写真家・上出優之利(かみでまさのり)が、本邦唯一無二のパンク&ニューウェーブムーブメント=“東京ROCKERS”のビッグボス、
s-ken(エスケン)を被写体とした写真集を、世界的に名高いSUPER LABO(スーパーラボ)から9月2日(土)に発売することが決定。また、この写真集の刊行と連動して、サブスクリプションサービスで未解禁だったs-kenのデビュー・アルバム(9月5日[火]リリース予定)と2ndアルバム(9月2日リリース)が、Apple MusicやSpotify、amazon musicなど各種サブスクが開始されることも発表されました。
デビュー・アルバムは、1981年リリースの『
魔都』(日本コロムビア)。東京ROCKERS時代のオールスターキャスト、
FRICTIONの
レックや
チコ・ヒゲなどが参加、
LIZARDのモモヨもライナーノーツを担当しています。2ndアルバムは、1983年リリースの『ギャング・バスターズ』(キング・レコード)。パンク&ニューウェーブ感覚で多様な音楽性をブレンドしていった時期の実験的な作品で、
YMOの
細野晴臣や
ミュート・ビートの
こだま和文などが参加。いずれも名盤と評価されていましたが廃盤となっており、待望のサブスク開始となります。
上出優之利が半世紀の時空を飛び越え、s-kenを被写体として撮影を開始したのは2017年。上出が土門拳文化賞奨励賞を受賞してすぐのことでした。以後、とくに急速に異人都市化しつつある東京のイーストサイドを中心にs-kenの彷徨を追い続けて来ました。70歳代にして躍動感あふれるs-kenの劇的瞬間を捉えた数は1万8,000ショットに及び、それらの写真の中には撮影中に偶然邂逅したs-kenの旧知の人々もそのまま登場します。
結果としてこの写真集の舞台となった街並みは、東京イーストリバーサイドでは山谷、吉原、三ノ輪、北千住、向島、小岩、錦糸町、西葛西、十条、立石、浅草など。横浜ではかつてのスラム、黄金町から日の出町。東京西部に位置する福生では異人都市空間、赤線通りなど。また、登場する知人・旧友たちは細野晴臣、レック(フリクション)、
町田康、
森雅樹(
EGO-WRAPPIN')、
いとうせいこう、植島啓司、
高木完、
ラファエル・セバーグ、ブルース・オズボーン、
OTO、高橋一(
思い出野郎Aチーム)など、s-kenの人生と歴史に欠かすべからざる人々ばかり。
今作は、国際的な視野で写真集作りを続けてきたSUPER LABOのディレクター、
エド・テンプルトン、
森山大道作品のすべての企画、アートディレクションに携わっているホウキヤスノリらによって今年11月にパリで開催されるフォトブックフェア「ポリコピーズ」(Polycopies)に出展参加の予定となっています。「ポリコピーズ」は、セーヌ川に浮かんだ船の上で行われるフォトブックフェアで、欧米を中心とした個性的な出版社が多く集まり、現在パリで最も参加者の熱量が高い最前線のフォトブックフェアといわれています。
Photo by Masanori Kamide