映画やドラマで俳優として活躍する一方、監督やプロデュース業でも多彩な才能を発揮している
齊藤工が監督を務める、映画『スイート・マイホーム』。この度、
yamaが歌唱する「返光(Movie Edition)」が主題歌に決定しました。
本作は、2018年に「第13回小説現代長編新人賞」を受賞した注目の女性作家・神津凛子のデビュー作『スイート・マイホーム』を映画化したもの。来月開催される第25回上海国際映画祭へ正式出品されることも決定しています。
メガフォンを取るのは、俳優業の傍らで20代から映像製作にも積極的に携わり、齊藤工名義での初長編監督作『
blank13』では国内外の映画祭で8冠を獲得した齊藤工。(俳優「斎藤工」は、自身の監督する作品については監督名を「齊藤工」と表記。)『フードフロア:Life in a Box』では、AACA2020(アジアン・アカデミー・クリエイティブ・アワード)にて、日本人初の最優秀監督賞を受賞した他、劇場体験が難しい被災地や途上国の子供たちに映画を届ける移動映画館「cinema bird」の主宰や全国のミニシアターを俳優主導で支援するプラットフォーム「ミニシアターパーク」を立ち上げるなどマルチに活動しています。
また、今年だけでも、
ジェニーハイ(
川谷絵音、
小籔千豊、
くっきー!、
中嶋イッキュウ)とのコラボや、TVアニメ『
機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2のオープニング・テーマを手掛け、難病の啓発プロジェクト「Raising Awareness of NMOSD with yama」を立ち上げるなど、活動の場をさらに広げているyamaが、映画『スイート・マイホーム』の主題歌を担当します。主題歌「返光(Movie Edition)」は、衝撃のラストを迎える本作のエンドロールに流れる、どこか狂気と懐かしさを孕んだ世界観の中にも切なさに溢れた珠玉のバラード。祈りにも通ずるyamaの歌声が感情に訴えかけてくる楽曲となっています。
作詞・作曲は
尾崎世界観によるもの。齊藤工監督が「人間の本質的なエグみにあふれた映画『スイート・マイホーム』の主題歌はyamaさんでなければならなかった」と話し、「映画を完成させて下さったのは、エンドロールにおけるyamaさんのが楽曲でした」とyamaが歌う主題歌への思いを寄せています。
yama自身も「脚本を読んで、できることを全力でさせていただきました。読みはじめてすぐに続きが読みたくなるほど引き込まれました。ずっと手に汗握るサスペンス・ホラーの怖さの一方で、映像になった時の期待がありました」と、今回のオファーが届いた時を振り返ります。
尾崎世界観が書き下ろした楽曲を聴いて、「尾崎さんの書かれる歌詞が、熱量があって人間らしくてすごく好きで、尾崎さんがこの作品を観て書かれるものに信頼があったので、お任せする形でした。馴染みやすいメロディにも関わらず、えぐってくるような狂気性もあって、初めて聴いた時に素晴らしい曲だと思いました。すごく悲しいというストレートな表現より、ちょっと明るいけれど怖いというアンバランスさを音楽に落とし込みました。温かな家庭の情景から何かに追い詰められていく様子と、子供たちを守りたいという感情のグラテーションを意識しました」というyama。
レコーディング時も「バラードは感情の波の調整が難しいし、それが顕著に出ると思っています。不穏さや狂気さを表現したかったので、スローテンポだけれども、ただ優しく歌うことではない、いつもと違うアプローチをしました」と挑戦の連続だったようです。また、「怖くて目を逸らしたくなるほどの緊張感や、人間の恐ろしさを感じました。主人公がただの被害者ではなく、過去に痛みや罪を抱えているからこそ、誰も責められない。(主題歌も)歌詞からして、母親目線の楽曲だと自分は感じていて、我が子に対する愛情、守りたい気持ちが切ないなと思いました。(エンドロールで自身が歌う主題歌が流れた時は)曲とリンクするものがたくさんあったので、劇中で語られなかった母親の気持ちをエンドロールで知るようで、自分の曲だけれど、切なくなりました」と本作の感想も語っています。
[コメント]yamaさんの表現の、秘めたる部分にこそ映し出される、リスナー自身の本質。
そんな人間の本質的なエグみに溢れた映画『スイート・マイホーム』の主題歌はyamaさんでなければならなかったと思いますし、映画を完成させて下さったのは、エンドロールにおけるyamaさんの楽曲でした。――齊藤工この作品の準備をしていた一昨年の秋だったのですが、yamaさんがED曲をやられていたTVアニメを好きで見ておりまして。普段聴く曲のプレイリストに入れていたのですが、駅のホームで聴いていた際にふと涙がボロボロ流れてきて、傍から見たら完全にヤバい人だと思いつつ、映画の主題歌はyamaさんにお願いしようと決めてしまいました。すぐさま齊藤監督に提案したところ、yamaさんの歌うレクイエム(鎮魂歌)の様な曲になると良いですねという事でそこから話が具体になりました。楽曲を尾崎世界観さんに書き下ろして頂き、上がってきた完成音源を初めて耳にした際は、不覚にもまた落涙してしまいました。映画を結ぶ主題歌として早く皆さんにお届けするのが楽しみです。――中村陽介プロデューサー©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社