2025年に生誕100周年を迎えるジャズピアノのレジェンド、オスカー・ピーターソンの生涯を描くドキュメンタリー『オスカー・ピーターソン』（原題『Oscar Peterson: Black + White』）が、2024年2月2日（金）より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開されることが決定。

　ジャズ史上最も偉大で人気のピアニストのひとり、オスカー・ピーターソン。陽気なキャラクター、聴く者をハッピーにするリズムとハーモニー、そして誰もが憧れる明快で魅力的な音質と超絶技巧――かのルイ・アームストロングは彼のことを「4本の手を持つ男」と呼んだといいます。日本でも『プリーズ・リクエスト』をはじめとする名盤の数々で知られ、来日公演も果たし、ジャズファンもアーティストも誰もがその影響と愛を口にする鍵盤の皇帝。

　しかし、その順風満帆に映る音楽人生と、明るく魅力的なピアノスタイルの裏には、黒人であるゆえの長きにわたる差別との戦いがありました。1962年にオスカーが作曲した「自由への賛歌」は、1960年代公民権運動の賛歌になり、その音楽的、社会的影響は分断の続くアメリカで今もなお響き渡っています。

　1993年68歳には脳梗塞を発症。ピアニストとしては終わりかと思われましたが、懸命のリハビリで奇跡の復活を遂げ、2004年には来日を果たすほどに回復し、ファンを喜ばせ、大きな話題となりました。

　本作では、差別との闘い、病気と復活までの困難な道のり、家族愛について、多数の本人インタビューを収録。そして、そんなオスカー・ピーターソンが多くの人々にリスペクトされ続けるその理由を、実際にジャンルと世代を超えて彼の音楽に影響を受けてきたスター・ミュージシャンたち――ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、ラムゼイ・ルイス、ハービー・ハンコック、ブランフォード・マルサリス、ジョン・バティステらが語り尽くします。さらに、妻・娘ら家族による、その旅立ちまで晩年の貴重な証言も収録。バリー・アヴリッチによる監督のもと、彼の知られざる強さ、魅力に迫ります。