キリル・コンドラシンの急逝後、首席指揮者が空いていた
バイエルン放送交響楽団と
ベルナルト・ハイティンクが、1981年11月19日と20日にドイツ・ミュンヘン ヘルクレスザールでライヴ録音したブルックナー:交響曲第7番が初CD化。2024年1月12日(金)に発売されます。
ハイティンクは1963年から72年にかけて
ブルックナーの交響曲全集を録音(第7番は66年)。そこでは思い切ったテンポの伸縮や強奏強打をまじえてドラマティックな面を強調する解釈が聞かれますが、78年の第7番の再録音(オケはどちらも
コンセルトヘボウ管)では、そうした操作は目立たないようになり、作品の持つ自然な流れの中でドラマを紡いでゆく巧者ぶりが発揮されています。ここに収められた81年の演奏も78年盤に通じるスタイルで、安心して音楽に浸ることができると同時に、細部に耳を凝らすとオケが指揮者の解釈に敏感に反応していることが感じられます。録音は最近のものに比べれば細部の解像度がやや落ちるものの、クーベリック時代のサウンドを留めるオケの音でハイティンクのブルックナー解釈を味わえます。
円熟期のハイティンクにとってブルックナーの第7番は特別なレパートリーだったようで、日本公演だけ見ても1997年(ウィーン・フィル)、2009年(シカゴ響)、2015年(ロンドン響)と演奏しており、2019年には
ベルリン・フィルへの最後の客演と、
ウィーン・フィルとの引退公演でも指揮しました。