第1回山本周五郎賞を受賞した、
山田太一の長編小説『異人たちとの夏』(新潮社刊)を、『
荒野にて』(2017)、『
さざなみ』(2015)など数々の賞に輝き、世界で絶賛された作品を送り続ける監督 / 脚本家
アンドリュー・ヘイの手により再映画化した『異人たち』。このたび、4月19日(金)に公開に先駆けて、アンドリュー・ヘイ監督&キャスト自らが作品をガイドする特別映像が公開されました。
2023年11月29日に惜しくも逝去された山田太一の原作による『異人たち』は、英国インディペンデント映画賞で作品賞・監督賞・脚本賞・助演男優賞(ポール・メスカル)・撮影賞・編集賞・音楽監修賞など、主要部門を独占する最多7冠に輝き、第77回英国アカデミー賞では作品賞・監督賞・助演男優賞・助演女優賞・脚色賞・キャスティング賞にノミネート。さらに、第81回ゴールデングローブ賞において、主演男優賞(ドラマ部門)に
アンドリュー・スコットがノミネートされるなど賞レースでも注目を浴びています。本国イギリスでは大作・競合ひしめく中、2位で初登場。引き続き4週連続トップ10を維持するスマッシュヒットとなり、山田のオリジナリティあふれたストーリーに、ヘイ監督ならではの感性あふれる脚色と演出が加えられたことで、時代を超えて多くの人々の心に残り続ける新たな傑作となっています。
物語の主人公は、夜になると人の気配が遠のくロンドンのタワーマンションに暮らす脚本家・アダム(アンドリュー・スコット)。12歳の時に交通事故で両親を亡くして以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいます。ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父(
ジェイミー・ベル)と母(
クレア・フォイ)の姿が。当時のままの姿で住んでいる2人と再会し、アダムは足繁く実家に通い、かつて失ったはずの心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていきます。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かず……。
今回公開されたのは、アンドリュー・ヘイ監督はもちろん、アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベル、クレア・フォイらキャストたちが物語をガイドする豪華特別映像。監督・脚本を手掛けたアンドリュー・ヘイが、映像内で「自分の世界に閉じこもり建設的な生き方をやめた男だ」と主人公・アダムを紹介することから始まります。映像では、少しずつ明かされていく物語とともに、12歳で両親を亡くして以来、喪失感を埋められずに孤独を抱えているアダムの姿や、互いの寂しさを感じ取り、少しずつ惹かれあっていくアダムとハリーの様子、そして、亡くなった当時のままの姿で現れた両親との再会に戸惑いながらも、彼らの前では子供のような笑顔を見せるアダムの姿などが次々と紡がれていきます。
少しずつ物語を紐解いていく監督、キャストらの姿が映し出されていく中で、「誰もが思うだろう。過去に戻って両親との関係を見直したいと」と明かすのはヘイ監督。もし、あの時に戻れたら――?もし、こんな事が話せたら――?もし、過去に戻ってやり直せるとしたら――?そんな、誰もが一度は考えたことのある切なくも苦しい想いが感じ取れ、大人になったアダムだけではなく、30年前の姿、価値観のままで再会した両親にも、多くの葛藤と後悔があった様子に魂が揺さぶられます。
主人公のアダムを演じたアンドリュー・スコットは、本作について「心揺さぶる物語だ。演じていてもその悲しさと美しさに打たれる」と明かしおり、山田太一の傑作小説が、アンドリュー・ヘイ監督の手によって見事に現代に蘇っているのが伝わります。
なお、神保町シアターでは3月23(土)〜4月19日(土)までの間、追悼企画〈映画で辿る――山田太一と木下惠介〉を実施予定。詳細は神保町シアターのホームページをご確認ください。
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