10月にニュー・アルバム『
感覚は道標』を発表した
くるりの
岸田繁が、11月29日に京都・磔磔で開催されたアイルランドのバンド、
ルナサ(Lúnasa)の公演にサプライズ出演。くるりの「ブレーメン」とルナサの「Cregg's Pipes」を共演したほか、アンコールの「The Minor Bee」(ルナサ)の演奏にも加わりました。
公演後、音楽評論家・五十嵐正のインタビューに応じた岸田は、ルナサについて「以前からチーフタンズとかを聴いていたんですけど、ルナサはそれよりも若い世代のバンドで、めっちゃうまい。それで、スウェーデンのヴェーセンとルナサが大好きになったんです」と語り、ルナサが選曲したという「ブレーメン」の共演については「僕のソングライティングやプレイは、アメリカのカントリー&ウエスタンではなくて、アイリッシュのジグ、ああいう3拍子系のリズムにかなり影響を受けているので、じつは自分には座りがよかった。そしてくるりのレパートリーのなかには、彼らの演奏に乗せるとけっこういいと思える曲があって、そのなかからいくつか聴いてもらい、あの曲(ブレーメン)を選んでもらったわけです。いちばん好きな曲なので嬉しかったですね」とコメントしました。また、ステージで並んでギターを弾いたエド・ボイドを絶賛。「エドは、前から“ルナサのギターはかっこいいな”と思っていたけど、そのスタンスもいい。こういう音楽だから大変なことも多いでしょうけど、全体を俯瞰していて、すごくいいところで違うリズムを加えたりして、彼がまとめている。大ファンになりました。一緒にやれてほんとに楽しかった」。
エド・ボイドは「ブレーメン」での岸田との共演について、「前もっていただいた4曲から2曲を選び聞かせてもらったけど、僕らにはプレッシャーがあった。ライヴ・アルバムのための多くの新曲に取り組んでいたから、十分な時間があるか心配だったんだ。僕らは中途半端の出来の2曲よりも、1曲良い演奏をしたかった。そんなわけで〈ブレーメン〉だけをやることにした。メロディがパイプス、ホイッスル、フィドルにぴったりだと思った。そして、ベースのトレヴァーと僕はコードが興味深いと思ったんだ。日本語の歌詞は理解できなかったけど、サウンドを聴けば、あらゆるところにとても配慮の行き届いた曲だとわかる。とてもうまく作られた曲だし、プロダクションやアレンジも見事で、僕らは下手な仕事をしたくなかったね」。さらに「ブレーメン」の編曲を問われると「(インストの)チューンを演奏するときは、メロディを僕とトレヴァーが補完するわけだけど、歌の場合は僕とトレヴァーが曲を進行させて、メロディ陣はどこで演奏するかの場所を探す。音があるべきだけどない場所を見つけるんだ。そしてみんなでどのように歌に仕えるかを話し合う。うまくいったと思うよ、岸田さんと僕らの相性も良かった。この共演はヨーコ(THE MUSIC PLANTの野崎洋子)のアイディアだったから、僕らの功績じゃないけど」とコメントしました。
11月27日から29日まで京都・磔磔で行なわれたルナサの公演はライヴ・アルバムとしてまとめられ、事前に行なわれたクラウドファンディングの支援者に送られるほか、2024年2月から開催されるアメリカ・ツアーで販売される予定です。
また、ルナサは4年ぶりに開催される〈ケルティック・クリスマス〉に
ダーヴィッシュ、デイヴィッド・ギーニーとともに出演中。今後の公演は、12月1日(金)兵庫・兵庫県立芸術文化センター、12月2日(土)東京・すみだトリフォニーホール、12月3日(日)埼玉・所沢市民文化センター ミューズです。
Photo by Yuki Kuroyanagi