秋からスタートするキャリア初のソロ・ライヴ・コンサート・シリーズ〈Ships〉の開催も話題の
ブライアン・イーノが、最新サウンドトラック作品『トップボーイ』を、9月1日(金)から配信、9月29日(金)に高音質UHQCD仕様のCDとLPでリリースすることが決定。発売に先駆けて、完全未発表音源「Cutting Room I」が公開されています。
『トップボーイ』は、ローナン・ベネットが原作・脚本を手がけたイギリスのテレビ犯罪ドラマ・シリーズ。ロンドンの貧困地域で生きる若者2人が、栄光をつかむためドラッグディーラーとして暮らす生き様を、リアルかつスタイリッシュに描いており、ラッパーとしても活躍する
アシュリー・ウォルターズとカノことケイン・ロビンソンが主演を務めたほか、2020年に英国アカデミー賞(BAFTA)ライジング・スター賞を受賞したマイケル・ウォードやUKシーンを代表するアーティスト、
リトル・シムズらの出演も話題に。最初の2シーズンは2011年から2013年にかけて放送され、興味を示したドレイクが共同プロデューサーとして製作に参加する形で2019年にシーズン3、2022年にシーズン4が放送されています。
2023年9月7日からの最終シーズンの配信スタートに合わせて発売される本作は、ブライアン・イーノが手がけた全5シーズンのサウンドトラックからの選りすぐり。イーノは同シリーズの緊張感漂うテーマ曲を提供し、2011年の放送開始以来、『トップボーイ』のオリジナル・サウンドトラックを担当してきました。シーズン1〜3で追加楽曲を提供したマイキー・Jことマイケル・アサンテとともに、作品の重要な要素となるムードと雰囲気作りに貢献しており、シーズン1のサウンドトラックは、2012年に英国アカデミー賞(BAFTA)にてオリジナル・テレビ音楽賞を受賞しています。
イーノは、長年にわたって映画やテレビシリーズのサウンドトラックや楽曲提供を行なっており、アンビエント・ミュージックとの深い関わりから、キャリアの初期には実際には存在しない想像上の映画のために音楽を書く手法も採用してきました。また、
ニーノ・ロータが
フェデリコ・フェリーニ映画のサウンドトラックを手掛けたことにインスパイアされ、すべてのシーンに合わせて音を作るのではなく、音楽それ自体がまず作品として作られ、音楽の上に映像が配されるアプローチをとっています。
イーノは、本サウンドトラックについて「『トップボーイ』では、最初から私は自分の好きなように仕事をする自由を与えられていた。音楽と雰囲気を作り、映像作家に思うように使ってもらう。私は作品のアイデアをできるだけ吸収し、そこから多くの音楽を作り“ほらどうぞ、好きなように使ってくれ”と伝える。従来のハリウッド的手法でスコアを書いていたら、興奮や危機感を煽ろうとする誘惑に駆られるだろう。でも『トップボーイ』は、劣悪な状況に置かれた子供たちの話なんだ。だから私は、外的世界で彼らに起こっていることだけでなく、子供たちの内的世界も探求した。多くの音楽は意図的に素朴で、ある意味単純なものになっている。メロディーはシンプルで、洗練されていないし、大人っぽくもない」と語っています。
なお、今回の発表に合わせて公開された「Cutting Room I」は、『トップボーイ』のために作曲したものの、実際にはドラマ内で使用されなかったものの中から、イーノが本サウンドトラックに収録することを決めた2つの楽曲のうちの一つで、タイトルはそれに由来しています。
Photo: Cecily Eno