これからの時代を担う若手指揮者として注目されるクラウス・マケラ率いる
オスロ・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演が、10月18日に東京・東京芸術劇場で初日を迎えました。当日のプログラムは、フィンランド生まれのマケラと同郷で、2022年には交響曲全集を発表している
シベリウスの交響曲第2番と第5番。会場につめかけた観客の期待を超える圧倒的な演奏を披露したこの日の公演レポートが公開されています。
公演は10月26日(木)まで全国各地で行なわれます。チケットの詳細は公演のオフィシャル・サイトをご覧ください。
[クラウス・マケラ率いるオスロ・フィルハーモニー管弦楽団 10月18日東京・東京芸術劇場公演レポート] 「これはヤバい」。前半の演奏を終えた直後の休憩中にすれ違った聴衆がつぶやいた言葉が耳に入った。興奮して紅潮したその顔からは、その演奏がいかに素晴らしかったかが窺える。
気鋭の指揮者クラウス・マケラが手兵オスロ・フィルを率いての待望の来日公演の第一夜(10月18日東京芸術劇場)は、マケラのお国もののシベリウスの交響曲第2番と第5番というプログラム。機動力抜群で華やかなサウンドを奏でる管楽器陣と、クリーンで透明感のある弦楽器陣が織りなす北欧のオーケストラらしい音色が、シベリウスの代表作を益々魅力あふれるサウンドにして会場の隅々まで響かせてゆく。アンコールで演奏された「レミンカイネンの帰郷」ではマケラとオーケストラが実に自由に楽しそうに大迫力の演奏を我々に届けてくれたのが深く印象に残った。マケラの指揮捌きに俊敏に応えるオーケストラが奏でる音楽は、シベリウスの魅力を我々に存分に伝えてくれた。両者が培った信頼関係なくしては成立し得ない一夜であった。
このシベリウス・プログラムは24日に東京・サントリーホールで再び演奏される他、浜松、名古屋、大阪、熊本と23日のサントリーホールでの公演ではリヒャルト・シュトラウスの《英雄の生涯》が演奏されるのに加え、コンサートの前半にはショスタコーヴィチの祝典序曲と、辻井伸行をソリストに迎えて同じくショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番が披露される。このまたとない好演の機会を聞き逃す手はないだろう。Photo by Rikimaru Hotta