杉咲花主演の最新作『市子』が、12月8日(金)より全国公開。この度、市子(杉咲花)が恋人・長谷川(
若葉竜也)の足音を背に窓から逃走する緊迫の本編映像が公開されました。
「市子のことが頭から離れない」「心に突き刺さる」との感想が続々と寄せられている本作は、監督の
戸田彬弘が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台『川辺市子のために』が原作。観客から熱い支持を受け2度再演された人気の舞台が映画化となりました。
痛ましいほどの過酷な家庭環境で育ちながらも「生き抜くこと」を諦めなかった川辺市子を演じるのは杉咲花。抗えない境遇に翻弄された彼女の壮絶な半生を、凄まじい熱量で体現し圧巻の演技を披露、芝居を超えて役を生き抜く姿がスクリーンに映し出されています。さらに、市子の恋人・長谷川を演じるのは、若葉竜也。この重厚な物語の軸を担う長谷川が、市子の真の姿を知っていく過程で揺れ動く感情の変化を繊細に演じ切ります。他にも、
森永悠希、
渡辺大知、
宇野祥平、
中村ゆり、
倉悠貴、
中田青渚、
石川瑠華、大浦千佳ら豪華俳優陣が名を連ね、市子の知られざる人物像や過去を第三者の目線で浮き彫りにしていきます。
今回公開されたのは、本作の主人公・市子(杉咲花)が恋人である長谷川(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日を映し出した1シーン。長谷川の留守中、なにやら荷物をカバンに詰め込んでいる市子。目の前のTVからは物騒なニュースが流れています。東大阪市・生駒山での遺体発見のニュース。「司法解剖の結果、死後8年以上経過しているとの…」報道を見ていた市子が同時に耳にしたのは、間もなく自宅に着きそうな、家に帰ってくる長谷川の原付バイクの音。市子はカバンに荷物を入れる手を止めます。駐輪場から自室への階段を登る長谷川、市子は詰め込んだ荷物と共にベランダへと急ぎます。そして長谷川が玄関を開ける間一髪のタイミングで、市子は窓から飛び降り、全力疾走で駆けていきます。テレビがつけっぱなしの部屋を見渡し市子を探す長谷川は、開けっ放しになっている窓と不自然に置かれたカバンを見つけ、表情を曇らせます。映像の最後には、不穏な音楽と共に、不気味に照らされたトンネルの中を、市子が全速力で駆け抜ける、物語の発端となる重要な一幕が映し出されています。
市子を演じた杉咲は、芝居における個人の納得と、作品としてのバランスについて、「絶対に主観的になってしまうから、客観性との距離感を計るのが難しかったです」とコメント。その上で本作においては、「戸田監督の中に迷いがなかったので、そこに対する信頼感はとてもありました」と、戸田監督と共に走り切ったことを明かしています。一方、戸田監督も杉咲に対して、「杉咲さんは一瞬一瞬を大事に演じられる方だな、という印象を受けました」と話し、「僕自身も、ロケーションやその日の天候、俳優さんのお芝居における1テイク目とアングルを変えた2回目のテイクと……すべて同じものはないと映画を撮る上では考えており、そういった意味での価値観みたいなものが似ていたので、すごくやりやすかったですね」と、杉咲との初タッグを振り返りました。その上で、「杉咲花という女優さんについて触れますと──凄かったの一言でもありますが、誠実で愛情深く、丁寧に役を心で感じ取る魅力的な方でした」と改めて杉咲を絶賛。杉咲だからこそ生み出すことが出来たこの“市子”を、今回公開された本編映像、そして劇場でぜひ確かめていただきたいところです。
©2023 映画「市子」製作委員会