の居場所がないジェーンの戸惑いを捉えたもの。一体何が自分の夢だったのか、何が正しいのか、そして何がやるべきことなのか……ハラスメント体質が根深く浸透した会社で、日々傷ついていく心を殺して機械のように業務を遂行するものの、まだ人間らしさが残っていて完全には組織に染まりきれないジェーンの、複雑な表情を映したヴィジュアルとなっています。
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