ビートルズ、
ローリング・ストーンズ、
デヴィッド・ボウイ、
プリンス、
ジェイムス・ブラウン、
ジミ・ヘンドリックス、そして
エルヴィス・プレスリーまでもが憧れた革新的黒人アーティスト、
リトル・リチャード。現代ロックの誕生を導いた一面を持ちながら、差別と偏見、栄光と苦悩の狭間で闘い抜いたその“魂の軌跡”を、『
プレシャス』のリサ・コルテス監督のもと描いた感動作『LITTLE RICHARD:I AM EVERYTHING』が、邦題『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』として、2024年3月1日(金)より東京・シネマート新宿ほかにて全国公開されることが決定しました。
1950年代半ばに彗星のように音楽シーンに現れ、後進のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えたリトル・リチャード。
ミック・ジャガーは「ロックンロールはリトル・リチャードが始めた」と語り、エルヴィス・プレスリーは「彼こそロックンロールの真のキングだ」と称賛。ビートルズのデビュー前から親交があった
ジョン・レノンは「初めて会ったとき、畏敬のあまり、硬直してしまった」と言い、
ポール・マッカートニーは「歌で叫ぶのはリチャードの影響さ」と語ります。果たして彼はいったいどのような生い立ちを経て、その名を世界に刻んでいったのか。映画では、豊富なアーカイヴ映像をはじめ、本人およびその親族や関係者、識者に加え、ミック・ジャガー、
キース・リチャーズ、ポール・マッカートニー、
デイヴィッド・ボウイら著名ミュージシャンによる証言映像とともにつまびらかにされます。
1955年、デビュー・シングル「トゥッティ・フルッティ」の大ヒットで世に出ると、ヒット曲を連発して反権力志向の若者の心をつかみ、まさにイナズマのような活躍をみせるも突如引退を宣言。そこから5年の「教会への回帰」を経て、復帰後はイギリス・ツアーを通じて無名時代のビートルズやローリング・ストーンズに決定的な刺激と影響を与えて感化。ピアノ演奏では左手でブギウギを、右手では打楽器的な打鍵を披露。激しいリズムを背景に、叫ぶように歌ったかと思えば、ピアノの上に立ち、衣服を脱ぎ捨ててステージを縦横無尽に駆けめぐるなど、現代ではすっかり当たり前になっているパフォーマンスの数々が約70年前にひとりの黒人シンガー・ソングライターによって開発された事実を再認識する興奮は大きく、アーカイヴ映像に残されたリチャードの演奏も今接しても全く色あせてはいません。
ロックの創始者と言っても過言ではないリトル・リチャードですが、不遇の時代を過ごし、あらゆる障害と戦った知られざる史実と素顔を持ちます。当時のアメリカでは南部を中心に人種差別がまだまだ激しく、音楽活動における承認欲求も長い間満たされずにいました。また、ゲイを公言する性的マイノリティーでもあり、陽気なキャラを演じつつ、人間的であまりに壊れやすい繊細な魂を持った人物だったリトル・リチャード。そんな彼の栄光と苦悩の狭間での闘いを描いた本作は、ドキュメンタリーの形を借りて描かれた、ひとりのミュージシャンの“魂の軌跡”。性的差別や偏見、時代と流行、そして信仰と音楽活動。さまざまな狭間の中で苦悩し闘い抜いた初期ロックの雄のための鎮魂歌にして讃歌。その魂の美しさに浸り、その激しさに酔いしることができる本映画に期待が高まります。
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