ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディによるポップ・ユニットのノウワー(KNOWER)による即完売となった東京公演が、3月28日(木)東京・恵比寿LIQUIDROOMにて開催されました。バンドメンバーは、ルイス・コール(ds.)、ジェネヴィーヴ・アルターディ(vo.)をはじめ、トム・ギル(g)やサム・ウィルクス(b)、ポール・コーニッシュ(Key)、チキータ・マジック(Key)という布陣で、最新アルバム『KNOWER FOREVER』収録曲はもちろん、2011年リリースの「Things About You」や「Around」なども披露し会場を沸かせました。
ラウド寄りのロックの要素も感じさせる「Do hot girls like chords」や、シンセポップ的な「Around」など、様々なジャンルを悠々と縦横無尽に駆け巡りながら、次はどんな球が来るのだろう?と興奮させられながらショーはどんどん進んでいく。
するとステージ脇からTenors in Chaosのメンバーを含めた6名のブラスバンドが出現し、人気曲「I'm the President」を披露。サックスの響きが高揚感を強く煽り、サム・ウィルクスの自由自在なベースもご機嫌だ。ブラスバンドはオーディエンスの興奮を高めるだけでなく、「Real Nice Moment」ではその場をアンビエント的なサウンドでゆったり包み込む役割も果たしていた。そのムードを引き継ぐように「Same Smile, Different Face」ではピアノの詩的な調べにジェネヴィーヴがしっとりと言葉を慈しむように乗せていく。ポップに弾けるような歌唱もさることながら、じっくりと聴かせるようなパフォーマンスもお手のもの。手を休めているルイスを含めたステージ上の演者たちもこの時ばかりはじっくりと耳を傾けていたのは美しい時間だった。
トーキング・ヘッズ的な「It Will Get Real」で緩急を切り替えると、2011年リリースの「Things About You」でさらに再加速する。その凄まじい技巧で全てを飲み込むようなハイパーなスタイルは、今でこそ聴き慣れたものだが、やはり時代が早すぎたのかもしれない。ソロパートでスティックを宙に投げる余裕っぷりを見せるルイスに歓声が止まない。
先ほどのブラスバンドが再登場すると、「Different Lives」でルイスが彼らの演奏を指揮する。森林浴をしているかのような幽玄な空間が出現した。ルイスが日本語で「愛してる、ガイズ」と愛を伝え、ファンキーな「Hanging On」へ。またもフロアはサムのベースに踊らされ、ステージを駆け巡って歌うジェネヴィーヴの姿は“ディーヴァ”と言っていいだろう。オーディエンスのボルテージは最高潮に達したところで壮大な「Crash the car」で大団円を迎える。
かと思いきや最新作で最も激しいダンスナンバー「It's All Nothing Until It's Everything」でラストを駆け抜けるのだから一筋縄ではいかない。