今年は、BMSGのアーティストやトレーニーたちを出身地別で東西にわけたスペシャルユニット「BMSG EAST」「BMSG WEST」を結成し、BMSGの設立3周年である9月18日、2曲の新曲“The Sun from the EAST”“The Moon in the WEST”をリリース。『BMSG FES’23』の会場内には、ステージに向かって左側には月、右側には太陽のモニュメントが吊るされて、ミュージックビデオと連なる世界観の舞台が組み立てられた。
『BMSG FES’23』東京公演は、BMSG EASTによる“The Sun from the EAST”からスタート。続けて、BMSG WESTによる“The Moon in the WEST”へ(大阪公演は“The Moon in the WEST”からスタートし、2曲目が“The Sun from the EAST”という流れに)。マイクリレーの中で、ラップや歌だけでなく仲間たちへの愛もつないでいく。2曲を終えると、「Welcome to 『BMSG FES』!」とSKY-HIが挨拶し、Novel Core、BE:FIRST、Aile The Shota、edhiii boi、MAZZEL、REIKO、RUI、TAIKI、KANONの名前を一人ずつシャウト。そして「口火を切ってくれるのはお前だよね?」という振りから、“edhiii boi is here”へ。前半はedhiii boi、ShowMinorSavage、Aile The Shota、RUI・KANON、TAIKI、REIKO、NovelCoreがそれぞれのパフォーマンスを行った。
音楽的ルーツにおいて共通する部分を持つ、Aile The Shota、MANATO(BE:FIRST)、SOTA(BE:FIRST)が『THE FIRST』の審査内で組んだユニットShowMinorSavageは、『BMSG FES’22』にて、当時の楽曲をブラッシュアップした“No Cap Navy”と新曲“Thinkin’ bout you”を披露していた。そして今年2月、それらにChaki Zuluプロデュースによるジャージークラブの“SUPER ICY”を加えて、待望のEPをリリース。今回のステージでは全3曲をパフォーマンスし、ShowMinorSavage特有のスムースな歌とラップやチルいビートでオーディエンスの身体を揺らした。
『THE FIRST』の最終審査でソロアーティストとしての道を提案されたAile The Shotaだが、彼自身の中でBMSGを牽引しようとする想いはますます強くなっている。「今年のフェスで何を提示しようかなと思ったときに新曲を書きました。愛するBMSGという場所で輝くAile The Shotaの音楽、そして僕の存在意義を、新曲に込めました」と語ってから、新曲“J-POPSTAR”を歌い上げる。『BMSG FES’22』では「BMSGを次のステージに連れていくのは俺です」という言葉が飛び出したが、この1年間、Yohji Igarashi、Shin Sakiura、GANMI、dawgssとコラボするなど、BMSGの他のアーティストたちとは異なるベクトルでシーンをまたいでクリエーションを行い、アンダーグラウンドなカルチャーもJ-POPど真ん中へ連れていこうとする動きを見せてきた。“J-POPSTAR”は、昨年の宣言を具現化するために行動を起こしてきたAile The Shotaが、この先のさらなる道標を自ら描くような一曲だ。
Aile The Shotaの出番の最後に繰り広げられたのは、SHUNTO(BE:FIRST)、REIKO、RUI、TAIKIも加わった“YOLO”。これも『THE FIRST』の審査内で生まれた一曲である。オーディションで出会ったこの5人は、それぞれが自身の才能や個性がもっともいい形で花開く道を選んだ。あれから3年間、自分の道をしっかりと歩み進めてきたからこそ、このステージ上で5人の異なる輝きと笑顔がキラキラと乱反射していた。
ハウスバンド「THE WILL RABBITS」を引き連れて登場した、BMSGの第一弾アーティスト・Novel Coreは今、圧倒的に頼もしい存在にまでなった。どんな会場であってもステージ前に集まった人たちを絶対に楽しませる安定感と凄味を備えたスターアーティストだ。MCでは「ひとつだけ、俺がBMSGの最初のアーティストである理由があるのだとしたら、それはきっと、日高さんが今言ってることが叶ったその日に、世界中があの人の言葉に頷く瞬間がきたときに、あの人は何十年も前から同じことを言ってたよって証言するために隣にいると思っています」と語る。最後は、MAZZELになる前にミュージックビデオへの出演をお願いしたRANへ向けて、「デビューおめでとう!」と祝辞を放ち、“THANKS, ALL MY TEARS”で締め括った。
前半戦の最後では、BE:FIRSTとMAZZELの初のコラボレーションが実現。両者のオーディション内の課題曲“Be Free”を15人でパフォーマンス。トークを挟んだあと、またさらなるサプライズが。BE:FIRSTの2ndシングルに収録された楽曲であり、SKY-HI、Novel Core、Aile The Shota、edhiii boiによるリミックスも発表されている“Brave Generation”が、MAZZEL、REIKO、RUI、TAIKI、KANONもジョインした新たなバージョンに生まれ変わったのだ。最後、一人ずつの名前を呼び上げて「We are BMSG!」と締めたSKY-HIは、「喜」や「楽」など普遍的な言葉に収まらないほどの充実感に満ちた表情を浮かべていた。
BE:FIRSTは、4thシングル『Mainstream』収録“SOS”のライブ初披露からスタート。“Betrayal Game”ではミュージックビデオのセットをスクリーンに映し出し、“Bye-Good-Bye”ではパステルカラーがステージを彩る。LEO、JUNON、MANATO、RYUHEIがスタンドマイクで歌う“Softly”、RYOKI、SOTA、SHUNTOが自分の在り方を詰め込んでラップする“Spin!”、EDMナンバー“Don’t Wake Me Up”、こちらもライブ初披露となった“Salvia”などを織り混ぜて、BE:FIRSTだからこそ生み出せる多種な魅せ方でオーディエンスを誘う。SHUNTOの「BMSGを応援するあなたが、BESTYのあなたが、俺にとっては大切な音楽仲間だと思ってます」という言葉から、“Message”のアコースティックバージョンをスクリーンに歌詞を映し出しながら歌い上げたシーンもエモーショナルだった。
そして最後のステージを引き受けたのは、SKY-HI。「I’m your Boss SKY-HI」(“Crown Clown”)と音楽で挨拶し、9人編成のSUPER FLYERSによるダイナミックなサウンドを響かせていく。“MISSION”では途中でMAZZELの8人もジョイン。SKY-HIとメンバーが一人ずつ目を合わせて歌ったり、SEITOと同じ高さでハイキックを見せたりと、全員のポジティブな熱量が爆発したステージだった。そして「ナチュラルボーンラッパー」とSKY-HIが呼ぶRYUKIだけが残って、「ボーイズグループだからこそラッパーがまじで大事なんだよってことを証明してやろうぜ」という言葉から、Novel Core、RYOKI、RYUKI、edhiii boi、TAIKIによる“Name Tag”を披露。さらに寅年生まれのJUNON、LEO、Aile The ShotaにTAKUTOも加わった“Tiger Style”、RUI、edhiii boi、TAIKIに特別にKANONとRYUHEIも参加した“14th Syndrome”、『MISSIONx2』の初期メンバーであるREIKO、RAN、SEITO、KAIRYUが再集結した“One More Day”と、SKY-HIの楽曲が、BMSGの新たな仲間たちを加えたリミックスで届けられた。
「また来年お会いしましょう、『BMSG FES!』」というSKY-HIの言葉から、最後を飾ったのは、“The Sun from the EAST”と“The Moon in the WEST”のマッシュアップ。太陽と月が完全に重なったとき、人々は、その珍しい光が気になって空を高く見上げる。SKY-HIの名前にまたひとつ意味が増えた瞬間だった。次に日本で皆既日食を見られるのは2035年だと言われている。その頃、BMSGはどんな未来を描いているのだろうか。