『EACH TIME』は、1984年3月21日に発表されたソロ名義としては6枚目、オリジナルスタジオ・フルアルバムとしては大滝生前最後の作品です。大滝は日本ポップ史に燦然と輝く傑作『A LONG VACATION』(ロンバケ)を1981年3月にリリースした後も、松田聖子「風立ちぬ」(1981年10月7日発売)、森進一「冬のリヴィエラ」(1982年11月21日発売)、薬師丸ひろ子「探偵物語」(1983年5月25日)など、“大瀧詠一”名義で他のアーティストに提供した楽曲も大ヒットを記録。
[コメント] 『A LONG VACATION』発売40周年記念「君は天然色」に引き続き今回は「ペパーミント・ブルー」、ダイジェスト映像である「EACH TIME THE MOVIE」という超名盤のMVを制作させていただきました。河田久雄さんのたくさんのイラストと『EACH TIME』の名曲に囲まれて仕事ができる幸せ。「色」と「音」は密接な関係にあると言われていますが、大滝さんの音楽はタイトルにもあるようにそれが顕著で、イラストを使用させてもらえる事でよりそこを意識して制作しました。色褪せないというのは、取りも直さず色が想起できるという事なんだと制作していて改めて思いました。そして「色」が想起できるだけでなく、ファンの方なら今まで聴いてきた想い出、景色、匂いなどあまりにも多くの情報量が詰まっている音です。音楽全般に言えることではありますが、特に大滝サウンドは聴いた方それぞれの記憶や解釈を全て内包している感がすごい。「ある時代の」「あるシチュエーションの」事を歌っているのに過去も未来も関係なく普遍的な印象を与えるような魅力があります。そして普遍的ではあるのですが実際その音をよくよく聴き込んでみると、本当に面白いギミックやアイデアが遊び感覚のように散りばめられていて斬新!語り出したら魅力は尽きません。この映像がファンの方々にも、これから聴く方々にも「大滝色」を浴びる一助になれたら幸いです。 ――依田伸隆