Ovallのベーシスト“
Shingo Suzuki”が、2ndシングル「Backwards」を7月17日(水)に配信リリースしています。
メロウでいて緊張感があり、エレガントでありながらBGMになることを頑なに拒む。そんな2024年の東京のオルタナティヴ・ジャズを主張する新ソロ・プロジェクト“Shingo Suzuki L.Y.P.S”(Liquid Yellow Portraits)。
今作「Backwards」は、Shingo Suzukiの音楽に共鳴したアーティスト達が楽曲ごとに集結し、ジャズやソウルを軸にしながらも型にハマらないサウンド・メイクで楽曲を表現する本プロジェクトの中でも、1stシングル「You don’t know(what life is)feat. Kojoe, Ruri Matsumura」とはうって変わり、トランペットが印象的なインスト・ジャズ・アンサンブル。日本の東京のOvallのベーシストShingo Suzukiを軸に制作され、
渡辺翔太(Piano)、守真人(Drums)によるピアノ・トリオに寺久保伶矢(trumpet)が加わったカルテット編成でレコーディングされています。
ピート・ロック / J.ディラ以降のヒップ・ホップのインスト・トラックのフィーリングはShingo Suzukiの音楽性のひとつで、ビート・メイキングをする感覚でデモ楽曲をドラムから作り始め、リリカルで厚みのあるピアノのパターンを制作し、グランドピアノ、生ドラム、エレクトリック・ベースによる生演奏でベーシック・トラックをレコーディング。さらにその演奏をエディット、サンプリングし再構築するパターンを入れ込み変化をつけています。
そしてテーマの旋律や構成を整え、トランペットは寺久保がレコーディングに参加。本楽曲は根元に60’sモーダルなマイナー・ブルースのサウンドやフォーマットがあり1950-1960年のジャズ、特にハード・バップの構成美を取り入れつつも、同時にリズムやサウンドのフィーリングは2000年代以降のヒップ・ホップの成分が含まれており、オルタナティヴなジャズと言える作品。Shingo Suzukiが聴き込み、溜め込んできた音楽の感覚が本作「Backwards」に落とし込まれています。
ところどころ変拍子になったり、フックになるパターンは参加ミュージシャンたちによる素晴らしい演奏によるもので、アイディアが飛び交う“レコーディング・セッション”によって生み出されています。
躍動感がありモダンなセンス溢れるドラミング。ピアノは絶妙なタイミングでコードを奏で全体を支配。後半のハッと息を呑むアドリブの入り方も聴きどころのひとつ。ダークな音色で抑制が聴きつつ随所にアウトしながら歌うトランペットは、アドリブのパートではオクターバーや歪みのエフェクトが効きスリリングに。地を這うような音で、ピアノに対して次々にベース・ノートを提示してコードを支配しながらもドラムと繋ぎ合わせている、全体を支える絶妙なグルーヴ感のベース。後半部分はミュートを強く効かせエレクトリック・ベースでありながらもアップライト・ベースのようなトーンでスウィングし雰囲気を変えています。
ヒップ・ホップやR&B、ジャズもクラシックもストリートも、リスナーの世代をも超えて巻き込む引力をもった躍動感あふれる楽曲は必聴。
ダイナミックなミックスはShingo Suzuki自身によるもので、さらにジャケットもShingo Suzuki本人がドローイング。プロジェクト名にもある“Liquid”をキャンバスに描いたアート・ワークにもぜひ注目です。
[コメント]レコーディングに参加してもらったミュージシャンたちの演奏の素晴らしさに痺れました。予想を上回る演奏に驚きの連続。
デモトラックに詰め込んだ楽曲のイメージを怯むことなく堂々と生々しくユーモアを加えてレコーディングセッションで彼らは演奏してくれました。
レコーディング後のセルフミックスでは、たくさんのアイディアが思い浮かび、編集も施しながらサウンドに変化をつけ演奏の物語に展開をつけていきました。
ライブでどうなっていくのか、、、!今から楽しみにしています。――Shingo Suzukiどこまでもhipで、それでいてどこか気だるさを纏う一曲。初めのループだけで、ご飯何杯も食べれるくらいに旨みがぎっしり詰まっている。僕がレコーディングした段階では、まだトランペットの玲矢くんが入っていなくて、ピアノトリオでレコーディングしたけれど、トランペットが入ったのを聴いて驚いた。何倍も上質にワルくなっていたし、ミックスで曲が新たな違うかたちになっていて思わず声を上げた。最高です。――渡辺翔太Backwardsはとてもストイックにビートを刻みつつ、ラフな気持ちでサウンドに絡んだりと、特に楽しいセッションの一つでした。基本ビートとなっている5連系の、所謂ディラビートやドランクビートと呼ばれるビートは、ライブやセッション等のアレンジで演奏することはあっても、レコーディングでここまでしっかりやること、そして形として残ることは実は初めてで、そう言った部分でも個人的にはかなり挑戦的でエキサイティングなレコーディングでした。音作りもかなり極端なチューニングにしたり、色々実験的なことができて、録り音ミックスとも、とても納得行く仕上がりになっていて、マスタリング音源を聞いた時は思わず、おお?。と声がでました。各楽器の絡みと音色がとっても心地よくて、いろんな景色の見える個人的にも大好きな曲の一つですので、是非いっぱい聴いてください!――守 真人メンバーとデモ音源が送られてきた段階で、間違いなく最高のレコーディングになることは確信していたが、マスタリング音源を聴き、ここまでヒップに進化していることに驚いた。参加アーティストの演奏はもちろん、Shingo Suzukiの音楽的調理方法が聴き所です。是非たくさん聴いて味わってみてください。――寺久保伶矢