今年5月に開催された第76回カンヌ国際映画祭で初上映され、長いスタンディングオベーションで賞賛されるや否や、本年度の賞レースにおいて早くも一二を争う注目作となっている巨匠
マーティン・スコセッシ監督の待望の最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が、10月20日(金)より劇場の大スクリーンで公開。この度、
ロバート・デ・ニーロ演じるウィリアム・“キング”・ヘイルの見え隠れする残忍さをスコセッシ監督らが語った特別映像が公開されています。
本作は、デイヴィッド・グランによる同名小説を原作とする、真実の愛と残酷な裏切りが交錯するサスペンス。1920年代のオクラホマ州、石油の発掘によって一夜にして世界でも有数の富を手にしたアメリカ先住民族・オセージ族。すぐにその財産に目をつけたのが白人たち……。すでに町に入り込んでいた彼らはオセージ族を巧みに操り、脅し、奪える限りの財産を強奪し、やがて殺人に手を染めていきます。実際に起きた残酷な連続殺人事件を、アーネスト・バークハート(
レオナルド・ディカプリオ)とオセージ族のモリー・カイル(リリー・グラッドストーン)の夫婦の愛を通して描かれます。
そんなアーネストとモリー夫婦を利用しようと企むのが、ロバート・デ・ニーロ演じるウィリアム・“キング”・ヘイルです。公開された特別映像では、スコセッシ監督や主演ディカプリオらがヘイルという“悪”について語っています。
スコセッシ監督はヘイルについて「ウィリアム・“キング”・ヘイルは並外れた人物。表の顔は優しいが残忍さを隠し持つ」と話します。アーネストをオセージ族の町に迎え入れたヘイルは、すでにオセージ族の人々との関係性を築いていました。アーネストと結婚することになるモリーともすでに家族ぐるみで交流があり、ヘイルは事あるごとにモリーの母や姉妹らの病気や生活を心配するなど、人々から信頼を得ていました。しかし、アーネストとモリーが結婚すると、ヘイルのもう一つの顔が見え始めます。映像では、ディカプリオがヘイルという人物について話しており、「実際、ヘイルは悪の典型だった」といいます。「彼はオセージの富と領土を奪い取ろうとする。彼らを利用し操る」とヘイルの表の顔に隠された恐ろしい企みについて語っています。
コメントでスコセッシ監督は、そんな2つの顔を持つヘイルについて「とても複雑。彼はまるで預言者。彼ら(白人)の時代が来たと信じている。彼ら(オセージ族)を助けよう。ゆっくりと死に向かわせよう。楽にそうさせてやろう。文明は行き来するものだ」と話します。映像にはヘイルの「オセージはこの世で最も素晴らしい人々だ」という台詞がありますが、スコセッシ監督は「肝心なのは、ヘイルは彼らのことが確かに好きだったということ」と話します。スコセッシ監督が知るところでは、実際のヘイルの葬式には数名のオセージ族が参列しており、「だから、悪役とヒーローという単純な話ではない」と2つの顔を持つヘイルの複雑な人間性を語っています。
Apple Original Films『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
画像提供 Apple / 映像提供 Apple