今や人生100年時代と言われ、定年退職後・子育て後の人生が昔と比べて格段に長くなった現代。この時代の中、人生の最期のページを意識し始めた71歳の主人公が、一歩を踏み出して様々な人と交流し新たな挑戦をはじめ、自分の第二の青春を送ろうとする、オリジナル脚本で描く希望の物語・映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』が2024年春に公開することが決定。
本作の主演は、これまで年齢を感じさせないワイルドなイメージが強かった
岩城滉一。1997年に公開した『
なにわ忠臣蔵』以来、約26年ぶりに映画で主演を務めます。岩城が演じるのは、ごく普通に暮らし定年を向かえた71歳になる福山健二。認知症だった愛妻を看取り、刻々と近づく人生の最期を意識し始めていましたが、自身の物忘れに不安を覚え始め市のコミュニティクラブへ参加することを決意。さらには、ずっと苦手だった水泳に挑戦するなど、新たな一歩を踏み出していきます。岩城は今回の出演に関し「プロットを読んで『残りの人生をどう過ごして行くか?』という問いかけに、とても興味を覚えお引き受けしました」と語っています。さらに本作について「やはり、同世代の方々には観て頂きたいと思いますね。70才を過ぎても一日一日を楽しくしっかりと生きていく。先を明るく見ていく事はとても大切なことですから」と話しています。
共演には岩城演じる健二を置いて亡くなってしまう認知症を患っていた愛妻・福山佳代役に、優しい演技で魅了し、歌手としても活躍している
宮崎美子。宮崎は「この映画は残された旦那様の理想形です。良いお友達を見つけるなど、人はいつでも、何歳になっても、誰かと、何かで関わらないと生きていけないものだと、それが出来たとき、人生の『ラストターン』が上手く決まるのではないかなと思います」と役柄を通して感じ取った作品への思いを語っています。また健二が通う水泳教室の講師・岸本香里役を圧倒的な演技力でドラマ、舞台と出演が続く女優・
高月彩良が演じています。高月は岩城との共演について、「ワイルドでパワフルな方なので、撮影現場は常に明るく、共にさせて頂いた時間は、華やかで刺激のある毎日でした」と有意義な撮影期間だったと振り返っています。さらに健二を色々なところに引っ張っていく、社交的な友人・橋本勉役の
田山涼成をはじめ、
淵上泰史、
西尾まり、
三浦誠己、
貫地谷しほりら実力派の面々も出演し、温かな人間賛歌の日々を演じました。
監督・脚本を務めた
久万真路監督は、数多くの監督の下で助監督を経て、映画『
うちの執事が言うことには』で長編映画監督デビュー。その後はNetflixオリジナル・ドラマ『
火花』(7・8話)や、人気TVドラマ『
ワカコ酒』等を手掛けています。完全オリジナルの脚本となる本作は定年後の新しい人生を踏み出していくというテーマを描いており、久万監督は「年齢を重ね、経験値は上がっている筈なのに、新しいものについていけないからと、振り落とされてしまう。今の高齢者達に明るい未来が見えないのであれば、後に続く我々はどうなってしまうのか。そろそろ年寄の仲間入りする身となり、何とかもがけないものだろうか。そんな気持ちでこのシナリオを書き始めました」と自身の思いがきっかけとなったと語っています。
そんな本作は日本公開を前にオランダで開催された実写映画・アニメ・ドキュメンタリーなど映像作品を中心に様々な日本文化を紹介する祭典〈カメラジャパン・フェスティバル2023〉にて、いち早く上映され、上映後には現地の観客、メディアから暖かい拍手が巻き起こりました。また映画を鑑賞した現地のメディアからは「本作はこれまでに作られた同じ焦点の日本映画とは一線を画す、非常に洗練された創造的なコンセプトに従って創られていた」と称賛の声が届いています。人生100年時代、新時代のグランド・ジェネレーション世代に贈る、自分の姿勢一つで、今この瞬間も輝けることを思い出させてくれる、二度目の青春映画『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』にご注目ください。
[コメント]Q. 26年ぶりの映画主演として本作を選ばれた理由、実際に撮影をされて感じられたことなどをお聞かせください。A. お話を頂いた時に、プロデューサーから最初に言われた一言が「Webにアップされていた岩城さん夫婦の写真の、岩城さんの優しい笑顔を見てキャスティングさせて頂きました」と言って頂いて、すごく嬉しく思いましたね。
プロットを読んで「残りの人生をどう過ごして行くか?」という問いかけに、とても興味を覚えお引き受けしました。
劇中の福山健二と僕は同じ年齢だった訳ですが、僕は今でもバイクに乗るし、レースにも出ているので、自分とのギャップもあり、健二の些細な表現に最初は違和感がありましたが、奥さん役の宮崎美子さん、そして友達役の田山涼成さんとは楽しく過ごさせて頂きました。Q. 本作をどんな方に観ていただきたいでしょうか。A. やはり、同世代の方々には観て頂きたいと思いますね。70才を過ぎても一日一日を楽しくしっかりと生きていく。先を明るく見ていく事はとても大切なことですから。Q. 劇中で健二は水泳に挑戦しますが、事前に準備されたことなどございますか?A. 上手いか下手かは別として、もともと泳げない訳ではなかったので、逆に泳げないように泳ぐ方が難しかったですね。――岩城滉一認知症の役は初めてだったので、とても難しいなと思い、皆さまのご協力で施設に見学に行かせてもらったり、勉強をさせていただいたりし、何とか演じさせていただきました。
実際に介護されているご家族の方から見たら、それは違うよ〜と思われるところもあるとは思いますが、人それぞれ症状が違うので、やはり難しい、大変な病気だなと感じています。
介護に携わるご家族も大変ですし、また、ご病気になられたご本人も普段何も家事など経験のない旦那様の事は心残りだったのではと思います。
この映画は残された旦那様の理想形です。
良いお友達を見つけるなど、人はいつでも、何歳になっても、誰かと、何かで関わらないと生きていけないものだと、それが出来たとき、人生の「ラストターン」が上手く決まるのではないかなと思います。――宮崎美子岸本香里は、水泳選手としての道から離れ、市民スポーツセンターで水泳講師をする女性ですが、私もかつて幼少期の頃に「プロ水泳選手になりたい」と願った事があり、一度は夢を追いかけた競技に役を通して触れられた事が、今までにない、貴重な経験でした。「ここで夢を叶えたい」と、自分の想いも投影させた作品です。
共演させて頂いた岩城滉一さんは、とってもワイルドでパワフルな方なので、撮影現場は常に明るく、共にさせて頂いた時間は、華やかで刺激のある毎日でした。撮影中はたくさん声を掛けて下さり、岩城さんのおかげで私の緊張も自然と解けていきました。――高月彩良歳をとり老いていくことに明るい未来が見えない。
年齢を重ね、経験値は上がっている筈なのに、新しいものについていけないからと、振り落とされてしまう。
今の高齢者達に明るい未来が見えないのであれば、後に続く我々はどうなってしまうのか。
そろそろ年寄の仲間入りする身となり、何とかもがけないものだろうか。
そんな気持ちでこのシナリオを書き始めました。
この作品は、人生のおしまいを感じ始めた老齢の男と、人生を賭けてきた夢に破れた若い女の交流を描きます。世代や性別は違えど、それぞれにピークを過ぎた自分を生きねばならないことに戸惑うふたりが、出逢うことで、新たな一歩が見えてくる。
人様に迷惑をかけないという信条は、とても尊く崇高ですが、時として人を追い詰めてしまいます。自己責任が持てはやされ、出来ないものが悪く、助けを求める事が罪悪のようにとられてしまう現在の日本社会。弱い者がためらう事なく助けの声をあげられる世になれば、未来への不安から放たれ、今の生活を楽しく安心して生きていけるのではないでしょうか。
不器用な二人の生き方を見つめる事で、そんなことを少しでも感じてもらえば大変嬉しく思います。――久万真路©2023「ラストターン」製作委員会