日本を代表する環境音楽 / アンビエント・ミュージック・デュオ、
イノヤマランドと、ニコレッタ・ファヴァリとクリストファー・サルヴィトからなる“パスパルトゥー・デュオ”によるコラボ作『レディオ・ユガワラ』が、9月6日(金)にCDとLPでリリースされます。
パスパルトゥー・デュオはニコレッタ・ファヴァリ(イタリア)とクリストファー・サルヴィト(イタリア / アメリカ)によって結成され、2015年以来世界を旅して“スローミュージック”と呼ぶ創造的な楽曲を発表しています。著名なアーティスト・レジデンスのゲストや文化スペースでのライヴ・パフォーマンスなどカテゴライズされる事なく活動し、2023年には中之条ビエンナーレに参加し、4月には“Daisy Holiday! 細野晴臣”に出演。今年は、“ゆいぽーと”のアーティスト・イン・レジデンスとして来日し東北・北海道を訪れています。
定住地を持たない彼らの音楽的巡礼の旅は最初2019年に日本を訪問。この時に環境音楽と深く結び付き、2023年に日本を再び訪れた際に
井上誠と
山下康からなるイノヤマランドの音楽に再会します。イノヤマランドは
細野晴臣がプロデュースしたアルバム『Danzindan-Pojidon』(1983年)やグラミー賞にノミネートされたコンピレーション・アルバム『KANKYO ONGAKU』(Light in The Attic Records)のリイシューも含めて世界的に高い評価を得ているデュオ。ニコレッタはイノヤマランドに連絡を取ることに成功し、彼らの熱意が受け止められて今作の即興セッションが実現しました。
本作『レディオ・ユガワラ』は、2023年に、湯河原にある井上誠の実家が運営する幼稚園の敷地内ホールでレコーディング。パスパルトゥー・デュオが到着するとホールには4つのテーブルの輪が用意されており、テーブルには、ハンドベル、グロッケンシュピール、木琴、リコーダー、メロディカ、ハーモニカなど子供用の楽器が丁寧に並べられていたとのこと。テーブルの周りにはさまざまなベルやウィンドチャイムが吊るされた棚があり、この環境の中でそれぞれが自分の電子楽器をセットアップしていきました。そして、(1)「電子楽器のみ」「アコースティックのみ」「両方のミックス」、(2)「お互いのデュオ」のメンバーを交代して演奏する「4通りのデュエット」、(3)「制約なしに自由に演奏」の3つのセッションに時間が分けられ3時間以上の音源が制作されました。
期待感の高まるオープニング「Strange Clouds」では、シンセサイザーのベッドとクロマプレーン(パスパルトゥー・デュオが設計したタッチレス・インターフェイスと無限のオーガニック・サウンドを特徴とする手製のアナログ楽器)を駆使し、緑豊かな風景を描写。この楽曲は、アルバム11曲の下地となっています。そのほか、パーカッシヴなパルス音が作品の心臓となっている「Abstract Pets」、シンセ・ラインとサブリミナル・ビートが天候の変わり目の様に変化する「Simoom」と「Tangerine Fields」、深い海を照らす様なサウンドを展開した「Observatory」と「Mosaic」、催眠術のようなアルペジオ・シンセ・ラインが心地よい、別世界の雰囲気を纏った「Xiloteca」、牧歌的なコード・ストロークと高揚感のあるシンセがリスナーに偶然の出会いを想起させるエンディング曲「Axolotl Dreams」など、11曲が収録。さらに、CDにはボーナストラックとして「Paper Theater」も収録されます。