ピアニスト / コンポーザーの
横山起朗が、
ワールドスタンダードの楽曲をピアノ・ソロで演奏、
鈴木惣一朗がプロデュースしたアルバム『Maebure』が3月29日(金)にリリースされます。
横山起朗は、武蔵野音楽大学演奏学科ピアノコース卒業後、ポーランド国立ショパン音楽大学でピアノを学びました。クラシック音楽の研鑽を通じ、より静寂を内包した物語性のある音楽を求めるようになり、ワルシャワにて作曲を始めソロ・ピアノのアルバムを制作。これまでにソロとして、『Solo Piano 01:61』『
SHE WAS THE SEA』『
moonless』『
If You Were Closer』をリリースしたほか、電子音楽と映像を届けるプロジェクト「nuun」、和楽器を主体に演奏活動を行う「Re:connect」のメンバーとしても活動。今年2月には香港在住の音楽家Norvikとの
デュオ・アルバムを発表するなどコラボレーションも積極的に行なっています。
このたびの『Maebure』は、2023年5月に開催されたコンサート〈Polish Pianism〉での横山起朗の演奏を聴いた鈴木惣一朗が、その音色に惚れ込み、自らプロデュースを申し出て誕生した作品。鈴木がワールドスタンダード名義で発表した数多くの楽曲のうち、2020年のパンデミック以降のアルバム3枚『
色彩音楽』『
エデン』『ポエジア...刻まれた時間』から横山が選び、ソロ・ピアノにアレンジ。2023年の秋から冬にかけて1曲ずつじっくりと録音された順に、そのままアルバムに収められました。
自作曲でない故に、横山がこだわったのは楽曲の核となる情感、フェルト・ピアノのようなやわらかで親密な響き、音色が纏う空気感。まるで手紙のように1編ずつ届けられる音源ごとに移ろいゆく気配を損なわないよう、丁寧にミックスとマスタリングが施され、完成しました。幾重にも重なるブルーの淡いレイヤーがうつくしい手折りジャケットにも注目です。
[前兆・Maebure]明け方、眠っていると、何かの気配がする。
外で「雪が降っているのかな‥」と思う。
寝室の階段を降りる。
仕事部屋のラップトップパソコンを開いてみる。
横山くんのピアノ・データーがメールで届いている。
「聴いてください」と書いてある。
データーを解凍して、彼のピアノの音を聴く。
その世界をのぞくと、再び「雪が降っているな」と思う。
横山くんのピアノは、しんしんと降る、あたらしい雪のようだ。
冬から、春に変わる気配と言ってもいい。
まるで、自然の息吹のようだ。
それは、良いことが起こる『前兆(まえぶれ)』のような音なんだ。
ピアノを聴き終えると‥いつもの静寂の世界。
自然と「ありがとう」という言葉が降りてくる。
横山くんのピアノは、そんな気持ちにさせてくれる。
いつも。いつまでも。
いつも。いつまでも。
ぼくは、彼のピアノの音に出会えてよかったと思う。
新しい戦争が繰り返される今。
世界中で「最もやさしい音なんだ」と思う。
これは間違いなく「奇跡の音なんだ」と思う。
横山起朗くんのピアノ、ぼくは本当に好きだな。――鈴木惣一朗 a.k.a World Standard
■2024年3月29日(金)
横山起朗 & ワールドスタンダード
『Maebure』
[収録曲]
01. Bittersweet is the Moon
02. Other Voices, Other Rooms
03. Floating Clouds
04. A rose is A rose is A rose
05. Evening Calm
06. Little Sorrow
07. Like the Twilight Flowers
08. Marronnier
09. Deeper Is Our Love
10. Wuthering Heights