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ノウワー、即完売した東京・恵比寿LIQUIDROOM公演のライヴ・レポート到着

ノウワー   2024/03/29 19:21掲載
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ノウワー、即完売した東京・恵比寿LIQUIDROOM公演のライヴ・レポート到着
 ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディによるポップ・ユニットのノウワー(KNOWER)による即完売となった東京公演が、3月28日(木)東京・恵比寿LIQUIDROOMにて開催されました。バンドメンバーは、ルイス・コール(ds.)、ジェネヴィーヴ・アルターディ(vo.)をはじめ、トム・ギル(g)やサム・ウィルクス(b)、ポール・コーニッシュ(Key)、チキータ・マジック(Key)という布陣で、最新アルバム『KNOWER FOREVER』収録曲はもちろん、2011年リリースの「Things About You」や「Around」なども披露し会場を沸かせました。

 なお、ツアーTシャツとトート・バッグ、HAT Capが、BEATINKオフィシャル・サイトにてオンライン受注受付中です。締切は4月7日(日)まで。

[ライヴ・レポート]
2024/3/28 @Ebisu LIQUIDROOM

 2024年3月28日。超人ルイス・コールとジェネヴィーヴ・アルターディによるポップ・ユニットのKNOWERによる即完した東京公演が恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。

 前座は昨年結成したばかりだというTenors in Chaos。6人編成のジャズバンドで、長尺のジャズをソロパートも交えながら演奏するという、まさにジャズをライブで楽しむ醍醐味が詰まった最高に熱いひとときだった。

 ステージセットがどんどん組まれていくのをワクワクしながら眺めていると、会場はさらに後ろまでパンパンにオーディエンスで埋め尽くされていく。その中にはオースティン・ペラルタ「Algiers」も流れていたことに心を打たれたオーディエンスもきっといたに違いない。オースティンはルイス・コールとセッションを重ねていた、22歳の若さで早世したピアニストだ。

 そんな感傷に浸っていると、スクリーンにピクセル数の低いデジタルなフォントで「KNOWER」の文字が赤く表示され、歓声が巻き起こる。その文字が「!」に切り替わると、ノウワー御一行が入場。メンバーはルイス・コール(ds.)、ジェネヴィーヴ・アルターディ(vo.)、サム・ウィルクス(b)、ポール・コーニッシュ(Key)、チキータ・マジック(Key)、トム・ギル(g)という鉄壁の布陣で、牛柄のノースリーヴにヘッドセットを装着したジェネヴィーヴがキュートで華やかだ。

 いきなり最新作『KNOWER FOREVER』から疾走感溢れる「The Abyss」がスタート。ルイスの超絶技巧と形容されるドラミングは当たり前に強烈で、短くソリッドに刻まれるスネアの音色も独特だ。各メンバーの演奏が絶妙に混ざり合っているとも言えるし、バチバチに火花を散らしながら弾けているようにも見える点にジャズの要素を感じさせる。各パートが全力で技術を披露し、圧倒されっぱなし。まさにスタートダッシュだ。

 ラウド寄りのロックの要素も感じさせる「Do hot girls like chords」や、シンセポップ的な「Around」など、様々なジャンルを悠々と縦横無尽に駆け巡りながら、次はどんな球が来るのだろう?と興奮させられながらショーはどんどん進んでいく。

 するとステージ脇からTenors in Chaosのメンバーを含めた6名のブラスバンドが出現し、人気曲「I'm the President」を披露。サックスの響きが高揚感を強く煽り、サム・ウィルクスの自由自在なベースもご機嫌だ。ブラスバンドはオーディエンスの興奮を高めるだけでなく、「Real Nice Moment」ではその場をアンビエント的なサウンドでゆったり包み込む役割も果たしていた。そのムードを引き継ぐように「Same Smile, Different Face」ではピアノの詩的な調べにジェネヴィーヴがしっとりと言葉を慈しむように乗せていく。ポップに弾けるような歌唱もさることながら、じっくりと聴かせるようなパフォーマンスもお手のもの。手を休めているルイスを含めたステージ上の演者たちもこの時ばかりはじっくりと耳を傾けていたのは美しい時間だった。

 トーキング・ヘッズ的な「It Will Get Real」で緩急を切り替えると、2011年リリースの「Things About You」でさらに再加速する。その凄まじい技巧で全てを飲み込むようなハイパーなスタイルは、今でこそ聴き慣れたものだが、やはり時代が早すぎたのかもしれない。ソロパートでスティックを宙に投げる余裕っぷりを見せるルイスに歓声が止まない。

 「Nightmare」ではジェネヴィーヴが入りのタイミングをミスし、「ごめんね!」と謝ってからやり直すというお茶目な場面も。曲の中盤でBPMが落ちてからのピアノソロではキーボード2台を器用に使い分けるポールのプレーに視線が集まる。

 先ほどのブラスバンドが再登場すると、「Different Lives」でルイスが彼らの演奏を指揮する。森林浴をしているかのような幽玄な空間が出現した。ルイスが日本語で「愛してる、ガイズ」と愛を伝え、ファンキーな「Hanging On」へ。またもフロアはサムのベースに踊らされ、ステージを駆け巡って歌うジェネヴィーヴの姿は“ディーヴァ”と言っていいだろう。オーディエンスのボルテージは最高潮に達したところで壮大な「Crash the car」で大団円を迎える。

 かと思いきや最新作で最も激しいダンスナンバー「It's All Nothing Until It's Everything」でラストを駆け抜けるのだから一筋縄ではいかない。

 当然アンコールの拍手が起こり、1分以内にすかさず戻ってくるとまずはこの日何度目かのメンバー紹介。後ろのブラスバンドの名前も一人ずつ名前を呼んで紹介するのが、ルイスがミュージシャンからも多くのリスペクトを集める所以なのだろう。

 正真正銘のラストは期待に応えて「Overtime」だ。これぞ究極のポップだと言わんばかりのパフォーマンスで会場を熱狂で彩りフィニッシュした。

 最高の演奏技術を見せつけるだけでなく、それをポップなものとして表現してきたKNOWER。その本領はライブでこそ体感できるものだろう。ようやく時代が彼らに追いついた今、彼らの快進撃はとどまるところを知らない。そう確信させるのに充分な一夜だった。スティックを持つ手を天高く上げるルイスの姿が頭から離れない。


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text by 最込舜一
Photo by Hayato Watanabe @hayatowatanbe

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