デビュー35周年を迎えた
DREAMS COME TRUE が、6月18日(火)に「Kaiju」のミュージック・ビデオ第1弾となる「「Kaiju」Music Video featuring 映画『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』」を配信しています。
映画『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』の主題歌として書き下ろした「Kaiju」のMVは、映画の映像がふんだんに盛り込まれており、DREAMS COME TRUEと怪獣特撮の意外な親和性を感じさせながら、あらためて歌詩に込められたメッセージの強さが伝わる映像に。映画の原作・総監督を務めたのは、日本の怪獣造形界におけるレジェンド的存在で、御年88歳の村瀬継蔵。DREAMS COME TRUEの
吉田美和 と同郷の北海道池田町出身の村瀬監督からの熱いオファーを受け、〈カワセミ〉〈川面〉〈白樺〉などの北海道の原風景を思わせる歌詩を散りばめた、美しく壮大な楽曲「Kaiju」を完成させています。
映画『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』は、『
ゴジラ 』シリーズや『
大怪獣ガメラ 』、『
仮面ライダー 』などの造形を手掛け、怪獣造形の礎を作ったと言われているレジェンドの村瀬が、1970年代に香港のショウ・ブラザーズに依頼され書き留めたプロットを基にしたオリジナルファンタジー作品。海外からも熱視線が送られ、ニューヨーク・アジアン映画祭(7月12日[金]〜7月28日[日])やカナダ・ファンタジア国際映画祭(7月18日[木]〜8月4日[日])への正式出品も決定しています。『仮面ライダー』以降の“変身ブーム”を支えた
高橋章 や『ゴジラ』“平成VS”シリーズの
西川伸司 ほか、村瀬と同時代を生きた屈指のクリエイターたちが集結し、伝説の生物「ヤマタノオロチ」などすべてを着ぐるみ・ミニチュアによるアナログ特撮で表現しながら、最新鋭のカメラとレンズ効果や合成技術を用いることによって、CGとは異なる、味わい深い世界観を作り上げています。
本作には、
鈴木梨央 や楢原嵩琉といったフレッシュな若手俳優に加え、
斎藤工 、
佐野史郎 、
釈由美子 、
樋口真嗣 監督といった特撮作品に縁のある豪華キャストも参加。7月26日(金)より東京・TOHOシネマズ日比谷ほかにて順次全国公開となります。
映画『
ゴジラ-1.0 』で第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した
山崎貴 監督は、幼い頃に村瀬が怪獣造形を担当した映画『
三大怪獣 地球最大の決戦 』(1964年)のリバイバル上映を観て、キングギドラの綺麗なシルエットなどに魅せられ、影響を受けたと語っていたひとり。3月8日の日本アカデミー賞授賞式では村瀬との対面も果たしています。
その山崎は本作について「村瀬監督の人生や今までの造形への思いがぎっしりと詰まっていました。その優しい眼差しにたくさんの人の協力が集まってこのような素敵な映画が出来上がったんですね。そして改めて“映画を作る”ということはカミノフデを操ることに他ならないと感じました」と、本作に登場する小道具で、イメージした物を実際に生み出すことができる“神の筆”になぞらえた、想いのこもったコメントを寄せています。
今夏の話題作の『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』と、その映画を彩るDREAMS COME TRUEによる主題歌「Kaiju」に、大いに注目したいところです。なお、DREAMS COME TRUEは、35周年を記念するさまざまなイベントや企画を展開中。詳細はオフィシャル・サイトをご覧ください。
また、長きにわたってDREAMS COME TRUEの活動を追い続けている編集者 / 音楽ライターの谷岡正浩が、「Kaiju」について次のような文を記しています。
DREAMS COME TRUEの新曲「Kaiju」はイマジネーションとパッション、そしてスキルが幸福な形で結びついている。この曲は「創作」そのものをテーマにしたものだ。 タイムトンネルを潜っていくような錯覚にとらわれるイントロから匂い立つような風景描写の歌詩へとつながっていく。〈カワセミ〉〈川面〉〈白樺〉――メロディに乗った言葉とともにひとつの景色が目の前に広がっていく。そこはきっと吉田美和のなかにある原風景と重なり合う場所なのだろう。北海道池田町。十勝平野のやや東寄りにあり、十勝川の支流利別川が町を南北に貫く自然豊かな場所だ。吉田の出身地が池田町ということは広く知られている。 この新曲「Kaiju」は、2024年夏に全国公開されることが決まっている映画『カミノフデ 〜怪獣たちのいる島〜』の主題歌となっている。この映画の原作・総監督を務めたのが日本の特撮映像を支えてきた美術造形家の村瀬継蔵だ。彼もまた池田町の出身である。 ゆったりとしたメロディに雷鳴と雨の音が交じる。不穏ともいえる空気が漂う。しかしその心の揺れは決してネガティヴなものではない。どちらかというと、何か見たこともないものが出現するという期待感の方が大きい。それはまさに、創作の火種。 〈僕らは Kaijuを創った Kaijuは知られた 言葉も通じない多くの場所で〉 Kaijuは今や世界で通じる日本語のひとつとして認知されている。けれどもこの言葉は曲のなかにおいて、どこまでも自由が与えられた無形の言葉として存在している。〈Kaiju〉を何に置き換えてもいい。何かの創作物はもちろんだし、日々の生活での料理や大切な人に向けての感謝の言葉だっていい。みんな何がしかの〈Kaiju〉を生み出しながら生きている。 その言葉と同じように、この曲は、いわゆるポップスの型にはまっていない。細かいことを抜きにして言えば、メロディは一種類しかないのだ。つまりはAメロもBメロもサビもない。さらにトラックもシンプルではあるが、曲(というよりも歌詩)が進むごとにその形を絶えず変化させていく。まるで心のなかにある創造の火種が燃え広がる炎になるように。これ以上ない強さと豊かさを兼ね備えた楽曲は、吉田美和と中村正人が2人だけで緻密に構築したものであり、まさに「Kaiju」と呼ぶにふさわしい創造物になっている。ちなみに、ミックスはドリカム楽曲ではおなじみのNYのトップエンジニアが手掛けている。 冒頭の歌詩に戻ろう。 〈カワセミが 青い弾丸となって 川面にきらめき翻るのを〉で始まる詩情豊かな美しい一節は、最後の〈僕はKaijuだ Kaijuは君だ 想像/創造の羽は 誰にも渡すな〉という力強い意志に満ち溢れた言葉で締め括られる。〈カワセミ〉という現実が〈僕〉や〈君〉の生き方を通じて〈想像/創造の羽〉になる。創作の根源とその過程を描きつつ、人間として普遍の存在意義を鮮やかに示してみせる――吉田美和の表現者としての透徹した眼差しを感じる。そして、〈僕〉だけではなく〈君〉がいて〈僕ら〉であることが描かれるその歌詩にDREAMS COME TRUEというバンドの歩んできたここまでの35年を想像せずにはいられない。 この曲にはまだまだ続きがある――そう思えてならないのだ。 ――谷岡正浩(編集者 / 音楽ライター) VIDEO