吉田修一による“現代の黙示録”とも言うべき傑作同名小説を、『
日日是好日』、『
星の子』、『
MOTHER マザー』の
大森立嗣による監督・脚本で映画化した『湖の女たち』が、5月17日(金)より公開されます。このたび、主演の
福士蒼汰と
松本まりかを水中で撮影したポスター・ヴィジュアルと、物語の闇を暴き出す本予告編が公開となりました。
第35回モスクワ国際映画祭で日本映画48年ぶりとなる審査員特別賞受賞の快挙をはじめ、数々の国内賞を受賞した映画『
さよなら渓谷』のタッグが実現した『湖の女たち』は、全編にわたって観る者の理性と感性を激しく揺さぶり、衝撃的な映画体験をもたらすヒューマン・ミステリー。介護施設での殺害事件を発端に、想像もつかない方向へとうねり出す物語は、重層的な構造と壮大なスケール感で観る者を圧倒します。
事件が混迷を極めるなかで、身も心もさらけ出す難役に挑んだのは、刑事・濱中圭介役を演じた福士蒼汰と、事件が起きた施設の介護士・豊田佳代役を演じた松本まりか。100歳の老人の殺人事件から始まる本作は、福士演じる濱中圭介と松本演じる豊田佳代が刑事と容疑者という立場でありながら、抗えない関係に溺れ、人間の内なる欲望に目覚めるとともに、過去から隠蔽されてきた恐るべき真実を引き摺り出していく物語。圭介と佳代の、一心不乱に互いを求めて貪り合うその姿は、闇夜の湖畔で艶めかしい“生”の輝きを放ち、今までに見たことのない福士の淀んだ視線、松本の剥き出しの心が「今、世界は美しいのだろうか」という問いの答えとなり、見るものの心に突き刺ささります。
今回公開されたポスターは、福士と松本が演じる圭介と佳代の「理屈では説明できない抗えない力」で引き寄せられ、溺れていく関係を表現するため、実際にプールに入り、水中で撮影し、『湖の女たち』の作品性を俳優達自らが体現したもの。まるで湖に沈んでいくように水中に漂う姿が印象的に映し出されています。
あわせて公開された本予告では、刑事の濱中圭介と介護士の豊田佳代のただならぬ場面から。佳代の絞り出すような「私がやりました」という声とともに、
バッハ『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』のパルティータ第2番ニ短調に含まれる「シャコンヌ」の切り裂くような旋律が流れ出します。圭介と
浅野忠信演じる伊佐美の執拗な取調べに「うちはやってないんや」と、
財前直見演じる介護士・松本が泣き叫ぶ鬼気迫る場面、危うい関係を深めていく圭介と佳代の姿が次々と映し出された後、暗転し圭介が「こんな人生望んでたんと違うよな」と誰かに問いかけます。一方、事件を追う、
福地桃子演じる週刊誌記者・池田が事件の背景に旧日本軍731部隊の存在があったことをつきとめ、
三田佳子演じる100歳の老人の妻・松江と対峙する様子も描かれるなど、断片的な映像の数々から豪華俳優陣の熱演による濃密でスリリングなアンサンブルが伝わる仕上がりとなっています。
過去から引き摺り出される事実は、どんな答えを導き出すのか。そして厳かに静まりかえった湖のほとりで、後戻りできない関係に堕ちていく圭介と佳代の行く末は……。観る者を圧倒する壮大なヒューマン・ミステリー『湖の女たち』に期待が高まります。
©️2024 映画「湖の女たち」製作委員会