米ニューヨークの名門レーベル「DECCA GOLD」から世界デビューし、国内外から注目を集めているフルート奏者“
Cocomi”のリサイタル〈Mélancolie〉が2023年11月11日に東京・紀尾井ホールで開催され、大盛況のうちに終演しました。
先日発売されたCocomiの2ndアルバム『
Mélancolie』は、
ドビュッシー、
フォーレ、
プーランクといった3人の作曲家にフォーカスしたフランス近代音楽の名曲を収録。そして、アルバム『Mélancolie』のリリースを記念して開催された今回のリサイタルでは、アルバムの共演で抜群の相性を見せたピアニストの
ニュウニュウを迎え開催されました。
[オフィシャル・レポート] 第1部、場内が暗転し大きな拍手と共に、純白のドレスに身を包んだCocomiがステージに登場。フルートの無伴奏で演奏されるドビュッシー作曲の「シランクス」を、会場いっぱいに響きわたる美しくも荘厳なフルートの音で幕が開けた。
2曲目からはピアニストのニュウニュウが加わり、2ndアルバムに収録されているドビュッシーの「美しき夕暮れ」「アラベスク 第1番」。かつてルイ14世も好んで踊ったという当時のバレエ音楽の曲調を喚起させる「バレエ(小組曲)」を、弾むように生き生きとした演奏で披露。その後、フォーレ作曲の「コンクール用小品」「子守歌 作品16」、Cocomiのデビューアルバムにも収録されていた「シシリエンヌ 作品78」を、この日のためにフルートとピアノにアレンジされたニュー・バージョンで披露。
第1部の最後は、印象の異なる2つの楽曲で構成された難曲として知られる「幻想曲 作品79」。長いフレーズを美しく奏でる唯一無二の音色で会場を魅了した。
第2部は、ミントグリーンの可憐なドレスに身を包んだCocomiが登場。リサイタルのテーマにもなっている2ndアルバムから、プーランク作曲の「メランコリー FP105」「エディット・ピアフに讃えて」「消えた男 PF134」3曲を続けて披露。
その後、ニュウニュウのソロ演奏で坂本龍一の「エナジー・フロー」。本編の最後は、Cocomiがフルート奏者にとって、もっとも重要なレパートリーだと語るプーランクの「フルート・ソナタ FP164」を披露し、2人の息の合った圧巻の演奏で会場を魅了した。
盛大なるアンコールの拍手に包まれた舞台に再び現れた2人。ニュウニュウから「今日、またCocomiさんと共演できて楽しいです。Cocomiさんは、どう感じましたか?」と日本語で質問されたCocomiは「すごく、やりきった感じです。プーランクのフルート・ソナタは、毎回合わせをするたびに変わるのですが、今日もとても楽しいセッションでした」とコメントを寄せた。
その後、ニュウニュウがCocomiの音色をイメージして作曲したという「L’eau(水)」が世界初演され、2人の色彩豊かな音色に会場からはためいきがもれた。
続いて、ドビュッシーの「夢」、フォーレの「夢のあとに」を披露。アンコールの最後を飾ったのは、アルバム『Mélancolie』の最後に収録されているフォーレの「パヴァーヌ 作品50」。
まるで夢から覚めたように大きな拍手を贈る観客、そしてスタンディングオベーションでドラマティックなリサイタルは幕を閉じた。 ©Ryota Mori
■Cocomiリサイタル〈Mélancolie〉
2023年11月11日(土)
東京 紀尾井ホール
[セットリスト]
〈第1部〉
クロード・ドビュッシー
01. シランクス(フルート・ソロ)
02. 美しき夕暮れ *
03. アラベスク 第1番 *
04. バレエ(《小組曲》より)
ガブリエル・フォーレ
05. コンクール用小品
06. 子守歌 作品16
07. シシリエンヌ 作品78 *
08. 幻想曲 作品79
〈第2部〉
フランシス・プーランク
01. メランコリー FP105 *
02. エディット・ピアフを讃えて *
03. 消えた男 FP134 *
坂本龍一
04. エナジー・フロー(ピアノ・ソロ)
フランシス・プーランク
06. フルート・ソナタ
第1楽章: アレグロ・マリンコーリコ
第2楽章: カンティレーナ
第3楽章: プレスト・ジョコーソ
〈アンコール〉
ニュウニュウ
01. L’eau(水)
ドビュッシー
02. 夢 *
ガブリエル・フォーレ
03. 夢のあとに **
04. パヴァーヌ 作品50 *
*…編曲: 萩森英明 / **…編曲: 村松崇継